「うさぎとカヘル」
- カテゴリ:30代以上
- 2014/05/21 10:57:38
うさぎとカヘルはとってもなかよし。
いつも二人で遊んでいます。
カヘルがいわの上で、飛び出たお目々で辺りを見回します。
「うさぎくん、あっちの方に美味しそうなものがあるよ」
「わーい、行ってみようよ、カヘルくん」
うさぎは草の陰から、あたりの様子をうかがいます。
「カヘルくん、あっちの方で楽しそうな音がするよ」
「わーい、行ってみようよ、うさぎくん」
美味しいものをたくさん食べて、楽しく遊んで遊び疲れて、二人は原っぱでお昼寝をはじめました。
「うーん、うーん」
隣で聞こえる苦しそうな声にうさぎが目を覚まします。
見ると、カヘルが苦しそうにうなっていました。
「どうしたの、カヘルくん」
「暑くて苦しいよ。水が欲しいんだ、うさぎくん」
カヘルは水がないと大変なことになってしまうのです。
空からは、お日様がぎらぎらと照りつけています。
うさぎは慌てて辺りを見回します。
でもそこには、水たまりはおろか、川も池もありません。
遊びに夢中で、遠くに来すぎてしまったようです。
「どうしたら良いんだろう」
途方に暮れたうさぎは空を見上げます。
相変わらずぎらぎらと照りつける太陽と、ぽっかり浮かんだ一片の雲。
「そうだ!」
うさぎは、良いことを思いつきました。
「待っててね、カヘルくん。僕があの雲間で行って、雨を降らせてくれるように頼んでくるから」
雲まではねることが出来るのか。
そんなことを考えてる余裕はありません。
うさぎは、思いを力に変えて、思いっきりはねました。
思う一念岩をも通す。
うさぎは空高く跳び上がりました。
でも、力が強すぎたのか、雲を通り抜けてしまいました。
「わーーーーーっ」
気がつくと、目の前には大きなお月様。
「ぶつかる~~~~っ」
ごち~~~~ーんっ!
驚いたのはお月様です。
「エ~ン。うさぎがぶつかってきたよ~。痛いよ~」
お月様は、泣き出してしまいました。
お月様の涙は雲にたまり、雨になって地上に降り注ぎます。
地上では、カヘルが大変なことになりかけていました。
薄れていく意識の中でカヘルがつぶやきます。
「僕はもうだめだ。うさぎくん、君に出会えて楽しかったよ・・・」
その時、やっと雨が地上に届きはじめました。
ひからびかけたカヘルの身体に、雨が染み渡ります。
みるみる元気を取り戻しました。
「僕は助かったのか?うさぎくんは?」
起き上がりあたりを見渡すと、降りしきる雨の中、うさぎがにっこり笑って立っていました。
「間に合ってよかった。カヘルくん、元気になったんだね」
お月様にぶつかってよっぽど痛かったのでしょう。
真っ赤になった目で、カヘルにほほえみかけます。
この雨の中には、うさぎの涙も混じっているのかもしれませんね。
うさぎとカヘルはとってもなかよし。
今日も並んで、お家に帰ります。
「うさぎのお目々は何故赤い?」
というお話でした。
おしまい
そうそう。
お月様にうさぎの形の陰があるのも、このとき付いたんだって聞きましたよ。
「うさぎなんか嫌いだいっ。クスン」
お月様が言ったとか言わないとか・・・
今度こそおしまい♪
読んでいて、気持ちがほんわかとしました(^^)
ちょっと話が飛びますが、『ふたりはともだち』 という絵本で、ガマくんと蛙くんのあれこれが描かれているのですが、
それを思い出しました(^^)
シリーズもので、タイトルは 『ふたりはなかよし』 とか、いろいろありますが、どれもほのぼのします♪
月のうさぎの姿とうさぎの目が赤いのが、
うまく取り込まれていて、
絵本で見てみたい話ですね。