ストロベリーラブ 【 60章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/10/15 00:11:47
第六十章 『 蒼井”竜馬” 』
「 ハァ...ハァ...どこ行ったんだ苺華... 」
一階、二階、三階と、走り回って探す一輝だが、苺華の姿は見えない。
苺華が行きそうな場所も全て行った。だが、やはりどこにもいない。
まさか...蒼井竜馬に襲われたのかと嫌な可能性を大きく考えてしまう─。
だが、そんなことは一輝には絶対あってほしくはない事。目を覚ませと自分に言い、
もう一度同じ場所へ苺華を探しに行った─。
そして、三階の廊下の端っこにて。
「 あ、苺華....! 」
「 えっ、一輝っ....!? 」
やっと見つけた苺華。どうやら何もされていないようだ。
一輝はホッと一安心し、苺華に駆け寄り、肩に両手を置いた。
「 ど、どうしたの...? 」
何も知らない苺華はキョトンとした顔で、脱力している一輝を見ている。
一輝は何もなかったかのように体制を整え、改めて話しはじめた。
「 そ、その、だな...。何してたんだ?こんな廊下の端っこで。 」
「 えっ?ああ、香理奈探してたんだ...。そう、香理奈探してるからこんなんしてる場合じゃ... 」
「 え?長谷川探してたの...? 」
「 うん...。だから行かなきゃ...「 待て待てっ!!長谷川ならもう見つけたよ...! 」
ガシッと苺華の細い手首を掴み、香理奈の安全を知らせる。
すると苺華は「 へっ? 」と口を開き、キョトンと目を丸くしている。
まったく状況が飲めない苺華のために、カクカクシカジカと説明した。
この話を聞いた苺華は激怒した─。
「 ハァッ...!?何それ...!?蒼井竜馬許せない...!!!! 」
「 え? 」
苺華の言葉に疑問を感じた一輝。だって一輝は蒼井竜馬の事をフルネームでは
話さず、”蒼井”という苗字だけで言っていた。...なのに苺華は蒼井”竜馬”と言ったのだ。
一輝はその疑問を苺華に伝えた─。
「 苺華...蒼井と知り合いなの...? 」
「 え...? 」
「 いや、下の名前知ってるみたいだからさ.... 」
「 あ... 」
やってしまったと言うかのように口を慌てて押さえ、あちゃーという顔を浮かべた。
その表情を見逃さなかった一輝は、目をギラリと光らせ、また問い詰める。
「 どういう事...?やっぱ知り合い...なの? 」
「 え、あ、知り合いっていうか...その...えと、その... 」
やましい事がないならばすぐに答えれるだろ...と、思った一輝は、考えてしまった。
”やましい事があった”のだと。何故か焦りを見せる苺華を見ながらため息を吐く。
そのため息を聞いた苺華はハッと気づき、一輝の目を見て訴えた。
「 で、でもそんなやましい関係じゃないよ!?でも...なんていうか....その... 」
これは自分の問題だけじゃない。香理奈だって関わるんだ。
そう思った苺華は簡単に話すことはできなかった。
中々口を開かない苺華を見ながら、辛そうに瞼を薄く閉じた─...。
「 もう...分かった。無理矢理聞こうとするのはやめるわ。 」
「 か、一輝待って...!本当にそんなんじゃ... 」
慌てて腕を掴もうとした瞬間─、
─バッ....!
「 っ....「 放せよ。 」
思い切り振り払われ、バランスを崩す苺華。だが背を向けて一輝は資料室へ向かった。
苺華はバランスを崩し、床に崩れ落ちている─....。膝に視線を落とし、ため息を吐く。
そして、自分の蒼井竜馬の説明方法をもう一度思い出す。
思い出すと、苺華の目には涙がブワッ...と浮かんだ。
「 馬鹿だなぁ...私。 」
そう呟きながら、また蒼井竜馬に泳がされたんだと悔しさをこみ上げる。
膝に置いた拳の握り締める力を強めながら、爪を立てる。
歯を食いしばって心に決めた─。
( ...蒼井竜馬許さない。 )
そう心で呟いた苺華の目は驚くほど鋭くなっていた。
続く─。
続き気になります
もっといいんでしょうかね~
もっと大胆に展開させてみても
おもしろい気もします~