Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


春嵐


今日は春嵐。
ひょうまじりの風のつよさにおどろく。
桜は、かつて桜であった…という印象にまで
花びらを落としていた。
葉桜になるまえにむりやり風雨で花がおちてしまったので
どこか違和感がある。
だんだん葉がでてきて、桜の花は桜の木になる、
そんなふうにおもっていたこと、たちきられてしまったような。
くうはくの、むざんな、とすらいえる姿で、桜の花だったことを
わずかにつたえるように、桜色のなにかを、わずかに枝につけていた。
あちこちにおちているであろう花びらたちの姿もみえない。
いや、あるのだろうけれど、雨にぬれ、泥にまじり、
茶色に変色してしまい、わかりにくくなっていたのだ。

午後おそくになり、雨があがった。
ふと窓の外をみるとひさしぶりに夕焼け。
つくりもののような、書き割りのような空だ。




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