自作小説11月/都会 「宇宙の田舎にて」
- カテゴリ:自作小説
- 2013/11/09 21:43:42
「東京なんて、宇宙の田舎だぁー!空からみたらこの田舎も東京も距離なんてないじゃないかぁ~っ!」
真っ暗な海岸の波打ち際で。あと二か月で卒業と同時に遠距離恋愛になる彼とドライブに来た、いつもの海で私は叫んだ。
「宇宙規模で叫ばれてもなぁ…」
ザザ~と波が打ち寄せては引いていく音に紛れて苦笑する彼の声を悟られぬように胸に刻みつけるーはずだったのにな。。。
数年の間遠距離恋愛になる彼と、破たんしないかほんとは不安で押しつぶされそうになる心を今の叫びで彼にばれてしまったー彼の声音から、彼の心情がわかる程の付き合いだ。
後悔したが、あとの祭りだ。私とこれからの関係に私以上に不安なのは、彼も同じなのはわかってるー充分に。
都会に就職する彼を追わずに地元に留まることを決めたのは、私自身。ついてきてほしいといった彼の希望を振り切ったのは私だ。
繰り返し打ち寄せる波は私と彼の心のように常にさざ波だっている。
未来に対する不安を持ちながら闇の中、落ちてきそうなほどの星と波の狭間で小さな二つの命は宇宙の中のほんの一瞬の出会いと存在だ。
「でもさ」
彼は私の肩を抱きながら囁いた。
「宇宙規模では見えない存在だけどさ」
「うん?」
彼は続けた。
「僕たち二人には試練だと思うし…」
私が彼について行かないことは試練だよねー心の中で私は泣いた。彼と親を天秤にかけて結局親の意向に背くほど親不孝になれなかった未熟さを、私はこれからの人生で勝ち取れるのかそれはわからない。
「でもね」
思わず漏れた言葉を彼は聞き逃さなかった。
「ん?」
彼が私を促した。
苦笑いしてつづけるしかなかった。。。
「私たちがどうなろうと、宇宙の中では認識さえされない小さな出来事なんだよなぁ」
バカがーそういうと思っっていたのにー彼は背後からそっと私を抱きしめて言った。
「そうだなぁ、俺たちって所詮そんな存在なんだよなぁ」
宇宙の片田舎で二人だけの時間がさざ波と響きあう一瞬だった。
(終わり)
遠くにあれば、ちょっとした違いの視差は限りなくゼロだし、
相手の美点から眼をそらさないように、真剣になれるし。
超えられない距離を一瞬で解消する奇跡が恋愛かもしれない。
目の前にあるものに持続的に恋することはむずかしいです。
そういう恋人たちの距離も宇宙の彼方から見たら視差角ゼロ。
一枚のスナップショットに、大きな視点の移動を感じました。
ところでこの二人、距離ゼロになれても恋できるでしょうか^^
だってマクロの世界もミクロの世界も無限なんち感じてマス。
でも人ってココロが柔いから~切ないのが遠距離恋愛っスネ♪
東京は宇宙から見たら判んないけど
北海道は宇宙から見てもワカルっです!
あれれ~じゃあ宇宙から見た田舎はヤッパ東京かぁ!
12月9日『漱石忌』1916年夏目漱石は49歳で永眠。東京神楽坂の漱石山房は小さな公園になり猫塚アリ
2人には順調な遠距離恋愛してほしいっす!
宇宙からしたら、近いと思える前向きさで(^O^)
次に、冒頭の彼女の言葉に空間の広さを、そして二人の想いの深さを知りました。
素敵なお話でした。
転載先で文章がくずれるときがあり
レイアウトで若干手直しする点はご了承ください
それで問題が生じた場合はご連絡ください
作品コメントはのちほど
書かないと文章作成力が、がっくり落ちています。
やはり継続は力なのだと思い知りました。
文章力も読み手側の方を引き込む力もない文章に感想がほんとに
ありがたいと思いました。
コメくださった方、読んでくださった方に感謝です。
心優しいヒロインにハッピーエンドが待っていますように
ま、抱えきれない問題は宇宙スケールで考えてみようかな、と思う
昨今です