聞いたことの無い名前の食べ物は，
「どんな食べ物だろう？」と期待してワクワクします。


①　何を焼く？

若い頃，後輩と一緒に浅草に行きました。
たくさん並んでいる食べ物屋の屋台を見て私が「何か食おうぜ」と言うと，
後輩が「ふみふみさん，あれ何っすか？」と言いました。
後輩が指差す屋台を見ると「ごんだ焼」の文字。
「ごんだ焼？　知らねえ。聞いたことねえ。でも何だかすげーうまそう！
食ってみよう！」と言って二人で走って行くと，その屋台では団子を焼いていました。

私　「ぎゃはははは。『ごんだ焼』じゃねえよ。『焼だんご』だよ。
　　　看板，左から書けってんだよな。すげえ期待して損したな」
後　「ふみふみさん・・・。俺，知ってて冗談で言ったんすけど・・・」
私　「・・・ん？」
後　「ふみふみさん・・・，マジで『ごんだ焼』なんてあるって思ったんすか」

殺す！


②　何を使ってる？

風の強いある日，会社の上司と横浜に行きました。
商店街で上司に「もう昼だから，何か食べよう。何がいい？」と言われ，
周りを見回すと，ある料理屋の前に大きな文字で
「ルーメソ」と書かれたのぼりがありました。

私は２秒ぐらいの間に
「『ルーメソ』？！　何だろう？！　なんか知らないけどうまそう！
何か，聞いたこと無い材料を使った，どこか知らない国の料理なんだろうな。
やっぱり横浜は外国の文化が入ってきてんだなあ。
やっぱり横浜はすげえなあ」
と思い，上司にその店に入りたいと言おうとした瞬間，
朝からの強風のせいでしょうがかなり倒れかかっていたそののぼりが，
風を受けて裏返りました。
横書きで「ルーメソ」に見えた文字は，縦書きの「ラーメン」でした。

危な～い。
うっかり上司に「ルーメソ食べましょう」って言って恥をかくところでした。


③　何を吸う？

会社で，沖縄に出張や旅行に行った人から，
お土産にお菓子の「ちんすこう」をもらうことがあります。

これが，私には，毎回，一瞬「ちんこすう」に見えるんですよねえ。
「ちんすこう」だってことは十分に分かっているのに，
必ず１回は心の中で「ちんこすう？」ってつぶやいてしまいます。
若い女性社員が「ちんこすうで～す」って配っている（ように聞こえる）のが
密かに可笑しくて・・・。

いや，ホント，メーカーの方，申し訳ありません。
でも，一瞬「ちんこすう」と読んでしまうのは私だけではないと思いますし，
このブログを読んだ人も次回からは必ず「ちんこすう」って読んじゃうと思います。


④　何を教える？

食べ物シリーズではないのですが，
小学校の高学年の時，近所の電柱に
「おこと教室　生徒募集中　電話××－××××」という小さな貼紙があり，
当時の私は世の中に「おこと」（お琴）の教室があるとは知らなかったので，
てっきり「おとこ」（男）に関して何かを教える教室だと思い込んでいました。

そして，漢字ではなく平仮名で表現しているところに，
何か，「肉」を感じて，とてもいやらしい気がして，
「どんな先生が，どんな生徒に，どんな部屋で，どんなことを教えるんだろう」と，
その貼紙の前を通るたびに妄想して悶々とし，特に夕方とか夜は，
「この教室ってこの近くなのかな。今授業中かな。
もしかしたら，どこかの家からいやらしい声が聞こえてくるんじゃないかな」と，
ドキドキしながら，耳を澄まして歩いたものです。

いかがわしい貼紙だと思い込んでいたのできちんと見ず，
勘違いしたまま，毎回ドキドキしながら３年以上過ぎましたが，
さすがに中学生になると
「いかがわしい教室の貼紙をいつまでもＰＴＡが放置するだろうか」
と考え，誰も周りに居ないことを確かめて，立ち止まってよく見て，
「ああっ！　『おとこ』じゃない！　『おこと』だ！」と気付きました。

そうだと知って見てみれば，
白い紙に黒い文字が書かれただけの全く無味乾燥な貼紙で，
こんなものに４年間も興奮していた自分が恥ずかしくて恥ずかしくて，
「うわあ～～～～～～～～～～～～っ！」と大声を出したいくらいでした。

頭の悪さ，想像力のたくましさは，思春期だったってことでお許しを。