Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


「ハレ」という場で、外は晴れていて。


心が共鳴しあうような…。
たとえば、おなじ景色をみていると、感じられるとき。

それは幻想であったかもしれない。
あるいはそれはわたしがつくりあげた
物語的非日常のなかにおいて、なのかもしれない。
かつて、ほんとうにあったことなのかもしれない。

去年、ほとんど、それにちかいデートをしたことがあった。
むかし、つきあっていた男とだ。
公園内を散歩しただけだったが、とてもみちたりていた。
ジゴクノカマノフタのかわいそうな名前とかわいい花をふたりでみた。
葉っぱに字をかくタラヨウの木…その葉っぱがおちていたのをひろった。
しだれ梅の下を部屋にはいるようにふたりでくぐった。

帰りがけに、男から部屋にこないかと誘われたが
ことわった。
公園だけで十分だった。それはほとんど美しい幻想だった。
部屋にはいったら、たぶん肉体的なことがいろいろと生じるだろう。
けがれがしょうじるだろう。
けとはれの関係だ、公園だけなら、「ハレ」なのだ。
部屋にはいれば「ケ」がはじまる。

最近、彼から手紙があった。
「また桜を一緒にみにゆきたいです。」

「金曜なら、比較的あいています」そう、しばらくたってから返事をかいた。
けれども、返信がない。
桜はとっくに木になっている。




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