喪失(R18) 前篇
- カテゴリ:自作小説
- 2013/01/09 05:13:49
※今から約15年前の私様の作品です。
古いです。
そして快楽殺人者のお話です。
R18ひゃっほい。
えっちぃの見たいって人は、閲覧を止めておきましょう。
絶対、詐欺だって怒ります。
当時、友人でさえ『ない」と断言した、私様の問題作です。
今は当時より理解があるのではと思いUPしてみましたが、読む読まないの判断は自己責任でお願いします。
当時20代前半ピチピチです。
そのままの原文をあげているのでつたいな部分もあるかと思いますがご了承ください。
◆ 喪失 ◆
私の仕事は『人殺し』
『人殺し』で指名手配された賞金首の首を刈る『人殺し』
大義名分を笠に着る、ただの単なる『人殺し』
人を殺して明日を得る卑らしい『人殺し』
血の匂いに犯された、淫らで卑猥な『人殺し』
生まれた瞬間から『人殺し』
―――母を殺して父に憎まれた・・・
愛しているから殺したい
全てを奪って壊したい
私の全てで奪いたい
アナタの過去も未来もすべて、私が綺麗に頬張ろう
失(な)くしたアナタに私は悶え
私はアナタに囚われる
永遠に・・・
アナタの全てで私を奪って
喪失が齎(もたら)す最高の狂気と快楽で・・・
私は酔い痴(し)れたい
アナタと私が齎(もたら)す快楽に・・・
だからお願い
私の為に失くなって
愛しい愛しい私のアナタ・・・
私に狂って
私と狂って
そして、すべてを失いましょう
********
彼との出会いは偶然だった。
数多(あまた)ある賞金首のほんの1つ。
ただ、うろ覚えに憶えていただけの仕事の内容。
街で見かけて獲物と狙った。
殺してもいい男は全てわたしの恋人だった。
最高の快楽を与えてくれる、最高の恋人たち。
彼が賞金首だと気が付いた時、わたしは一目で恋に堕ちた。
いつもの手管(てくだ)で暗がりに誘い込み、しどけなく誘う。
わたし程の美女に誘われ、気が緩まない男はいない。
誰しも鼻の下を伸ばして、触れてくる。
胸に、腰に、ショーツの中に・・・。
男とはそう言う者―――。
例えば、わたしが十人並みの冴えない女であろうとも、化粧一つで騙されてくれるだろう。
男とはそう言う生き物---。
そうして、わたしの躰に夢中になった愛しい男は、首に回したこの手によって引き寄せられ
―――愛しく果てるのだ。
袖に隠したナイフを頸動脈に優しくうずめるだけで、枕の下に隠した銃でそっと引き金を引くだけで、愛しい男は全てわたしのモノとなった。
激しい血飛沫を咲かせて。
暖かな血潮でわたしを満たして、染め上げて、切ない思いで縛り上げる。
愛した人を失った時にだけ訪れる悦楽。
失った瞬間に一際輝く愛おしさが堪らなく躰を奮わせた。
愛するが故に縛られる快楽。
全身を震わせるあの甘い官能こそが究極の愛の証であり、わたしに最高の快楽を与えてくれた恋人達は、わたしの中で永遠となる。
失った悲しみは、わたしの愛の深さ。
そして、忘れられない甘い痛みだけが、わたしの心を満たし続けるのだ。
彼もその一人となる筈だった―――。
「私が思っていた以上に、君は酷くいい女だよ♪」
わたしの隠し刃に気付いた男は、そう言うとゆったりと笑った。
甘いヴァニラの香り。
男が握るナイフから滴る赤い温もりに目眩がする。
あまりにも美しい、その笑顔の奥にある彼の肉の色が見たくなった。
―――わたしは、この男が欲しい
彼の血の匂いを胸一杯に嗅いで―――頬擦りしたい。
その身をこの手で引き裂いて、彼を内側から抱き締めたい。
「あなたをわたしのモノにしたい・・・」
どうしても欲しくなった。
この男を失った瞬間、自分がどうなるのか知りたかった。
今までにない快楽の予感に鳥肌が起つ。
こんなにまで激しく欲情したのは初めてだった。
息の根を止めたい。
わたしの中で殺してあげたい。
そして―――わたしの全てを縛りつけて欲しい。
「わたしを満たして―――」
伸ばした指で彼の頬を撫で、彼の血に濡れたわたしの指が、その蒼白い頬にその軌道を鮮やかに描いた。
わたしの甘い囁きに男が笑い―――わたしは溺れた。
彼は微笑むだけだった。
まるで、それしか知らない人形のように---。
そして、何も応えてくれないまま、男はそのまま姿を眩ませた。
優しい笑顔で女を縛って―――。
以下後篇につづく