銀英伝における正義 3 完結
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- 2013/03/01 18:34:34
ジークフリード・キルヒアイス。
短命ではあったが、彼の言動や行動に正義が見える。ラインハルトの忠臣で
あり、無二の親友にして天下無双の軍人である。優れた知力と体力を持ちな
がら庶民だった為に出世が叶わない立場だった。
それがラインハルトと出会い、力を発揮することが可能となった。
帝国の堕落した旧体制を打破し、身分によらず能力を発揮することが可能な
世界を作ろうとするラインハルトと志を同じくする。
しかし、帝国の旧体制を葬り去った後も同盟と戦争する意味が薄れる。
不正や不公平を力で押さえつけたラインハルトが、続けて同盟も支配するこ
とは全体の利益にならない。民主共和政は闘うことで成り立つものではない
が、自身の流儀を求めたことは不正義である。
改革を成し遂げた帝国に民主共和政を強いる戦いを挑んだ同盟も不正義。
同盟と帝国は互いに侵略者となる。それをキルヒアイスが認めただろうか。
ヤン・ウェンリーとラインハルト、二者の最後の対戦となったイゼルローン
回廊での戦いをラインハルトが止めたは「キルヒアイスが、まだ戦いを続け
るのですか。と言った」のが理由だった。
これが専制国家と民主共和国の違いを語っている。
自由惑星同盟と銀河帝国ラインハルト・フォン・ローエングラム王朝
二者の大きな違いは、同盟の軍隊は独自の意思を持っていないが、銀河帝国
の軍隊は皇帝ラインハルトという意思を持っていることにある。
武力を用いて正義を成す。確かにこれは効果が早い。稀代の覇者ラインハル
トのような皇帝が、全てに目をくばり、民衆に公正公平な国策を施すことは
正義のように思える。
だが、これは皇帝が壮健であってのこと。いざ、皇帝が倒れることになれば
皇帝の意思というルールが消え一挙に統制を失う可能性がある。
文民統制の同盟軍は、そのトップが倒れることがあっても制度が崩れること
がなく、軍の統制は維持される。
ラインハルトは病に倒れ、短命な皇帝であった。物語はそこで終わる。
彼がどのような社会を望んだのかは不明のままだ。彼自身は戦いを欲したし
専制国家と相反する民主主義者にも求めた。
それに呼応するようにヤン・ウェンリーも戦い続けた。ヤンが戦い続けたの
は、専制国家の危うさを知っているからであり、その戦いは全体の利益となる。
ラインハルトは自身が皇帝である限り、不正と不公平を許さない社会を維持
しようとした。これも全体の利益に叶う。
ヤンとラインハルトは、戦いという場で運命を分かち合い、全体の利益とな
るように自然の采配と社会環境を利用した正義である。
以上
独白:あくまで銀英伝における正義であり、戦争を賛美しているのではない。