ストロベリーラブ *36話*
- カテゴリ:自作小説
- 2013/08/11 16:42:25
✿主な登場人物✿
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪ってしまった。玲奈と怪しい関係……?
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第三十六章 『 救助してくれる兵士 』
「 …ふぅ。 」
学校に到着し、ひと段落ついていた私。
鞄を机の上に置き、椅子に座る。
( そういえば香理奈…どうなったのかな…。 )
そんな事を思いながら、
iPhoneをポケットから出し、香理奈宛にメールを送った。
『 宮木君とどうなった? 』
後は香理奈の報告を待つだけだ──。
「 っ… 」
ううん、不安になることなんかないっ。
きっといい報告が聞けるはずだからっ──
見たでしょ…宮木君が大急ぎで走ってく姿をっ…。
大丈夫、何も不安になることない、大丈夫だから…。
「 …ねぇ、斉藤さん 」
「 は、はいっ? 」
ボーッとしてる中、隣で声を掛けられた。
そこに立っていたのは、か弱そうな小さい女子。
腰を低くさせ、肩を縮ませ、手を握り締めている──。
まるで小鹿のようだ…見覚えもないし。
「 …あ、あのぅ 」
「 あっ、はいっ? 」
つい見入ってしまうくらい、可愛い。
まるで、お人形さんみたいだ…。
「 え、えとっ。君…長谷川さんと仲良かったよね? 」
「 え? うん。 」
「 よかったぁー、間違ってたらどうしようって思ってたんだぁっ 」
「 え? あ、そうなんだぁ~ 」
安心したようにニコッと笑い、胸を撫で下ろした彼女。
やっぱり小鹿みたいに怖がりなんだな。
本当に小鹿みたい…。
「 …あ、あのっ、それでっ… 」
「 ん? 」
首を傾げ、尋ねると、彼女はまた不安気な顔に戻った。
「 え、えぇと…。長谷川さん…大丈夫だったのかなっ? 」
「 え? 」
「 いや、第二理科室に入ったって聞いたから… 」
「 あ、ああっ… 」
こんなところにも心配してくれてる人がいたんだ…。
皆、何も思ってないって感じだったのになぁ…。
小鹿みたいに繊細で、お人形さんみたいに可愛くて、小さくて…
こんな可愛い子なのに優しいなんて完璧すぎる…。
「 あの… 」
「 へっ? ああ、香理奈なら大丈夫だよっ 」
「 ほっ…本当ぅ…? 」
「 うんっ!!香理奈に伝えとくね。心配してくれてたよーって 」
「 う、うん!!ありがとうっ!! 」
ニコッと可愛い笑顔を見せて、ペコッとお辞儀をした。
ヒラヒラと手を振って、自分の席に戻っていった──。
( 可愛い子だなぁー。香理奈に伝えといてあげようかな。 )
そういえば…名前聞くの忘れてた。
…キーンコーンカーンコーン♪
「 あ、鳴っちゃった…。 」
鞄から教科書やノートを出して、机の中にしまった。
授業が始まって、シャーペンを手に執るが、授業に集中できない。
今だに香理奈からメールの返事が来ないのだ。
( どうしたんだろ、香理奈… )
そろそろ返事があってもおかしくない時間なのになぁ…。
どうしたんだろ…。
「 ──で、それで… 」
先生の説明さえ耳に入って来ない…。
ああ、香理奈…、ちゃんと成功してますようにっ…。
「 …で、あっ、コラッ!!!斉藤っ!!! 」
「 えっ? あっ、はい? 」
「 …今のとこ、読んで。 」
「 えっ!? ええ…ええっと… 」
やばい、聞いていなかった!!!
授業上の空で、ずっと香理奈の事考えてたあああっ!!!
「 斉藤? 読めないの? 」
ニヤニヤしながら尋ねてくる国語の先生。
50歳のおばさんのくせに、やること大人気ないなっ!!
「 うわぁ、また斉藤いじめられてるぞっ 」
「 まあ、目付けられてたもんなあー… 」
コソコソと男子達の声が聞こえてくる──。
そう…国語の先生は何故か私を目に付けてる…らしい。
授業上の空の人とかいっぱいいるし、ノート写してない人とかもいるのにっ!!!
「 斉藤さん? どうしたのかしら? 読みなさい~ 」
うぅぅぅう…あの笑顔めっちゃ腹立つっ!!!
「 センセー、俺が読みますー 」
「 えっ? 」
そう挙手したのは、幼馴染の竜生だった。
「 りゅ、竜生っ… 」
パアッと顔を明るくして、竜生のほうを向いた私。
それにイラついたのか、国語の先生はムッと顔を険しくさせた。
「 ダメですっ!! 斉藤さんに── 」
「 センセーって意外と冷てぇんだなァ。 」
「 え? 」
「 俺、センセーはもっとイイ女だと思ってたぜ。 」
「 えっ!!/// 」
本当に昔から口がうまいんだからっ…。
でも、今はそれが活かされてるからいいやっ。
国語の先生は、顔を真っ赤にしている。
どうやら竜生のルックスと、言葉には弱いらしい。
「 ま、まあ? 高城君がそう言うなら? 」
「 ヘッ、さすがセンセーだぜ。 」
そう言って、竜生は教科書を持って立ち上がった。
私が読むはずだった文章を一回も噛まずに、スラスラ読んでいく…
私だったら絶対に噛んでる…。
「 ──だ。 はい、終わりましたよ。 」
「 ブラボォー!!さすが高城君ね!! 」
「 ハハッ、センセーに褒められたら嬉しいなァ。 」
「 まあっ、お上手ぅ~/// 」
国語の先生は顔を真っ赤にさせ、両頬に手をやった。
「 ヘッ、あの野郎、女の顔になってやがる。 」
「 え? うわ、マジだ。 」
「 ハハッ、こりゃ斉藤を馬鹿にできないくらい面白れぇじゃねぇか。 」
コソコソと話してる男子の会話を聞いて、少し喜んでしまった。
何で私に目付けてるのかは知らないけど、そういうのエコひいきって言うし。
そういうの大嫌いだし、もはや私がされてるしっ──
「 コラアアッ!!!さいと── 」
「 アハハッ、先生ってばどんだけ斉藤嫌いなんだよー 」
「 え? 」
別の男子が大きな声で言った。
「 そんな斉藤の事嫌いならさァ…正直に言えば? 」
ニヤニヤしながら、そういう。
この男子は確か…この先生が嫌いな男子だったような。
もうどうでもいいからとりあえず責めてくれ!!
んで、もういじめないようにやってくれっ!!
そう心の中で、男子を応援していた。
「 いい加減になさい!! 調子に乗らないで!? 」
「 えー?でも… 」
…キーンコーンカーンコーン♪
「 あっ、鳴っちゃいましたねー。ではさよーならぁー 」
「 クッ…覚えてらっしゃい!! 」
そう言って、飛び出して行った。
直後に教室中に大きな笑い声が聞こえた。
「 アハハハッ!!やっるぅー 」
「 えー?竜生こそやばかったぞー(笑) 」
遊び感覚でやってたんだな。
…でも、なんとか助かった。
…ヴー、ヴー
「 おっ 」
丁度香理奈からも返信が来たみたい。
※実話ではありません、(続く)
↓✿斉藤苺華✿
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37680926
↓✿長谷川香理奈✿
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=37681130
ドキドキですm