幸せの時
- カテゴリ:小説/詩
- 2013/03/06 16:12:28
いつしか、君は寝息をたてて 僕の肩に顔をうずめ・・・
静かに深い眠りに付いた。
からだ半分をまるで僕に預けるかのように 右側に傾けて・・・
僕はそっと右側の手で 君の髪の毛をかきあげると
そこには 優しく幸せそうな 君の寝顔があった。
そして 君の右手は しっかりと 僕の左手を握り・・・
決して離そうとしない。
ずっと このままここにいて・・・と君の寝顔がつぶやいて見えた。
僕は この長年 いったい何をしていたのだろうか?
いつも いつも わがままばかりを言い続け・・・
でも君は 笑って見守っていてくれた。
そして 支え続けてくれていた。
どんなに辛くても きっと君の事だから 何も言わなかったのだろう。
君の暖かさを そして重さを 半分体で感じながら
僕は 真っ暗な天井を見つめていた。
まるで走馬灯のように 初めて君と出会った日から今日までの事が 脳裏に浮かんできたよ。
なんで なんで 君はこんなできそこないの僕に こんな長い時を共にしてきたのか・・・
その間 僕はいったい君に 何をしてあげたんだ・・・
何もしてあげられなかった。
いくらでも 君が喜ぶことをしてあげられる時があったのに・・・
なんで あの時 君を喜こばせてあげることを しなかったんだ。
今まで 後悔なんていう言葉を知らない僕が 初めて今 ここにいるよ。
あの頃なら まだできたはずなのに・・・
君と二人でテレビを観ていて 旅番組をやっている時に・・・
「すごくきれいだね 心が洗われるほど・・・楽しかったね でもちょっと疲れたね」って君は笑う。
君と二人でテレビを観ていて 料理の番組を見終えた時に・・・
「美味しかったね お腹いっぱいになっちゃったね・・・もうこれ以上食べれないよ」って君は笑う。
君の 優しさに ずっと甘えすぎていた・・・
君の寝顔に「ごめんな」・・・と・・・一言告げた。
君の唇が・・・微笑んだ・・・
僕の 勘違いなのかな?
ごめんな・・・僕と出会わなきゃ・・・もっと幸せになれる道があったはずなのに・・・
でも 君は どうして ここまで 僕みたいな男に・・・ついてきてくれたのか・・・
いつも 「あなたと 一緒にいる時が 一番幸せ・・・それ以上は何もいらないよ」
と言う事が・・・君の口癖・・・
今年も また 桜の季節がすぐそこに・・・
今は その桜を観るのを楽しみにしている君が・・・僕の隣で 眠っている。
素敵な思い出・・・
辛い事、悔しい事、淋しい事が多すぎてね・・・
だからこそ、素敵な思い出が飛び切り、はえるのかな?
後、何回二人で桜観れるのかなって・・・
この歳になってからの年の差がありすぎる二人には、時が流れるのが早すぎます。
思い出が残っているんですね。
でも、あなたといられるだけで幸せなんだよ。
もうじき誕生日・・・「何か、欲しいものある?高価なものは買ってあげられないけど」・・・
って・・・
私が今欲しいのは、あなたと二人でこうして過ごせる日・・・
そして、贅沢言えば一枚もない二人の写真を・・・写真館で撮りたいな・・・
二人が過ごした日を・・・形として残しておきたいから。
後・・・何回・・・一緒に桜を観る季節を迎えられるのかな?