Nicotto Town



「冬が寒いわけ」

「冬はどうして寒いのでしょう」
これが冬休みの宿題です。

冬休みの最後の日、公園のベンチに腰掛け、ゆいちゃんとまみちゃんは考えていました。

「ゆいはどうしてだと思う?」
「温かいおまんじゅうが美味しく食べられるように・・・かな?」
肉まんをほおばりながら、ゆいちゃんが答えます。

「ゆいはいつも食べることばかりだね。ホント、食いしんぼなんだから」
「む~。じゃあまみちゃんはどうしてだと思う?」
「う~ん。あったかい缶ジュースを美味しく飲めるように?」
缶のお汁粉を両手で持ちながらまみちゃんが言います。

「おんなじじゃん!まみちゃんの飲みしんぼ!」
「飲みしんぼって何よ。それにまだ飲んでないもん」
「飲まないなら頂戴」
「ヤダよ。自分だって買ってあるでしょ」
「そうだけどさ~」

脇に置いた袋から、缶ココアを取り出そうとするゆいちゃん。

「手がべたべたで取りづらいよ~」
「ゆいは本当に食べるのヘタだよね。ほら、あそこに水道があるから、洗って来な」
「うん・・・」

水道の蛇口をひねり、手を洗おうとするゆいちゃんですが
「わっ、冷たい!」
冬の水道は冷たくて、手がちぎれそう。
それでもなんとか我慢して洗い終え、まみちゃんに振り返ります。

「う~。しもやけになっちゃうよ~」
「しょうがないなー。はい、これあげるから暖めな」
コートのポケットからカイロを取り出すまみちゃん。
「ありがと~。そんなの持ってきてたんだ~。でも、それじゃあまみちゃんが冷たくない?」
「大丈夫。中はまだ暖かいから」
コートのポケットに手を入れながら、まみちゃんが言います。

「どれどれ・・・」
いきなりカイロを握りしめた両手を、まみちゃんのポケットに入れるゆいちゃん。
「手を入れるなら、自分のポケットにしなさいよ。伸びちゃうでしょ」
「だって、この方が暖かそうだったんだもん。それにこうすれば、まみちゃんもカイロを使えるでしょ」
「わたしは大丈夫だって言ってるのに~」
「ほら、そっちの手も入れなよ」
「しょうがないな~」

四つの小さな手でぎゅうぎゅうに膨らんだポケット。
冷たい風の中でも、そこはとても暖かでした。

「暖かいって、しあわせだよね~」
「うん・・・」
二人で一つのカイロを握りしめながら、まみちゃんは思いました。
「ねえゆい。冬が寒いのって、だからなんじゃ無いかな」
「『だから』?」
「うん。『だから』なんだよ」
うまい言葉が見つからなくて、ぎゅっと手を握りながらまみちゃんが言います。

「そうか、『だから』、なんだね」
「うん。きっとそう」
「あはは」
「あはは」

北風が、二人の笑い声を運んでゆきました。


その後、伸びたポケットのせいで、まみちゃんが怒られたのかは、定かではありません。



おしまい


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2014/01/06 22:15
わかったのだ。

冬だからなのだ。

冬が熱いと夏なのだ。

これでいいのだ。

byパパなのだ。

なんて。^^
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2014/01/06 02:32
今晩は~♪

可愛い~っ~^^ まみちゃんとゆいちゃんのお話~心がほっこり~しました^^

「冬が、どうして寒いか?」…

まみちゃんとゆいちゃんの答えは…お友達同士が、仲良くくっつける様に…だけど(たぶん)

恋人同士が、くっつく為…ってのもありますね~^^

この年になったら~冬=家で、ファンヒータと共にひきこもるですが…w

若い男女って…(若くなくても良いけど…w)「何で~このクソ寒い中を、外へ出る?」と

思いますものね~w

でも…私なら…やっぱり~「お汁粉や、ラーメンが、美味しくいただける様に」…だなぁ…w

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2014/01/05 23:04
今日は小寒。寒の入りです。
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2014/01/05 18:39
一言では 難しいのだろうね

温かさを知るためかな?


でも ここでは・・ 「 いつも一緒 いつまでも 仲良しでいるからね 」って

言葉以外で 解り合える 

自然からの贈り物なんだね・・ 
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2014/01/05 13:39
カイロ売りのせい w
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2014/01/05 11:22
久しぶりの『まみゆいシリーズ』。

ちょっとずるいかな?
とも思いましたが、あえて『だから』にしました。

皆様の『だから』はなんですか?


(#^.^#)



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