ストロベリーラブ 【 55章 】
- カテゴリ:自作小説
- 2013/09/24 18:44:22
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一輝…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。
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第五十五章 『 謎の行動 』
口に手を当て、体を震わす。
パリッとしたスーツを纏い、姿勢を整える蒼井竜馬の姿…
香理奈来ないで…と、何度も何度も願ってしまった。
彼女が見てしまったらきっとまた気持ちが揺らいでしまうから。
「 ──か? 」
ボーッと一点を見つめ、入り口を気にする。
香理奈がいつ来るかいつ来るかと冷や汗が止まらない。
音や、視界さえも曇ってしまう…。
「 苺華っ!! 」
「 えっ…!? 」
突然耳に突き刺さった大きな声。
それは一輝の呼び声だった。
目を隣に向け、一輝を見上げる。
一輝の顔は困った子供のような顔だった…。
また…心配掛けたんだと確信した私は一輝の腕を掴み、
「 ごめんね、大丈夫だから。 」
と、笑顔で返した。
だが一輝は顔を変えない…。眉を歪ませたままだった。
ずっと私の腕を掴み続け、放そうとはしない。
すると、
…ガラッ
「 …っ!! 」
突然鳴り響いた扉の音…。
そこに立っていたのは、茶色い鞄を背負った香理奈だった。
思わず掴まれていた腕を思い切り振り払ってしまい、
そして駆け足で香理奈へ駆け寄る。
手を伸ばす一輝を視界さえ入れずに…。
「 香理奈っ…!!! 」
私は慌てて香理奈の腕を掴み、教室を飛び出す。
香理奈の視界に蒼井竜馬を入れないようにした。
「 痛い痛いっ!!!何っ…!? 」
走りながらそう叫ぶ香理奈。
そんな声も耳に入れず、必死に走った…。
そして、着いた場所は人気のない4階の廊下だった。
ゆっくり放した香理奈の腕には手形ができていた。
香理奈は手形を見ながら、
「 痛いなぁっ!!何するのっ!? 」
と、怒鳴った。
私は息を切らしながら、
「 ご、ごめん…。 」
と、謝った。
「 何でこんな事したの…!? 」
香理奈が尋ねる。
だが、私は「 ごめん 」以外言葉を発さなかった。
絶対にこの事だけは言えない…。
香理奈は不思議そうな顔を浮かべ、私を見つめる。
だが…私は唇をかみ締め、黙り込む。
目をギョロギョロと泳がせ、困る香理奈。
ただ目を瞑り、黙り込む私…。
4階には嫌な雰囲気が漂う…。
そんな時…、
「 香理奈… 」
透き通った爽やかな声…。
今一番聞きたくない…声。
「 っ…!? 」
香理奈に一番…会わせたくない奴の姿があった。
※実話ではありません(続く)
かずき君やっぱりかっこいいですねー