Nicotto Town



「うさぎとカヘル」


うさぎとカヘルはとってもなかよし。
いつも二人で遊んでいます。

カヘルがいわの上で、飛び出たお目々で辺りを見回します。
「うさぎくん、あっちの方に美味しそうなものがあるよ」
「わーい、行ってみようよ、カヘルくん」

うさぎは草の陰から、あたりの様子をうかがいます。
「カヘルくん、あっちの方で楽しそうな音がするよ」
「わーい、行ってみようよ、うさぎくん」

美味しいものをたくさん食べて、楽しく遊んで遊び疲れて、二人は原っぱでお昼寝をはじめました。


「うーん、うーん」
隣で聞こえる苦しそうな声にうさぎが目を覚まします。
見ると、カヘルが苦しそうにうなっていました。
「どうしたの、カヘルくん」
「暑くて苦しいよ。水が欲しいんだ、うさぎくん」
カヘルは水がないと大変なことになってしまうのです。
空からは、お日様がぎらぎらと照りつけています。

うさぎは慌てて辺りを見回します。
でもそこには、水たまりはおろか、川も池もありません。
遊びに夢中で、遠くに来すぎてしまったようです。

「どうしたら良いんだろう」
途方に暮れたうさぎは空を見上げます。
相変わらずぎらぎらと照りつける太陽と、ぽっかり浮かんだ一片の雲。

「そうだ!」
うさぎは、良いことを思いつきました。

「待っててね、カヘルくん。僕があの雲間で行って、雨を降らせてくれるように頼んでくるから」
雲まではねることが出来るのか。
そんなことを考えてる余裕はありません。
うさぎは、思いを力に変えて、思いっきりはねました。

思う一念岩をも通す。
うさぎは空高く跳び上がりました。
でも、力が強すぎたのか、雲を通り抜けてしまいました。
「わーーーーーっ」

気がつくと、目の前には大きなお月様。
「ぶつかる~~~~っ」
ごち~~~~ーんっ!

驚いたのはお月様です。
「エ~ン。うさぎがぶつかってきたよ~。痛いよ~」
お月様は、泣き出してしまいました。

お月様の涙は雲にたまり、雨になって地上に降り注ぎます。


地上では、カヘルが大変なことになりかけていました。
薄れていく意識の中でカヘルがつぶやきます。
「僕はもうだめだ。うさぎくん、君に出会えて楽しかったよ・・・」

その時、やっと雨が地上に届きはじめました。
ひからびかけたカヘルの身体に、雨が染み渡ります。
みるみる元気を取り戻しました。

「僕は助かったのか?うさぎくんは?」
起き上がりあたりを見渡すと、降りしきる雨の中、うさぎがにっこり笑って立っていました。
「間に合ってよかった。カヘルくん、元気になったんだね」

お月様にぶつかってよっぽど痛かったのでしょう。
真っ赤になった目で、カヘルにほほえみかけます。
この雨の中には、うさぎの涙も混じっているのかもしれませんね。


うさぎとカヘルはとってもなかよし。
今日も並んで、お家に帰ります。


「うさぎのお目々は何故赤い?」
というお話でした。


おしまい


そうそう。
お月様にうさぎの形の陰があるのも、このとき付いたんだって聞きましたよ。
「うさぎなんか嫌いだいっ。クスン」
お月様が言ったとか言わないとか・・・


今度こそおしまい♪



アバター
2014/05/21 22:52
出版しましょう。 ^0^v
アバター
2014/05/21 20:31
これは、すてきなおはなしですね♪
読んでいて、気持ちがほんわかとしました(^^)

ちょっと話が飛びますが、『ふたりはともだち』 という絵本で、ガマくんと蛙くんのあれこれが描かれているのですが、
それを思い出しました(^^)
シリーズもので、タイトルは 『ふたりはなかよし』 とか、いろいろありますが、どれもほのぼのします♪
アバター
2014/05/21 20:16
相変わらず素晴らしいですね。
月のうさぎの姿とうさぎの目が赤いのが、
うまく取り込まれていて、
絵本で見てみたい話ですね。



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