最後まで切れない赤い糸 #16
- カテゴリ:自作小説
- 2013/05/01 15:55:08
主な登場人物
・皆川亜美…すべて平凡な女の子。中学1年生の頃、猟牙と出会う。
・皆川亜美香…近所で美人と有名な亜美の妹。すべて亜美より上。
・宮城猟牙…中学校の頃、亜美を引き寄せた男子。皆の人気者。
・高橋凪…スポーツ万能で、皆の人気者。一部の男子からはモテモテ。
・立花莉子…男子から人気のクラスのマドンナ。猟牙と仲がいい。
・新井真二…いきなり亜美に告白してきた男。人気のある男子。
・横山秀司…真二の友達で、同級生。亜美香のことが好き。
第十六章 『亜美の複雑な思い』
亜美の視点
なんだか亜美香の気分が元通りになっててホッとした...。
亜美香があんな辛そうな顔したのも...私のせいだったから...。
「亜美...なんか嬉しそうだねっ...」
「へっ?そ、そう....かなっ...?」
朝....凪が登校中に発した言葉....。
その言葉に少し肩をビクつかせてしまった。
「なんか嬉しそうだね」...それは新井君と付き合ったから...。
「な、凪はさっ....なんかいいことあった?」
話題を必死に変えようと思って出た質問だ。
だが────.....
「嫌なことばっかりだよ」
そうはできなかったのだ。
「そっか....」
いいことがあるワケないじゃないか。
いつも一緒だった友達が自分の好きな人と....
───ズキンッ!!!
「ぅっ.......!」
やっ....やっぱり別れたほうが....
「亜美....」
「へっ....な....何....?」
「なんでそんな動揺してんの」
「べっ....べべべべ.....別にっ....!?」
すると、凪は表情を変えて
「新井君とはうまくいってるっ?」
と、無理矢理作った笑顔で言ってきた。
しかも、声も少し震えていた。
「え....、う....うん....」
それに気づいてるというのに、私はなんでこんな答えをしたのだろう...。
バカだ、鈍感だ、私は最低だ。
だが、凪はこんな私にニコッと優しく微笑んで
「そっか....よかった」
と優しい声で呟いた。
その時の凪は都合いいように捕らえてるのかもしれないけど...
心底「よかった」と思って言ってるように見えたんだ.....。
「亜美さぁ....私の気持ち知ってるんでしょ?」
「えっ...!?う....、うん...ごめん」
「謝らないでよ....惨めな子みたいじゃん....。
大丈夫、気にしてない....新井君なんて手伸ばす気もなかったよ」
そう凪は笑っていつものように私の肩を組んで
「さぁ!!早く行かなきゃ遅刻しちゃうぞっ!!!」
と大きな声で言ったのだ....。
その時の凪の笑顔はどこの光に比べても一番眩しかった...。
「うんっ....行こうっ....!!」
ねぇ....凪....、これでいつも通りの私達に戻れるの...?
こんなあなたを一方的に傷つける方法で元通りにしても...いいの?
このまま目をつむって付き合うべき?それとも別れるべき?
「ねぇ、亜美....絶対に別れないでね」
「へっ?」
凪は一筋の涙を頬につたわせながら微笑んで
「私が諦めた人だよ?そんな高価な人捕まえといて別れるなんて...許さないよっ!!」
と、言った。
「っ............!!」
その時の微笑みはどこの誰より優しくて...寂しかった。
でも、私はそんな凪に
「わかったよ」
という言葉しか浴びせることができなかった。
「分かればよしっ」
そう言っていつも通りニカッと太陽のように笑う凪の笑顔が戻った。
凪....わからないよ....、なんで私のためにそんなに笑ってくれるの?
なんで私のために....自分を痛めつけるの...?
その笑顔が....辛いよ....。
「んっ?あの後姿どっかで.....」
「え?」
凪が向けてる視線の先を見るとそこにいたのは───
「あっ、亜美香ぁっ!?(汗)」
「お、おねーちゃーんっ!!!」
私の学校の正門の前に立っていたのは妹の亜美香だった。
亜美香はなんやら嬉しそうに私達のほうに駆け寄ってきた。
「亜美香...何してるの....?」
「横山先輩と新井先輩に会いに来たのっ!!
言ってもほら、中学校と近いじゃんっ?」
そういってニッコリ微笑む妹、亜美香。
亜美香の笑顔はいつもより増して輝いて見える。
「亜美香...なんかいいことでもあったの?」
「えっ?分かる~!?実は昨日~....////」
「亜美香ちゃん、早く中学校戻りなさい」
急に横は入りしてきた横山君....
その入り方はまさに亜美香の口を防ぐかのようだった。
「何...横山君となんかあったの...?(汗)」
「ううん、別に~♪じゃ、家でねー!!」
亜美香は嬉しそうに手を激しく振って戻っていった。
「なんだあの妹....(汗)」
呆れてしまうほど元気な妹。
まっ、元気が一番なんだけどね.....
そういえば亜美香、新井君にも会いに来たって言ってけど...新井君は....
「おはよう、亜美ちゃん」
「!!」
後ろから聞こえた優しい声....振り向くとそこに立っていたのは新井君。
「おっ、おはようっ!!!////」
挨拶するだけで顔が真っ赤になってしまう....。
「おはよう、新井君」
「おはよう、高橋」
「あっ.....」
そうだ....凪が横にいたのに私ってばうっかり....
早く教室に戻るようにさせなきゃ....
「あっ、あの、新井く───」
「新井君、亜美をよろしくね」
──────え?
隣を見ると、優しく微笑みながら新井君の目を見つめる凪....
私は亜美の発した言葉に驚かされた....。
「なっ、凪っ!!!」
「もちろんだよ....」
優しく微笑みながら、そう返す新井君。
そして、凪はニコッと微笑んだ後、私の手を引っ張っていった。
「凪....なんであんな事....?」
だが、凪はただただ私を見て
まるで顔で”大丈夫”と言ってるかのようにそっと笑った。
「凪っ......」
私は涙が溢れてしまった。
「泣くなよ~....」
凪はそう少し鼻声で言って私の頭をなでた。
「ずっと親友だから...ずっと隣にいるから安心して」
そう私の目を見てしっかり伝えてくれた。
凪の気持ち...思い....すべてが伝わった気がした瞬間だった。
※実話ではありません。(続く)

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- ぱち公
- 2013/05/01 16:05
- 続き気になります
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