自作小説/6月「魚『横たわる金魚』
- カテゴリ:自作小説
- 2014/06/16 19:33:07
水槽の底に横たわってる金魚を見て、私は諦めていた。何か変だと思ってから二週間、その間、手をこまねいていたわけではない。できる手段は尽くしたつもりだ。
金魚を飼うことは水質管理につきる。今、金魚が横たわってる水槽は三、四年で金魚が死んでいった。水底に横たわってる金魚はそれでも、水槽を立ち上げた当初からいて四年半、がんばってくれた。幅六十センチの水槽で多い時は五匹の金魚がユラユラ泳いでいた水槽に今は、あといくらももたないであろう金魚が横たわる。
薬をいれてみたり、水質改善を試みたりしたけれど、万策尽きたー私はすっかり諦めて横たわる金魚を眺めた。口をパクパクさせて、腹が上下しているのを悲しい気持ちで眺めているうちに、金魚自身は生きるために必死に弱ったからだを動かし酸素を取り込んでいるのではないかろうか?ふとそんなことが頭をかすめた。
まさか?そんなことあるはずないと否定しながら、私は自問自答する。金魚が諦めてないなんて?私は腕まくりをして餌をつまむと水槽に腕をつっこんだ。水槽の水の独特の感覚が腕にまとわりつく。最初、異質なものが近づいてくるのに驚いた金魚が力を振り絞ってばたついた。しかし、あっという間にそんな力も失せてぐったりとなる。再び苦しげに口をパクパクさせるだけになった金魚の口元に餌を近づけた。
口元からふやけた餌の一部を金魚が吸いんだ。一瞬、目がキョロリと動いた。そして私の手元の餌を自らの意志で口の中に吸い込んだ。 こんな状態になってなお、こいつは諦めてなんかいないのだ。金魚の意志を飼い始めてから四年以上たって、初めて気づいたことがショックだった。勝手にあきらめていたのだ。こいつは、生きるために必死に息をしているのだ。
それから毎日、水底に横たわる金魚に餌をやる日々が続いた。苦しい状態を長らえるだけなのではないか?そういう葛藤を断ち切るように金魚は餌を吸い込み、口をもぐもぐとさせ、しっかり餌を飲み込んだ。まるで、私の葛藤を否定するかのように。
二週間たったころには、水槽に腕をつっこむと金魚がからだを動かして餌を持った指に近づいてこようとするようになった。こいつは、生きることに一生懸命なのだ。
「がんばれ」
私は、横たわる金魚にそっと声をかけた。
餌をやり始めて一か月ほどたって、水底の横たわったまま静かに金魚は動きをを止めた。
(おわり)
ぼうぼう様 47アクセス
魚のお題で真っ先に浮かんだのが、このお話の金魚のことでした。
で、短編にしてみました^^ゞ
>スイーツマンさん
地文ーそうですね、最近、以前のブログ読んでみたら、今でも読みづらいのですが
輪をかけて読みづらい文章で、思わず「ぎゃあ」と心で叫びたくなりました。
いつか、これ読んだらまた「ぎゃあ」と思うような文章書いていたいです
金魚の介護って、初めて聞きましたもの!
命について、考えさせられました(`・ω・´)ゞ
下のコメでもちょっと書きましたが、実話ベースの話なので、金魚の生命力に、ほんと驚きました。
命ってすごいなって思いました、そして、命って重いですよね。。。
>紫草さん
>>本能で生きるものたちは、諦めるなんて概念もないかもしれませんね
同感です。「今」を生きてるーペット飼ってると「今」を生きているのを強く
感じます
>スイーツマンさん
お褒めの言葉嬉しいです、とはいえ、上達してるとは思えないです(--;
サークルの皆さんの文章読んでると、レベル高くて。。。
校正お手数かけました。小説のルールがまだまだ勉強不足で、ご指摘、ほんとに
勉強になります。感謝しています。
「がんばれ」
私は、横たわる金魚にそっと声をかけた。
↓
「がんばれ」
私は、横たわる金魚にそっと声をかけた。
素晴らしい描写でした!
本能で生きるものたちは、諦めるなんて概念もないかもしれませんね。
最後の姿、かっこいいです。
金魚さんも「私」もえらい……。
金魚の生きる意志の強靭さ。あきらめないという二人の気持ち。
いろんなものが伝わってきました。
これ、実話がベースなんです、金魚を介護するとは初体験でした。
内容が内容ですもんね。やっぱ重たくなってしまったです。
金魚の意志の部分が読んで伝わってよかったです^^。
文章としては稚拙で弱いですよね、筆力不足です。。。
でも、あったかい話と書いてくださって感謝です^^
最後の1ヶ月が金魚にとってどの様なものだったかはわからないですが生き続けようと言う意志は
持っていたみたいですね。
でもその一方で経験も積んでるからこその考え方もあって、なんでも
一概に古いともいえないというか。
お話の「私」の行動は偽善とか欺瞞なんじゃないかとも思うです。
結局、「私」の自己満足だったのかもしれないし、そうでないかもしれない。
生きることに正解なんてないーそれすらも、いまだにわからないままです。。。
あきらめようとしてもあきらめきれない私がいることを
今も認めたくなく
本当に切りたい、切ってしまいたいと
もがき中・・・・なのを感じました。
最後は『金魚』のように静かに終われるのだろうか・・・・。