Nicotto Town



【小説】俺とアネキと春のデート

『アンタの所の高校って桜が立派だよねぇ。もう桜の時期は終わっちゃったんでしょうけど、4月の頃は綺麗だったんでしょう?』

4歳年上のアネキがビール片手に話しかけてきた。そう言われたらウチの学校の桜は立派なのかもしれない。興味がないので気が付かなかった。
『まぁ~ったく、アンタはそういうの全然ダメねぇ』
うるせぇよ、クソアネキ。風呂あがりだか知らないがパンツ丸出しで家の中を歩くなよ。
『何ナマイキな事言ってるの?アンタなんか私に比べたら金閣寺の前の蟻と一緒だかね』
言ってる意味がわからん。
俺の前ではずぼらでデリカシーのかけらもないアネキだが、外ヅラがいいのか昔からモテる。金閣寺ってそういう意味で言ったのだろうか?
『ふっふっふ、私は外では醜態はさらさないもんね。だから、家の中ぐらいダラっとしたいわよ』
ダラっとした姿しか見たことない俺からすると、外ヅラの良さなんか理解できないし、信じられない。

そうは言っても、小さい時から頭のデキが俺とは段違いに良く、俗にいうお嬢様学校へ通週に一回は見知らぬ若い男がアネキ目当てに家の周りをウロウロしてるのを見かけいた。
俺のダチも、
『オマエのねーちゃん、マジで美人だな!俺たちにもすげぇ優しいしさ。いいなー、エロゲーみたいな展開を期待しちゃうよ』
と吠えまくっている。エロゲーの展開っていうの良く解らないけど、ホント外ヅラがいいな、あのオンナ。

だいたいアネキは俺に対しては横柄で暴力的だ。
俺が小学生の時に一度無断で部屋に入ったら、マジでとび蹴りされたからな。肺から空気が強制的に全て吐き出された時の苦しみは言葉に出来ないものだ。
それ以来、俺はアネキの部屋には近づかないようにしてるし、ダチにも絶対に入るなと言ってある。
『あったり前でしょう?乙女の部屋に勝手に入るのは万死に値するのよ』
とはアネキの談。
綺麗なお姉さんは好きですか?なんてフレーズがあるが、綺麗なお姉さんなんていらない。他人でなく弟にも優しいお姉さんが欲しい。

『そういえば、アンタ高校二年生の授業にちゃんとついて行ってるんでしょうね?私だって忙しいんだから、いつもいつも勉強を教えられないからね?』
俺がアネキに頭が上がらない理由のもう一つがこの勉強というやつだ。小学生、中学生と遊んでばかりの俺は夏休みの宿題はいつもアネキに手伝ってもらっていた。
もちろん、がっつんがっつん頭を叩かれながらではあったが。

今の高校に入れたのも、アネキに要点を纏めてもらったノートがあったから受かったのかもしれない。中学時代の俺の成績だと高望みの学校だったからだ。
まぁ、その分去年はついていくのがやっとだったので、やっぱりアネキに手助けしてもらったのは言うまでもない。
しかし3か月分の家の手伝いを全て俺が肩代わりをするという負債が背中に乗っかったのだけれども。ちくしょ、やっぱり酷いアネキだ。

『何いってるの?私ほど優しいお姉さまはいないわよ。それとも何?もう勉強みなくていいの?』
今後とも宜しくお願いします。姉上。
『まったく、調子がいいんだからアンタは』
とアネキはビール片手に手をひらひらさせながらリビングに向かって行った。


休日は遅くまで寝ているアネキが珍しく早起きして、かわいらしい服を着て玄関で靴を履いていた。どこかに出かけるらしい。
『デートよ、デート。私ぐらいになるとお誘いが多くて大変だわ。はぁ忙しい』
いや、聞いてねぇし。忙しいって言うわりには先週も先々週も家でゴロゴロしてたじゃねぇか。
『うるさいわよ。私だって友達と出かける事ぐらいあるわよ。引きこもりじゃないんだから』
あれ?今、デートする言ってなかったか。
『え?あぁ、デートよデート!うん!と、とにかく行ってくるわ。大体、アンタだってデートはおろか彼女だっていないんでしょ』
でっけぇお世話だ。さっさと出かけろよ。
『ほっほっほ~。お土産は期待しないでねぇ~ん』

なんだありゃ。まあうるさいのが家にいないのはラッキーだ。アネキがいるとテレビだってロクに見られないからな。俺が見てると勝手にリモコン取り上げて他のもの見たりビデオみたりするから困る。
今日は、のんびりできそうだ。

あれ?携帯電話にメールが入ってるじゃん。
わ、電話もかかってきた。もしもし?あぁ俺。うん、うん。ああ暇っちゃ暇だよ。しょうがねぇな解ったよ。
母さん、ごめん。俺も出かけるよ。うん、木下から。なんか男子のメンツが足りないから来てくれってさ。ちょっくら行ってくる。
昼メシはハンバーガーになりそうだ。

夕飯前に家に戻ると、玄関にはアネキの靴がすであった。
『おかえり、お土産にケーキを買ってきてやったぞ。有難く頂くといいわ。といってもモンブランは私のだからね』
なんでもいいよケーキなんてさ。
ところで、アネキに聞きたいことあるんだけど。

今日、木下に誘われて出かけたらアイツ彼女ともう一人女の子を連れててさ。その娘は実は前から俺がいいなって思ってた女の子だったんだけどね。どうやら木下の彼女の友達だったみたいでさ。いや、なんか俺の為にセッティングしてくれたみたいだったんだよね。向こうも俺の事を気にかけてくれてたみたいでさ。いや~話がトントン拍子ってこういう事いうのかなぁ。

母さんは、『どんな娘?なんて名前?』なんて興味津々って感じに顔を近づけてきたが、アネキはちょっと違ってた。
『ふーん。良かったわね。…で?私に何を聞きたいって言うの?』
と、なにか不機嫌なオーラを滲み出している。
あ~、えっと。来週の日曜日に二人で出かけようって話になってさ。今の時期に女の子が喜びそうな場所というかデートってどういうのがイイのかってアドバイスが欲しいなと思ってさ。
デートなんてした事ないし、こういう時に女の身内がいるのは助かるぜ。アネキも一応は女の子だからな。

しかし、アネキは
『高校生の行きたい所なんて、大学生の私には解るわけないじゃない。さて、着替えてこようっと。アンタ!私のモンブランを食べたらマジではっ倒すからね』
と、くるりと踵をかえし不機嫌なままアネキはリビングを出て自分の部屋に向かってしまった。
母さんはコロコロと笑いながら、夕飯の準備ねぇと台所に消えて行った。
ポツンとリビングに取り残された俺。

なんだよ、何か悪い事言ったか?なんでいきなりアネキは不機嫌になってるんだ?
というか来週のデートってどうすりゃイイんだよ。

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2013/04/25 13:30
つられて書いてみよう、と思ったら
うっかり、青いまま書いてしまいましたよw
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2013/04/21 13:54
魅力的なおねえさんのお話ですね
久しぶりに拝見させていただきました
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2013/04/18 23:12
姉のイメージってそうなのかなぁw
仲がいい姉がいる妹としては、ほーーって感じですねw
ちなみに、兄は、理不尽でしたが、大人になるとちょっとは優しくなるものですねぇw

小説、全然書けてないなぁ(゜´Д`゜)
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2013/04/18 19:08
楽しい掌編でしたw

姉という生き物が、如何に不条理なものか
よく描写されていますね~
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2013/04/18 16:07
(´∀`*)ウフフ(´∀`*)ウフフ

続きを楽しみにしてます〜〜ヽ(^。^)ノ

リアル弟のいる私ですが、、、(´∀`*)ウフフ(´∀`*)ウフフ飛び蹴りはしなかったな(;´∀`)〜〜ヽ(^。^)ノ
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2013/04/18 13:37
すっごいww
頭の中に ドラマが浮かんでくるから面白いわww
短くしなくていいから 次 楽しみにしてま~~すw
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2013/04/18 12:09
現実を正視したくない私は冒頭からしゅーひさんの経験談として読み進めて(うそ~高校生だったのかwって思いながら)へ~~~~  と読みふけってましたとさ。いかんいかん 小説と現実と体験談の境目がわからなくなってるwww
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2013/04/18 11:54
すごいであります!!
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2013/04/18 11:53
ブログネタは春のデートだかなんだかって事だったので
ちと、今まではちがう主人公を題材にチロっと書いてみました。

よくかんがえたら、デートは全然かんけいないじゃんw

イマイチ、人物描写が出来なかったし、本当は千文字ぐらいにする予定が、開けてみたら3000文字近かった。
なんだかなぁ。
短く纏める技術が欲しい・・・・。




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