Nicotto Town


てらもっちの あれもっち、これもっち


「春の歌」


季節は移っていく。
氷河期にダメージを受けた植生は回復も遅かった。
ヒトにとって生きるのが困難な時代。


春が来た。
備蓄していた冬の食料はずっと前に尽きていた。

まだ長い毛の残る重い足で雪洞から這い出た。
沼地を必死になって這いずり回り、草や昆虫までも食べた。

ぬかるむ道だ。
祖先も通った道。

トゲのある薮をかき分けてきた。

小動物であろうと昆虫であろうと
食べられそうなすべてを食べた。

一息ついた。丘に登った。
その日の夕方は、春の霞のぼんやりとしたピンク色で、見慣れない色に包まれていった

長いトンネルをくぐり抜けたと思った。
でも、そこは、実はまだ始まったとこだった。

まだサルに近い僕。

恵まれた時代の君が歌うのであれば、
「どうでもいい」とか そんな言葉で汚れた心があるのであれば、今放ってほしい。

これは君のルーツの話なのだから。
君自身の歌なのだから。

春の歌。そうだ、生きる歌だ。
愛とか希望とか、そんな事より前に響く歌だ。

君たちに本当に聞こえるか?
遠い空に映る君にも。

冬の雪洞の中で、仲間が亡くなっていく。
その中で生きる。

未来を信じ、生きる、子を育てる。
空腹で倒れそうになる。
平気な顔でかなり無理をする。

愛を育む。



そして、誰もいなくなる。

雪洞の中で孤り。周りは死体。

叫びたいのに懸命に微笑んだ。

春がくる。

生き残る。生き残った。
朝の光にさらされていく。

そして、でも、
忘れかけた 本当は忘れたくない
君の名をなぞる。

春の歌。
歌う。孤りで歌う。

愛も希望もつくりはじめる
生き残った。春が来たんだ。
生きる。

遮るな 何処までも続くこの道を。
だって、君がそこにいる。

歩いていくよ サルのままで孤り

幻じゃなく
間違いなく現実だ。
だって、君がそこにいる。

歩いていく
だって、君がそこにいる。

春の歌 愛と希望より前に響く
聞こえるか?
遠い空に映る君にも

春の歌 愛も希望もつくりはじめる
遮るな 何処までも続くこの道を

「どうでもいい」とか そんな言葉で汚れた心があるのであれば、今放ってほしい。
君自身の春の歌なのだから。

春だ。
生きろ。
君は僕で出来ている。



*スピッツ「春の歌」を大幅改変した文章です。
*Inspirated by Scotte Bosse Live on 2014/03/21(Fri)

https://www.youtube.com/watch?v=XsvFQVfZAFk




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