Nicotto Town



嘘吐き<ライアー>(自作小説倶楽部お題)

吐き<ライアー>

副題:自作9月/ 秋の気配 & 嘘

「サライ・イグレット! 居る?」
ノックもなくジャネットが部室に飛び込んできた。
室内を見回し標的を見つけると、ツカツカと歩み寄る。
サライ・イグレット=ライはヨーヨ―で遊んでいた。
「先に私に連絡してって言ったはずよね」と、ジャネットは迫る。「文句を言われるのは私なんだから!」
「昨日メールしたぞ」と、ライ。
「届いてないわ!」
バンと、ジャネットが机を叩くと、彼女の携帯端末<メディアパッド>が着信音を放った。
「今届いたようだが」
ライは肩をすくめて見せた。
メディパドを確認すると彼の言う通り、メール発信は昨日の日付となっていた。
「わかった…」と、ジャネットはため息をつきつつ足早に去って行った。
彼女が出て行くと部屋にいた五人の軽蔑の視線がライへと向けられる。
「アンタわざとやってるでしょ」と、レイナ。
「遅れたのはメールサーバの所為だ」と、ライはヨーヨーで'犬の散歩’を始める。
「それで、彼女が怒鳴り込んできたわけは?」と、ジョンソン。
「……学祭の件だ」と、ライは窓の外に視線を向け、うわの空で答える。
「あ、ジャネットやん」と、ライの視線の先に気づきサイモン。
どことばかりに全員の視線が窓の外へと向く。
ジャネットは管理棟の方へ去って行った。
なにか考えるように、ライはヨーヨーを目で追い’散歩’を繰り返す。
「変だ」と、意味ありげにライ。「おかしい」
ライはなにやら腑に落ちないようだ。
「あいつがこの程度の事で騒ぐわけがない」
「疲れてるんじゃない。誰かさんの所為で」と、レイナは嫌味たっぷりに皮肉る。
「まあ、確かに普段やったらライの方を呼びつけるやろなぁ」と、サイモン。
ライはヨーヨーをキャッチし目を細め呟いた。
「男だ」と。
その発言に対し狂騒の嵐が巻き起こる。
確かに生真面目、優等生の堅物として認知されているジャネットからは想像すらされない事情であった。
「よし、賭けよう」
レイナがキッと鋭い視線をライに投げるが、彼はそれをさらりと躱した。
「せやけど、あのジャネットが、やで」と、懐疑的にサイモン。「あり得るん?」
「じゃあなんかあったら、胴元の俺の総取りってことで」と、自信有り気にライは言う。「掛け値は10だ」
「待ちなさい! あたしも乗るわ!!」
「そう来なくちゃ」
ライはニヤリとほくそ笑んだ。
「ブライアン」「モーリス」「ジェイソン」「ジョン」「グレッグ」
ボードに各々予想を書き込む。だがアンダソンだけは書かなかった。
「よし、いいだろう。だが言い出したのはお前だぜ」
賭けの内訳を確認し、ライは言った。
「いいわよ。見てなさい!」
レイナは部屋を去るあとをジョンソンが追う。
「なんでむきになってるんだ。あいつ<ライアー>のいつもの手口じゃないか」
「違うわ」と、レイナは白状した。「腹が立つのはあいつの勘の良さよ。あたし知ってるのよ。ジャネットの事」
聞くところによれば、ジャネットの面子を立てて黙っておくつもりだったという。
しかし、このままではライの一人勝ちだった。そこでレイナは自らが介入することで賭けの内容を変えることにしたのだ。
「他人の恋路で賭け事なんて、あんな卑劣な詐欺師は一度痛い目を見るといいんだわ!」
かくしてジャネットの身辺調査が行われたが、証拠は何一つ掴めないまま週末を迎えた。
ジャネットが日曜日にどこかへ出かけるらしいという情報をレイナがどこからか入手してきたからだ。表向きは。
レイナが意図的に流した情報だが、内容は本当だ。
だが、それを知るのはレイナ本人とその意味を知るジョンソンだけだったはずだ。
そして一同は駅前に集合した。
各々のメディアデバイスから「ぽすとーく」のアプリを起動し、リアルタイムで配置についた場所からの情報をアップロードする。
「どういうつもりなんだ?」と、ジョンソンがライを問いただそうとした時、「ぽすとーく」経由で声が流れた。
「ええーッ!」
「ウソやろ!!」
最初に現れたのはモーリスだった。続いてジャネットが現れ、二人は移動を開始する。
二人は初々しく手さえつないでいない。これでは、事の真相がどうなのかわからない。
『追跡しろ』と、ライが命じる。
一行は次々に一定の時間でメンバーを変えつつ一行は二人を追跡した。
結局、二人が行ったのは通りとモールだけで、それがデートなのかわからないまま、夕刻の河川敷までたどり着いた
二人は並んで夕焼けを見ているようだったが、不意にジャネットがモーリスに向き直って何かを言ったのだ。
内容は聞き取れなかったが、ジャネットが言ったことは大体想像がついた。
ジャネットが何か言った後に二人はハグしてキスしたのだから。
一同が遠くから見守る中、二人の後ろでは、賞賛するように土手の夕焼けに染まったススキが風揺れていた。
翌日、部室に入ると待ち構えるようにレイナが腕組みをして立っていた。
「あんた達あたしの勝ちね」と、全員そろったのを見極め満足げにレイナ。「ほらさっさと出しなさいよ」
レイナは全員に10クレジッタ札を差し出させた。
「ライ。あんたもよ」
「ほらよ」と、悔し紛れにかライはポケットからクシャクシャになった10クレジッタ札を投げた。
「まいどあり~」と、レイナは集めた札を数える。占めて40クレジッタ。
「こないだのみんなの立て替え代ね」
レイナはそれに足りない分を足してアンダソンに渡すと上機嫌で部屋を出て行った。
「さすがの君も今回はレイナ嬢にはしてやられた訳だ」と、ジョンソンはライに言った。「ところで君は知っていたのか?」
「何をだ」と、ライは窓の外を見ている。
「とぼけるなよ。あの二人ができていることを知っていたんだろう」
「何も知らなかったさ」と、ライは片眼をつむって見せる。
「だが、レイナを賭けに乗った時点で、彼女が勝つことはわかっていたんじゃないのか?」
「まあな」
「ならなぜ、それならレイナに賭けを譲った?」
「別に譲ってはいない。現に俺はあいつとの賭けに負けたんだ」
しかしジョンソンとしては腑に落ちない。
通称ライ、'嘘吐き<ライアー>’とあだ名される彼が賭けで負けることなどあり得ないのだ。
不意にライが叫んだ。
「おーい、モーリス!!」
見れば、窓の外、モーリスが女の子を取り巻きながら歩いている。
秋の大会に向けて練習に行くのだろう。ファンの女の子は少ないがこれから日に日に増えていくに違いない。
モーリスは手を挙げてライに答えた。
「この色男がぁ!!」
ライは叫んで悔しがってみせるのだった。
「そうか君はわざと彼女を賭けを持ちかけて勝たせたな。ジャネット為に」
いやこの賭け自体、君の嘘だな。君はこうなることを知っていた。
でもまさかライアーなんて悪名で呼ばれてる君がこんな行いをするなんて意外だよ」
「見直してくれたかな」と、ライはモーリスが取り巻きと共に去ってしまうと窓際を離れた。
「おいアンダソン」と、ライは机に置かれた彼が先ほどレイナから受け取った札束を取り挙げた。
「なっ!? まさかアンダソン。君も賭けていたのか?」
「ああ、モーリスに彼女がいるかどうかにな」と、ライは取り返したクレジッタ札の束を数えもとのポケットしまう。
「こいつはクレアだと賭けた」
確かにモーリスはチームマネージャーを務めているクレア・シーンとよく一緒に居るのを見かける。
普通に考えて可能性がありそうなのはクレアだろう。
「だけど相手はジャネットだった」
ライは満面の笑みを浮かべ、アンダソンにもうひと手招きする。
アンダソンはため息をつくと、無言ままポケットから財布を出し、50クレジッタ札を抜いてライに差出したのだった。
<END>

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2013/10/13 22:10
サークルカフェではどうもです^^

読ませて頂きました^^

まず 結構読みやすいと思いました^^ まあ 文字が小さいのを除いてw
あと 個人的にもインデント使わないタイプですw 同志がいて ちょっと肩身が広くなったw

内容に関しては
主人公がクールキャラなのにヨーヨーで遊んでる所がウケたw 犬の散歩とかもw
でも 中々の策士ですねw クールなのは伊達じゃないw

しかし 結構野暮な団体ですねw 他人の恋愛を賭けの対象にするとわw
ちなみに 何部だったんです?w

あと キャラ名は欧米風ですが 世界は日本風な設定なのかなw 河川敷とかがなんとなくw

表現とかに関しては言うつもりないですが
脱字は結構多かったですね
あと 似た意味の言葉の繰り返しもいくつかありました


ところで もしお時間あったら
おれが 小説家になろうで投稿したやつを読んでみて欲しいです^^

http://ncode.syosetu.com/n7849bj/


内容は出版したやつと一緒ですw
ただ 出版はまだ9章までしかしてなくて 投稿版は普通にその先も載ってますw
でも 9章以降はまだ修正してないのでショボ過ぎますが;;
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2013/10/13 01:07
やはり掌編はイケる

プロット習得とのこと大作を狙いますか?
大きな賞をとって地位を安定させるという手段が一般的でありますが
小さな賞をとって、プレミアの高い賞をとってゆくという方法もあるそうな
桜庭一樹は後者だそうです
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2013/10/05 20:44
一枚上手だったと言う事ですね。



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