ある歌の物語 第一章 「10万年前」
- カテゴリ:30代以上
- 2013/10/08 22:27:00
洞窟の中。
裸の人々が火を囲んでいる。
獣の皮を腰に巻き付けた男もいる。
泣いている赤ん坊もいる。老婆もいる。
ほとんどが家族だが、独り身の男と女も交じっている。
サバンナの狩りでとれた動物の肉を火にあぶる。
その日は大猟だった。
みんな笑顔だ。
そのうち、人々は踊りはじめる。
狩りと自然の神に感謝を捧げる踊り。
大猟であること。
食べられること。
生きていること。
テンポがよく激しい動きの踊り。
踊り疲れた頃、一人の若い男がたちあがる。
その男が歌いはじめる。
力強い愛の歌。
みんな、踊りを止めその場に座る。
静かに聞いている。
言葉はまだ発達していないが、その意味は誰にでも分かる。
相手がだれかも、みんな知っている。
女が立ち上がる。
歌にあわせて踊りはじめる。
舞うような踊り。
美しく妖艶な舞。
みんなは、それをみつめている。
ただ、じっと見つめている。
歌いながら、踊りながら、二人は見つめ合う。
若い女も歌いはじめる。
愛の歌。
ユニゾンは洞窟の中に響き人々を魅了する。
(/ω\)イヤン