Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


アンリ・ルソーしかはじまらない。

世田谷美術館へいってきた。
「アンリ・ルソーから始まる 素朴派とアウトサイダーズの世界」
前回の東京ステーション・ギャラリーでの展覧会…以上に
あまり面白くない展覧会だった。
たぶん、そうだろうなと思っていってきたので
がっかり感はなかったけれど。
あれなら、大野麥風展のほうが、まだ心がなびくものがあった。

素朴派的な絵というもの、だいいち、
アンリ・ルソーとニコ・ピロスマニ以外は
基本的にうけつけないのだから、結果はわかっていたはずだ。
だが、もしかして…と
この二人的なものとの出会いを、どこかで期待
していた。

偏見かもしれないけれど、60歳になってからいきなり絵を…
とか、
べつの仕事をしながら絵を…という人々の作品は、やはり
ぬるいような気がする。
芸術性のようなもの、そこにかける力のオーラがうすい。
ぬるま湯の、ちょっとものめずらしい作品。
どうぞ勝手にしてくれ。といいたくなる。

もっとも、ほかに仕事をもちながら、というのは、けれども、
今をいきる多くの芸術家がそうだろう。
だから、それはいいのだ。そのほうが純粋に対象に
うちこめる、というのもある。
だいいち、わたしだってそうじゃないか。
なのに、展示されていた絵がきにくわなかった。
それは、まるで、わたしの生活を否定されているようで
そのことも、ちょっと、気分的に…。

ルソーは、もちろん、よかった。
が、なんども、ここで見た作品だ。
《サン=ニコラ河岸から見たシテ湾》の、自分の職場あたりを描いた作品。
夜の風景。月があたりを照らしているのが、
べつの太陽がそっと、幻想の世界を照らしているようで
やはり、すきな作品だった。

《散歩(ビュット=ショーモン)》の、近くの公園(すこしだけ異国的な植物が植えられているらしい)を、描いているのに、どこか、やはり南国のジャングルを夢みているらしい、その残像のようなものがみられる、木々のまねき。
画面左したに、ちいさな穴のような入口がある。ちいさすぎる、モグラの穴かなにかのような入口。この穴が好きだったな、この穴へむかう人物の、あまりの小ささも。そう思い出しながら、キャプションをみると、この穴は、人口の滝の裏に出るための洞穴なのだとあった。よく熱帯植物園とかにあったなと、自分がかつて体験したその滝の裏の光景を思い浮かべて、親近感のようなものを感じた。

彼はわたしを否定しない。でかけなくても、異国はあるのだと教えてくれる。
仕事をしながらでも、賭ける気持ちがあれば、芸術家になれるのだと
背中を押してくれる。

この展覧会とは別に、常設で、新収蔵展を開いていた。
こちらも期待していなかった。
わるいけれど、どうして、こんな絵、わざわざ新しく収蔵したのだろう?
とか、思ったり。

けれども、駒井哲郎。彼の絵は、おそらく埼玉県立美術館の常設で
みたのが最初だったが、銅版画作品などが、何点かあって
気にかかった。
あの幻想は、もっとなじみたい幻想だ。

そして以外だったが草間弥生。
あの水玉たちがあまり好きでなかったのだが
1975年の作品3点は、水玉がなく、
叫びや祈りのようなまなざしが描かれていて、
目にとまったのだった。

ちなみに、ここは、うちから2.5キロらしい。
ルート探索して、自転車でいったが、
裏からいく、一番近いはずのルートは、
住宅街をとおる道で、いっぽまちがえると、ゆきどまりになってしまい…
もどろうとしたのだけれど、道がこまかくわかれ、おまけにくるくるまわっているうち
どこにいるのか、わからなく…。ばかだと思ったが、基本的に方向音痴なので、
しかたがない。ともかく美術館は公園のなかにある。まずこんもりとした森をさがす。
あったので、めざすが、またゆきどまり。
公園(正確には美術館のある砧公園ではなく、隣接した大蔵運動公園だが)にたどりついたので外縁にそってしばらく走ったが、その道も途絶え…。
それでも、どうにかこうにかして、運動公園へたどりついた。
あとは公園内をはしって、砧公園へゆけばいい、ということになったが
家の近くで、こんなにあせって道をさがす自分がおかしかった。
街がみしらぬ様相を呈して、わたしに小さな牙をむけてくるようだった。

帰りは、それがあったからではなく、知っているほうの大まわりの道から帰る、
そちらのほうにあるスーパーによりたかったので。
ここには、ブックオフがはいっている。
ひさしぶりに、ブックオフへ。
あまり期待していなかったが、
105円の単行本で、わたしの好きな作家の、
わたしが読んでいない小説がうられているのを発見した。
1991年のもの。
彼女の小説はほとんど読んでいるはずだったのに、しらなかった。
しかも、なぜか外国人作家のコーナーにあった。
だから、はじめ、翻訳でもした本なのかと思ったが
そうではなかった。
ともかくうれしい出会いだ。

来週は出光美術館へゆく予定だ。
割引チケットが、世田谷美術館にあった。







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