映画「世界一美しい本を作る男」
- カテゴリ:映画
- 2013/09/22 23:55:24
昨日、ミケランジェロ展に行く予定だったはずが、
急遽タイトルの映画にいくことになりました。
というか本日夜中2時。
「朝10時50分からと、夜の2回しかやってないんだよー、どうする?」
といわれ、あわてて朝に渋谷に行くことに。
2時から入浴、就寝3時半。起床8時。8時50分駅に向かう。
まあそんな感じで10時あたりに映画館についたのですが、
もうその頃には映画館の前には行列が…!!!
まあ、東日本でこの映画やってるの、ここと新潟だけなんだから仕方がない。
タイトル通り、ドイツの出版社の人が主役の映画なのですが、
実はこの映画の監督、以前みた「エル・ブリ」というスペインの世界でもっとも予約が取りづらいといわれていたレストランのオーナーシェフをおいかけたドキュメンタリー映画を撮った監督。
いろんな意味であの映画、日本人には微妙だったんだけど、
今回はどうなんだろう……。
(例えば前衛的なものとして、オブラートにつつんだドレッシング←オブラートって、日本以外ではあんまり使われてないらしい。、冷凍みかん、…ほかにもまぁ微妙な日本的味覚が…だしはあったっけな…)
という疑心暗鬼も含めて見に行ったのですが、
ええと。
顧客はめっちゃ著名なカメラマンやらデザイナー満載で、そのぶん本の仕上げも紙が上等なうえ、印刷もオフセット+活版印刷、しかも発行部数350部。ページ数は分からないけど厚みは5センチはありそうなB4くらいはありそうな特装本。
……1冊100万円也。とか、まあ、美麗写真集をいっぱい、その人の会社で企画から印刷、製本、発行、販売までやってるという出版社。
仕事の内容とかは、実に普通に顧客とやりとりしてるわけですが、その顧客との打ち合わせが実に地球規模。会社はドイツなのにアメリカやらカタールやら、あっちこっちとびまくり。時には78万ドルの価値のあるフィルムをすべて預かって移動。とか。
その移動費用もやっぱ経費にかかるんだよね…?
…と、微妙に経費計算してしまう小心者の私。
映画の紹介をしてくれた配給会社の人によると、
すべてを自分の手でやっているからこその素晴らしい出来の本。
とか言ってましたが、
印刷技術やら紙質やらがめっちゃいい日本人の印刷業界を知っている私としては
…別に信頼がおける相手とか会社だったら、その道のプロのまかせてしまってもいいんじゃないか、と。そのほうがよりよいものが出来る可能性はさらに広がる、という事も実は知っているので、ちょっと微妙…。
まぁ、すべての行程にかかわって責任をもって仕事をしたい、という気持ちはめちゃめちゃわかるし、日本以外の国だと、たしかにそれくらいしないとクオリティを望めないのかもしれないけれど。
とはいえ、彼の顧客との打ち合わせの内容は、地味に素晴らしい。顧客の考えが足りていない所をさりげなくフォローして、よりよいものをつくれるように誘導する。…その誘導できる幅が多分、他の人よりも何倍も広い。これって誰にでもできることではないよなぁ。と。こういう能力があって、しかも自分の仕事に対して真摯に努力ができるのは、凄いなぁと思うのです。…欲を言えば、もうちょっと主人公であるシュタイデル氏の内面にスポットをあててくれると、よりはいりこみやすかったんだろうなーと思ったりもするのですが…。
まあそんな感じで見終わった後、こっそりパンフレットを買って(もうちょっと高くてもいいから装丁をグレードアップしてほしかった…この映画のくらいは。)
読んでみると、シュタイデル氏のコメントが。
「日本は、紙や表紙用の布など、世界で最も美しい本の為のマテリアルと技術を要する国です。自動車産業やオーディオだけではありません。色、筆、印刷紙、印刷機など本当にすばらしい技巧の伝統を持っています。この豊かさを日本のみなさんは知っていますか?私に次の生というものがあるのなら、日本に生まれて、今のような出版社を経営したいというのが私の望みです。そうしたら「世界一美しい本を日本で作る男」というドキュメンタリー映画ができますね。」
……来世でも今とおなじように美しい本がつくりたいと思っている彼は、めちゃめちゃかっこいいと思いました。てか、映画よりこっちの言葉に感動した。素敵すぎる。
印刷は、ほんとに、もうずっと前から日本のはすげーですよー〜。
とはいえ、実は印刷機械はドイツのローランドってのが素敵に素晴らしいのですが…
(シュタイデル社でも使用。日本でも多くの会社がこのメーカーのをつかってます。注※オルガンのローランドではありません。)
で、この映画を見ながら、潤沢そうな予算を思ってよだれをたらしていた自分には、
「世界一美しい本」はとてもとても手が届くところでは…。
別のところで頑張りますよー。
とはいえ、やっぱあのコミュニケーション能力は、かなり欲しい…。
映画を見た私がいうのもあれなんですが、「100万円の本」というところで、
すでに私のキャパはオーバーしております。
シュタイデル氏のコメントは、映画にはまるででてきていないのがじれったいところ…。
この監督さんの手法だと、本人のモノローグが一切ないので、
ちょっとものたりなくもあるんですよね…。
ああ、パンフレット、買っておいてほんとうによかった……。
そなのかマテリアルは、世界一。日本。
あとは、誘導できる幅かー。カッコいい。
1冊100万円の本にピンとこないのでw
シュタイデル氏のコメントに同じく感動しました。
かっこいいですね!