自作小説 『夢見』 その3
- カテゴリ:自作小説
- 2013/10/13 01:12:28
※その1,2を読んでいない方はそちらからお読みください。
……木葉。
……木葉。木葉!
……うっ。こ、ここは俺の部屋? そして、ベッドの上。意識がまだはっきりしない。頭が死ぬほど痛いし、身体が石のように重たい。俺は泣いていたのか、顔中、びしょびしょに濡れていた。
そして、次第に記憶を取り戻していった。
木葉。そう、木葉だ! あれは夢なんかじゃない。現実に起こった出来事なんだ。今日の日付を見た。やっぱりそうだ。次の日になっている。昨日のことは現実にあったんだ。俺は急いで学校に向かった。
教室では、いつものように既に登校していたクラスメイト達が騒いでいた。なぜか皆、俺の顔を見るなりびっくりしていた。周りを見回し、木葉の姿を探したが、何処にも居なかった。誰かに聞くのも恐ろしくて、俺は机に座ったままでいた。俺は茫然自失とし、気力を失っていた。木葉は俺の命を助けるために自らの命を絶ったのだ。その後悔と申し訳なさが俺の心に鋭く突き刺さった。
すると、不意に俺の机の前を、長い黒髪の少女が通った。少女は無愛想に誰とも挨拶をしない。間違いない。こんな女はあいつしかいない……!
「お早う。木葉」
木葉は、俺を一瞥すると、何も言わず、すぐに自分の机に伏せて寝入った。普段なら、こんな態度を取られたことに朝から腹を立てていた所だが、今はそんな事を吹っ飛ばせるほど嬉しさでいっぱいであった。しかし、俺は我に返って、冷静に今の状況を分析した。木葉はいつも以上にしんどそうにしていたが、不思議なことに昨日の重傷などを微塵も感じさせなかった。
それから周りの話を聞くうちにだんだんと頭の中が整理されてきた。
まず、俺と木葉は昨日は丸一日、学校を休んでいたらしい。二人共一日中寝込んでいたという。この話から、昨日、俺がトラックにひかれたことも、木葉が通り魔に刺されたことも実際には起こらなかったことだ。
つまり、あの木葉が通り魔に刺された時点から、木葉が過去の俺の夢に戻ったということが考えられるが、木葉の話ではその場合、俺の記憶を書き換えてしまうと、昨日、俺はトラックにひかれているはずである。しかし、現実は俺も木葉も丸一日部屋で寝ていたというだけだ。
ついでに言うと、昨日の時点で通り魔は捕まったそうだ。だから、今日また同じことが起きることは絶対にないはずだ。
昨日、丸一日眠っていた、と言っても俺は昨日起こったこと(木葉が刺された昨日)全てを記憶している……、
待てよ、俺には全ての記憶が残っている。まるで、昨日一日(木葉が刺された昨日)が存在していたかのように……。まさか、木葉はあの時、過去の俺の夢に入り込み、昨日の出来事を全て見させたのか! でも、それは上手くいかず、力尽きて木葉も俺も一日中寝込むはめになってしまったのだろうか。まあ、それでも結果的には俺達に対して不運続きの昨日の出来事を全て回避することが出来たってわけだ。
もちろん、俺のこの記憶は全て単なる夢だったっていう可能性もある。
俺は木葉を見た。相変わらず、机に伏せていたが、しきりに周りの様子を伺っているようであった。まるで誰かを探しているように。
その時、俺と目が合った。俺は木葉の傍に近寄った。木葉はまるで不審者を見るような目で俺を見ていた。それもそのはずだ。昨日、仲良く話していた記憶は木葉には無いのだから。
「何か用?」
ぶっきらぼうに木葉は言い放った。
「木葉さん。君には記憶がないだろうけど、俺は木葉さんに命を救われたんだ」
木葉は何かを悟ったかのように目を見開いた。
「そっか。あなたなのね。私が過去の夢に入った人は。しかも、許容量をオーバーしてまで……。お陰で昨日は一日中、苦痛でのたうち回る羽目になったわ。まだ頭がズキズキして痛いし」
苦痛で、のたうち回る……、想像以上の代償があったようだ。
「……ごめん。でも、本当に感謝しているよ」
「この能力って不便よね。私自身は全く記憶が残らないし、君だけが知っているって事でしょ? それって、すっごく気分が悪いわ。でも、どんな理由があって、私は君を助けたのかしらね。しかも能力をかなりオーバーしてまで……。まあ、私自身のしたことだからしょうがないのだけど」
木葉は、俺の顔をチラッと見た。
「俺を助けた理由? 確か、昔、飼っていた猫の、えーと、クーニャって言ったっけな。その猫が俺に似てるとかどうとかで……」
俺が言い終わらないうちに、木葉は顔を真っ赤にして俺を凝視していた。
「な、何で……それを!」
「お前が言ったんだろ? あ、そうか。お前には記憶が無いんだっけな」
「もー! だから嫌なのよ! 何で私の知らないところで、勝手に私のことが話されているのよ! くそう。こうなったら、また君の記憶を書き換えてしまおうかなぁ!」
「だ、駄目だ。それだけは絶対駄目! 取り返しがつかなくなる!」
今、また書き換えられたら、あの最悪の昨日がまた巡ってくる。それだけは絶対に阻止しなければならない!
「じゃあ、全部話して! 昨日あったこと全部! 言っておくけど、作り話なんかしたら承知しないわよ! 私には分かるんだからね」
「あ、ああ。分かったよ」
そして、俺は昨日あったことを木葉に語った。もしかしたら、全て俺の単なる空想かもしれない。確かに、昨日のあの出来事は現実では起こらなかった、だが、俺にとっては確かに記憶に残っている事実であったのだ。
あの時、俺達二人は死という運命の流れを変えてしまったのかもしれない。その代償はこんな事で済むはずがなく、やはり何処かで払わされるのだろう。いつ、その代償を払う時が来るのかは分からないが、その時が来たらその時にまた打開策を考えればいい。それまで、いつも通りの日常を満喫させてもらおう。
いや、もういつも通りじゃなくなってしまった。どうやら、俺は、この人形のように可憐で、しかし自分中心で不愛想な女と運命共同体になってしまったようだ。まあ、それも悪くないかな。一人では無理でも、木葉と二人なら死の運命さえ乗り切られるような、俺はそんな気さえしていた。
すんません。勘違いしてました><
そっちのストーリーの方が断然、少年漫画っぽい展開で燃えそうですね♪
木葉というキャラで、夢見という能力ありき、で考えてしまいましたからねー。
もっと、頭を柔らかくして柔軟な発想が必要だな~。
初めは、通り魔に襲われる木葉を助けて、次に自分がダンプにはねられる。
それで、木葉に死んじゃイヤだとか言われて、なんとか二人とも助かる道を考えるというような感じだと解りやすく盛り上がりそうかな~なんて思ったの。
ほう、ほう・・・。
何だかこんがらがってきたw
自分で作った設定なのに、自分で分からなくなるとはww
最後で能力を主人公が発動させて、木葉の夢を書き換えるってことですかね。
その場合、木葉は危機を回避できるかもしれないけど、時人を助けることが出来なくなるかもってことかあ。
ふーむ、なるほど。そっちでも面白い展開にできたかもしれませんね。
それにしても、何てわかりづらい設定の物語を書いてしまったんだ・・・w
これって、設定をよく練ると化けそうですけど。
例えば、夢見能力を主人公へ持たせるようにすると、最後の逆転が解りやすくなると思います。
主人公が忘れてしまっても、ドラマの中では逆転の思考がはっきりするので。
主人公が好きな女の子を救おうとするけど、自分が死んじゃうかもしれなくなって、大逆転ってのはどうかなぁ。
ご感想ありがとうございます!
名作とか(〃ω〃)、迷作の間違いかなw
ハッピーエンドで終わらせたいと考えてましたからね。
でも、この終わり方じゃあ、ハッピーエンドとは言えないかもしれないw
他のところにも掲載してて、そこでもわかりづらいという、意見が多かったので、反省してますm(_ _)m
もっと、文章力を付けなきゃいけませんね。
その2までは、すごい名作の予感がしていたのですが、かなり名作だと思います。
みんな助かる方法は、とてもよかった^^
でも、設定の制約上、ぼんやりしているところがもったいなかったです。
不幸の先送り感がちょっと怖いのですが、二人で乗り越えていこうとするラストもよかったと思います。