「星屑の街」
- カテゴリ:30代以上
- 2013/10/01 20:29:18
「星空を見に行こう」
少年が少女に言います。
「星空?ここからは見えないわ」
少女が答えます。
「僕は聞いたんだ。高いところに行けば、星が見られるらしいよ」
「高いところって・・・」
「そう、街灯りもきっと届かない、この街の一番高いところさ」
二人は目の前の、この道で一番高い建物を見上げます。
「わたし達じゃ無理よ。追い出されてしまうわ」
「頑張ったんだ。君と星空が見たかったから・・・」
少年は、ぶっきらぼうにそう言うと、少女の手を引いて建物に入っていきました。
「ねえ、無理したんじゃないの?」
「大丈夫。ちょっとだけだよ」
少年はただ上だけを見て、足早に少女の手を引いて階段を上ります。
少女は少年に手を引かれながら、灰色の階段と時折窓から見える景色を眺めます。
「どこまで行くの?もうずいぶん高くまで来たと思うけど」
「星に手が届くまでさ」
やがて二人の前に大きな扉が見えてきました。
「ほら、ここを開ければきっと星空だ」
少年は、扉を開くと、少女の手を引いて中に入ります。
そこは、街で一番高い建物の屋上に作られた、オープンテラスでした。
「いらっしゃいませ」
黒い服を着た男の人が、二人を景色のよく見える席に案内します。
「何だか、落ち着かないね」
きょろきょろと空を見上げる少年に少女が言います。
お洒落なテーブルにお洒落な椅子。
大人びた雰囲気が、街灯りにも似た照明に浮かび上がります。
でも・・・
見上げても空にはひとつの星も見えませんでした。
「どうして!ここまで来ればきっと星空が見えると思ったのに!星に・・・手が届くと思ったのに!」
泣きそうな声で少年が言います。
「星空なら見えるじゃない。ほら・・・」
少女が↓を指さします。
足下に広がる景色。
様々な色に輝く小さな光の粒。
流れるオレンジの皮。
行き交うたくさんの流れ星。
それは、まるで星空のようでした。
「でも、それは星空じゃないよ。ただの夜景だよ。僕たちの街の」
「ううん」
少女はゆっくりと首を振って続けます。
「わたし達はね。星空に暮らしているんだよ。ね」
そう言って、そっと少年に肩を寄せるのでした。
おしまい。
わたしのつたないお話にコメントをいただいてありがとうございます。
このお話が、皆様の笑顔に繋がれば嬉しいな、と思います。
(#^.^#)
最後の言葉が好きw
うんうん~♪ 星空に手が届かないと嘆く~少年に言う~少女の言葉が、良いですよね^^
この2人は、大きくなって結婚しても~キット良い夫婦になるよね^^
プロポーズもこのテラスだと…ステキだよね^^
僕らはきっと気づかないんた。
近すぎて、当たり前過ぎて。
いい話だよ。
大事は物や大切な人は近くにいるだね。
ありがとう。
....
(だから?)w
うまくまとまらなかったかな~
でも、なかなか可愛い結末にはなったんじゃないかな?
(#^.^#)