世界は彼女の手の中に(仮)Ⅰ
- カテゴリ:自作小説
- 2013/06/16 11:06:33
「はぁっ!」
杖から火の玉がとびだす。
その火の玉は、5m先にある的にあたって、小さな爆発を起こす。
杖を持った銀髪の少女は、額に浮かんだ汗をぬぐった。
「…クエ、どうだ、調子は?」
凛、とした女性の声に銀髪の少女は振り向く。
「あ、ファランさん…まあまあ、ですかね…。」
銀髪の少女―クエ―は、まだズキズキと鈍く痛む左腕を右手でぎゅ、と握った。
クエ・ニルバーナ――彼女がこの組織に入団したのは、つい最近のこと。
銀髪赤目、という一般の人とは違う風貌と、その類まれなる才能に、他の組織の人々は恐れを抱いた。
組織内のどこを歩いても畏怖と好奇の目にさらされる、そんな毎日に、少々嫌気が差したころ、紫髪―その髪は頭のうえで高く結われている―に黄色の目をした女性、ファラン・クエイトに、声をかけられた。
『一緒に、世界を救ってみないか』
と――――
「……無理だけは、するなよ…?」
心配そうに歪められた顔に
「大丈夫です…!」
とクエは微笑った。
『グルルル…』
低いうなり声がする。
その声の発生源―どうやって組織内にはいってきたのか不明だが―黒い毛の魔道狼に、ファランは囲まれていた。
『(ざっとみて…10匹くらいか…)きついな…』
ファランは、ぐっ、と細身の魔道剣を強く握る。
と同時に、魔道狼は、一斉に、襲い掛かる。
ファランは、その全てを辛うじて、跳ね飛ばした。
「とりあえず、これくらいで休んでくれ」
「大丈夫ですって…うわぁっ」
よろけたクエをファランが支える。
「だから言わんこっちゃない…」
額に手をあて、ため息をつくファランに、クエはえへへ…と苦笑した。
「休んでくれ、お願いだから」
な?と心配そうにこちらを見るファランに、休まざるをえなかった。
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タイトルそのままでいいと思うよー