✪ 筆入れ
- カテゴリ:30代以上
- 2013/01/18 20:00:42
メリーさんの筆入れは、ときどき急に海辺になる。
授業中に机にうつぶせで寝ていると、波の音が聞こえてくるのだ。
これはまずいまたあれだ、と思って慌てて蓋を開ける。
以前に一度、びっくりして机に膝をぶつけたことがある。
海水がこぼれて、机の上のノートが濡れてしまった。
いくら乾かしても、しばらくシワシワだった。
今は慣れっこになったので、指を入れて砂で遊んだりする。
砂で色々なものを作ることもある。
ときどき大きな波がやってきて、それが壊れてしまうのが悔しい。
いつまでもその状態が続くのだが、
一度蓋を閉めてしまうともう普通の筆入れに戻っている。
友だちの間でも有名だった、メリーさんは少し鼻が高かった。
そんな筆入れを持っている友達はひとりもいなかったからだ。
でも意地悪なケイトは、「役に立たないじゃないの」と悪口を言う。
そういえば、そうだ。
海辺になったからといつて、役に立たない。
せめてもう少し大きな筆入れだったら、海に入って遊ぶことができただろうに。
あるときメリーさんは、電車に乗りひとりで旅に出かけた。
本物の海を、見てみたかったのだ。
それはとても大きくて、波の音はうるさく潮のにおいは臭かった。
海岸を歩いてみると、砂の上を歩くのはとても難しく歩きにくい。
波が運んできた数々の漂流物が、お店のように並んでいた。
そうか、もしかしたら私の筆入れが落ちているかも知れない。
なんとなく、そう思った。
その蓋が開いたままになっているのではないだろうか。
しばらく探してみたけれど、どこにも筆入れは落ちていなかった。
黒い犬が一匹いて、やはり何かを探しているようだ。
ときどき目があったけれど、
メリーさんは犬が嫌いだったので知らん顔をしていた。
すると犬の方が近づいてきて、メリーさんに話しかけてきた。
「筆入れを探しているんですか ? 」
メリーさんはびっくりしたけれど、
犬の声が紳士的だったので安心して答えた。
「ええ、ずっと小さい頃に使っていたんです」
「それならこの前まであったけど、もうないね。流されてしまったんだろう」
「そうですか、ありがとう」
家に帰ってきても、メリーさんは黒い犬のことが忘れられない。
考えれば考えるほど、不思議な犬だった。
それから10年が過ぎメリーさんは結婚して、隣の町で暮らすことになった。
旦那の実家では犬を飼っていた、その犬が子犬を生んだ。
親犬に似てみんな白い犬だったのに、一匹だけが真っ黒な子犬だった。
クロと名付けて、メリーさんはその犬を可愛がった。
撫でてやると、ときどきクロの耳から潮騒の音が聞こえる。
瞳はとても青く、海を映しているようだった。
萌~。
撫でたら、癒されそう!
冬の海もまたいいものだ~~。
海の風にあたりたいな~。
母なる海のお話でした。
人はいくつか不思議体験をしてるね。
ほほーーーそれ・・今度読んで見ます。
めでたし。
ルフィの宝物さがし。
やはり作るのは砂のお城でしょ。
メリーさんと海はどんなときでも繋がってるんだね。
ブラしゃんとの年代差でも「筆箱」でなく「筆入れ」になるのか?
(え? あのお習字のまきすに巻く筆入れをさす? へ? ますます古い??)
子供の頃の一番大事な学用品は、筆箱(筆入れ)だったよな。
小一新入学時に、当時まだ苦しい生活の中、親からデパートで[ウランちゃんが
どーんと一面の、ジッパー式赤い筆箱(真面目に本革チック)を揃えてくれたのが
申し訳なさとともに、ものすごーく嬉しかった!! 大好きでずっとジッパーが壊れる
までの数年間 使ってた。
(ウランちゃんのパンツが見えてるのが気になって、鉛筆で塗った^^)
このお話の重要ポイント。
筆入れがメインになってる感覚がわかるんです、なんとも懐かしくて・・。。
(筆おろしが メインになってたとしても感覚がわかるんです、なんとも懐かしくて・・^^)
すまんすまん、また話題がズレてゆく^^
筆入れの中身は、鉛筆削りできっちり削った数本のBかHB鉛筆に、赤青両刀使い(..?)の
色鉛筆に、唯一そのつど流行に左右されてしまう消しゴムに(これがユメだったな)。
当然鉛筆削り用簡易折りたたみ式のカミソリ(表面が屈折模様で光ってて緑がお気に入り♪)。
ちょっと よゆうが出てきた頃には、鉛筆キャップが一気にメインアイテムになってたな。
アドちゃんとか。。
筆箱(筆入れ)への、少女の、この特別な感覚ぅっ♪
・・を、ブラしゃんのここまでの海に繋がってる今回のお話には、しばらく読み終えた後
いろんな 小学生時のその時なりに自分では、今から思えば、その学年ごとに自己実現目標たて、
また、してるつもりだったので、メリーさんの感覚がとっても嬉しく心に入ってきたぞぃ!!
クラスにメリーさんがいたら、数少ないお友だちに慣れていただろうョなぁ・・。
道具箱の蓋の裏に塗った空から雨が降ったり、月や星が出たり...♪懐
筆入れはないけれど代わりに素敵な出会いがありましたね。^^
ン? 黒い犬か・・・
波の音は深くて物語も深くて
砂浜で鼻を突っ込んだり遊んでいるのかな? フフフフ