「雨の妖精たち・・・春の雨」
- カテゴリ:30代以上
- 2013/05/02 06:32:30
「雨・・・か・・・」
浅い眠りから覚めると、窓をたたく雨音が聞こえる。
部屋の中はまだ暗い。
「まだこんな時間・・・」
枕元の時計を手に取り、ナオはそっとため息をついた。
時計の針は、まだ明け方にはほど遠い時間を刺している。
ベッドから半身を起こし、窓のカーテンをそっと開けてみる。
遠くの街灯りが雨ににじんでいる。
「疲れているはずなのにな・・・」
眠れない・・・。
「何してるの?」
「かな~」
二つの淡い光がナオの前に降り立ち、小さな人の姿をとりはじめる。
「雨をね、見てるの・・・」
「ふ~ん・・・」
「へ~・・・」
・・・・・・
「飽きたっ!」
「つまんないっ!」
しばらくは一緒に静かに窓を窓の外を見ていた妖精たちですが、じっとしているの飽きたようです。
「何か食べるものないの?」
「食べ物~」
「あなた達、食べることしか頭にないの?」
相変わらず食い意地の張った妖精たちです。
「そんなことはないっ!」
「でも~、食べてると『しあわせ~』だよ~」
「それは否定しないけどね・・・何かあったかな?」
あいにく、お菓子は切らしています。
冷蔵庫を覗くナオ。
すぐに食べられそうなのは出来和えのサラダくらいしかありません。
(作るのも面倒くさいし、これで良いか)
「小分けするから、ちょっと待っててね」
「そのままでも良いから早くしてっ」
「早く早く~」
「そんなに食べきれないでしょうが・・・」
いや、こいつ等なら分からんぞ。
「はい、おまたせ」
「これはなに?」
「春雨サラダよ」
「はるさめ~」
「食べ散らかさないでよ」
「食べないの?」
「の?」
コーヒーを飲んでいるナオに、妖精たちが言います。
「こんな時間に食べたら太るでしょ?」
「今更じゃない?」
「手遅れ~」
「ほ~・・・よく言った」
おもむろに残りのサラダを妖精たちの上にかけるナオ。
「何をするっ」
「ペット虐待だ~」
「春雨じゃ、濡れていこう・・・あはは」
「『あはは』じゃないだろっ!」
「べとべと~」
サラダをまき散らしながら抗議する妖精たち。
「散らかすなって言ったでしょっ」
テーブルを拭きながら怒るナオ。
「誰のせいだっ」
「動物愛護団体に訴えるぞー」
「わたし達は動物じゃないだろっ」
「え~」
真夜中だというのに、騒がしいことこの上ありませんね。
ご近所から苦情が来ても知りませんよ。
・・・
一段落して、窓際に腰掛けるナオ。
お気に入りのカップを両手で包みながら、春雨をむさぼり食う妖精たちをぼんやりと眺めます。
「人聞きの悪いこというなっ。貪ってなんていないだろっ」
「ばくばくばく。むしゃむしゃむしゃ」
「貪ってるじゃない」
ふと、窓の外に目をやると、雲の隙間から、半分の月が顔を出しています。
(朝には、この雨も止むだろうか・・・)
「ね、雨が止んだらさ、近くの公園にピクニックに行こうよ。お弁当とお菓子を持ってさ」
「行くっ」
「お菓子~」
「春雨も持っていく?」
「春雨はもういい」
「却下~」
「あははっ」
明日は朝早くからお弁当作りだ。
灯りを消して
「おやすみなさい」
おしまい
・・・
「消すなよっ。まだ食べてるんだからっ」
「真っ暗~」
「あははっ」
今度こそおしまい
いつもわたしのつたないお話を読んで感想をくれてありがとう♪
やっぱりね・・・
感想をもらえるのは、とっても嬉しいのです。
(#^.^#)
いつもの…可愛い(?)妖精さんたちとナオちゃんの物語ですね^^
大好きなので~久しぶりに読めて、happyです~^^
「春の雨」と「春雨」を、引っ掛けてるのが、面白い~それを、妖精の頭から
ぶちまけるシーンは、ちょっとビックリしました。
ナオちゃんに、「太る系」の冗談は、通じませんね…w
ちょっとトーンを変えてみた・・・
・・・んだけど、結局いつも通りになっちゃいましたね。
(#^.^#)