ストロベリーラブ #3
- カテゴリ:自作小説
- 2013/07/12 15:15:38
斉藤苺華…特に何もない平凡な女子。この春、初めて恋という存在を知る事になる。
日村一樹…同じクラスになった。苺華の心を奪う。クールに見えるがそうでもない。
長谷川香理奈…かつて苺華と仲が良かった女子。今回のクラスで偶然再会を果たした。
宮木功…イケメンだが、バカ。香理奈の心を奪いかけているらしい。
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第三章 『真っ赤な恋するストロベリー』
「 …きっと恋しちゃったんだよ。 」
「 …はぁ!?そんなんじゃないしっ…! 」
始業式の帰り道…、長い、長い坂道で香理奈が呟く。
そして、私は大きな声で叫んだ。
「 ちょ、苺華うるさい! 」
「 だって、香理奈がそんなん言うからっ…。 」
「 いいじゃん、別に恋しちゃったんだから。 」
「 だーかーらぁっ! 」
あの時…、彼の笑顔を見て、感じた不思議な感情を香理奈に相談していた。
香理奈は”恋だ、恋だ”って言うけど…。実際の所、よくわかんない。
「 苺華はさぁ、日村の笑顔を見てドキッってなったんでしょ? 」
「 …ド、ドキッ…って…//// 」
言われてみれば、そんな感じの音がした気がした。
ずっとぶら下がっていたままの感情を奪い取られたような…
「 まぁ、私も宮木君に奪い取られちゃったからなぁ~♡ 」
「 ハ、ハハハ… 」
香理奈はすごく楽しそうだった。
いつも真っ白な頬は林檎のように真っ赤に染まっている…。
( 恋ってこんな感じなのかもなぁ。 )
香理奈の両頬を見つめながら、心の中で呟いた。
「 あ、じゃあ家こっちだからー。 」
「 ん、じゃあね~。 」
別れ道で私達はお互いに手を振り合い、別れた。
始業式だったので、まだ空は水彩絵の具で塗ったように綺麗な水色に染まっていた。
ギラギラと私を照らす太陽を覆い、私は空を見上げた──。
「 …恋、ねえ。 」
こんな感情初めてだから、自分ではよくわからない。
どこかの携帯小説で読んだことがある…。
「 アピールしなきゃ始まらない。 」 「 恋は当たってみるべし! 」
…まあ、それは物語の中の話だから皆告白とかには成功してるんだけど。
現実となってくると、どうなるんだろう…?
ミーンミーンミーンミーン……
考え込む私の耳にただただ蝉達の声が木霊した。
「 ……むぅ 」
いくら考えてみても、答えなんて出ない。
…とりあえず、今日はまっすぐ家に帰るしかないな。うん。
鞄を背負い直し、私は小走りで家に帰った。
―家に到着―
─────ガチャ。
「 ただいまぁ。 」
「 あら、お帰りなさい~。もうすぐお昼ご飯できるからねぇー。 」
「 へいへーい。 」
返答し、私はすぐに部屋に向かった。
─────ガチャ。
「 ふぅ。 」
──ボフッ。
鞄を床に置き、私は一つ、ため息をついた。
クッションに顔をうずくめ、自分らしくもないが、”恋”という事について考えた。
「 ……… 」
グルグルグルグル考え込んだ…。きっと10分は考え込んだ。
…だが、答えなんてまったく出てこない。
「 …あぁ~、もうっ!何なのよ!」
短い髪を掻き毟り、私はまたクッションに顔をうずくめ、ため息をついた。
「 苺華~、ご飯出来たわよー? 」
「 あ、はぁい。 」
私は気を改め、体を起こしてリビングに向かった。
テーブルに並べられたのは、カレーライスと…
「 お母さん…、これ…。 」
「 ええ、苺華の大好物よっ。 」
向こう側が鮮明に見えるくらい透明がかった丸い器に、3つ綺麗に並べられた苺達。
なんだかこの食べ物を見た瞬間、私は思った───。
「 恋…。 」
なぜだかは分からないが、この果実を見ると、その言葉が浮かんだ。
「 は?苺華、どうしたの? 」
「 いや!何もない! 」
「 ………?変な子。 」
母は不思議そうに首をかしげ、フォークを差し出した。
「 あ、ありがとう…。 」
PLLLLL....、PLLLL.....
「 ん?メール? 」
テーブルの上に置いてあるスマホに手を伸ばした。
「 …ん?香理奈からだぁ。 」
To: 苺華
さっき、勇気を振り絞って宮木君にメアド聞いてみたっ!
そしたら、OKだって~(>ω<)♡マジ最高な気分だよぉっ!
苺華も勇気振り絞って、話しかけてみたらどう?日村に(笑)
「 んなぁっ!//// 」
本文を読み終わった後、私は赤面した。
本当に火か出るのではないかというくらい熱くなった。
でも…少しだけ、迷った。
( …恋というものがもう少しわかったら、聞こうかな。 )
勇気もないくせに、そのような事を思ったのであった。
きっと今の私を例えるなら、ストロベリーだろう。…色的な意味で。
※実話ではありません。(続く)