「秋の終わるとき」
- カテゴリ:30代以上
- 2013/10/27 12:09:46
冷たい北風の吹く公園のベンチで、少女はひとり、今日も帰らぬ人を待っていました。
『秋が終わる前には帰ってくるよ』
そう言って、この街を出て行った少年。
それなのに、街に木枯らしが吹き始めてもう一週間。
少年は帰ってきませんでした。
(もう、この街のことも、わたしのことも忘れてしまったのだ。)
少年のいる都会の方を見つめ、少女は思いました。
「もう、この街でひとり待っているのイヤだよ」
少女のつぶやきが、北風に流されていきます。
(さよなら。わたしは故郷に帰ります)
少女は軽い鞄を持って、ベンチから腰を上げました。
北風の吹き抜ける駅のホームで、少年は汽車を待っていました。
『うん。待ってるから』
そう言った、大切な少女を残し、ここよりもずっときらびやかな街の、きらびやかな生活にあこがれて、この街をあとにした少年。
でも、都会での生活は厳しいものでした。
少年が手に入れたのは、ぼろぼろの財布に入ったほんのわずかなお金と、小さな鞄に残った壊れかけの夢のかけらだけでした。
(もう、待っているはずはない)
二人でよく歩いた公園の方を振り仰ぎ、少年は思いました。
「それに、こんな惨めな姿で、彼女に会える訳ないじゃないか」
少年のつぶやきが、木枯らしに流されていきます。
(さようなら。僕は違う街に旅立ちます)
ホームに入ってきた汽車に乗るため、少年は歩き始めました。
「あら?」
立ち上がった少女の前に、一枚の落ち葉が舞い降りました。
(どこから来たのかしら?)
見上げると、小さなもみじの木に、数枚の葉っぱが風に揺れていました。
「もう、全部散ってしまったと思ってたけど」
少女は舞い降りた葉っぱに手を伸ばしました。
「おや?」
一歩を踏み出した少年の目の前に、一枚の落ち葉が風に飛ばされてきました。
(どこから来たのだろう?)
見回すと、ホームの向こうの大きな銀杏の木から、たくさんの葉っぱが風に舞っていました。
「まだあんなに残ってたんだな」
少年は風に舞う葉っぱに手を伸ばしました。
少女は舞い降りた真っ赤な葉っぱを拾い上げました。
「そう言えば、あの人も、こんな色が好きだったな」
少女がプレゼントした真っ赤なシャツを着たときの、照れたような笑顔を思い浮かべる少女。
「もう少し、せめて日が沈むまでは待っていよう」
少女はそう思い、再びベンチに腰を下ろしました。
少年は風に舞う、鮮やかな黄色い葉っぱを捕まえました。
「そう言えば、彼女もこの色がよく似合ったっけ」
少年がプレゼントした黄色い帽子を被って、にっこり微笑む少女の笑顔を思い浮かべる少年。
「もう一度、あの公園を歩いてからにしよう」
少年はそう思い、汽車に背を向けました。
街で一番高い建物の上。
二人の女の子が手すりに腰掛けて、街を見下ろしていました。
「これで、秋も終わりだね」
真っ赤な服の少女が言います。
「うん。わたし達もそろそろ次の街へ行かないとね」
黄色い服の少女が言います。
「次の季節のためにね。」
おわり
赤は明太子
黄色は豚骨ラーメン
って、本村碧唯ちゃんが言ってましたけど・・・
(#^.^#)
いつもありがとう♪
このお話は、マンガのコマ割りを意識して書いてみたのです。
わたし、王道少女マンガが大好きだったりします。
(#^.^#)
担担麺 と 味噌ラーメン
by ありす w
ほ~っ…(♯ー0ー♯)=Э
読み終わった後に…心が…ほっこりする~ステキなお話ですね^^
きっと…この後この2人は、………(^^)…ここを、ワザと書かない所が、憎いですね~^^
私の勝手な解釈ですが…少女のつぶやきが、北風にのって~少年の木枯らしにのって~
黄いろい葉っぱと赤~い葉っぱの妖精に届いて~彼女らが動いてあげた様に感じました^^
映像としては…駅から来た~木枯らしと公園の北風さんが
公園の真ん中でぶつかって渦巻きになって~
黄色い葉っぱ(妖精さん)と赤い葉っぱ(妖精さん)が、
可愛く~♪ くるくる周ってダンスしてる様子が…頭に浮かびました^^
もう少し構成に工夫が必要かしらね?
(#^.^#)