Nicotto Town


フリージア


金狼の重圧…20

 工場の廃墟に残された二人。少しの間、睨みあっていた。
 「あんたの名は?」
 ミカミはその問いにはなかなか答えない。ユウジは一歩だけ前に出た。それを見てやっと答える。
 「俺はウルフの友人でミカミだ。君は」
 「俺はユウジ…やっぱりあんたが一枚噛んでいたのか。この前は見事にすかされたからな、今日は聞かせてもらうぜ」
 ミカミはまた黙った。でも、顔は友好を示すように笑っている。
 「ミカミ…ウルフとウルフと対戦したと言われている3人のことについて聞かせてくれ」
 「………」
 「ウルフのことは今聞いたが、地区トップの3人も精神が崩壊しちまったって話だが…」
 「あの3人……それをどこで?」
 倉庫の中の空気が変わった。バタフライが残していった異様なテンションとミカミの不思議なオーラが混ざり合った空気。ユウジは息苦しさを感じていた。
 「それをどこでって?そりゃあ、みんな知ってるぜ」
 「ふーん」
 ボックスから線がいくつも出ており、それが近くのテーブルにあるパソコンに繋がっていた。ミカミはそのパソコンをパッといじると、ボックスからかすかな音がする。電源が落されたようだ。
 「本来なら、君にそんなことを教える義理はないが…この前はウルフことを知らないと君に嘘をついてしまった。そのお詫びに何でも答えよう」
 「じゃあ、まずはウルフのことについて聞きたい。本当にウルフは精神崩壊してしまったのか?そして、何故そんなことになってしまったのか?」
 「…そのことか」
 まるで絵空事のようにつぶやいた。もちろん自分が病気ではないから他人事なのかもしれない。それでも友人じゃないか、その気のない言い方は何なんだ?からかっているのか?目に力を入れていたユウジも呆気にとられて眉間の皺を伸ばした。

 ミカミは一呼吸置いて今までの穏やかな口調を脱して、淡くそして儚い怒りを見せた。そして込み上げるものを抑えるように話し出した。
 「ウルフの精神が崩壊した理由は…君たちだ」
 「…俺たち?」
 「そう、君たちが遅すぎたせいだ!」

アバター
2012/12/15 18:35
あまり、感情を表に出さないミカミが、ちょっと感情的になってる・・・?

遅すぎたとは・・・、誰もウルフにスピードについて来れなかったからか・・・。
或いは、ウルフのもとに集まるのが遅すぎた事を意味するのか・・・。

少しずつ謎は明かされていきそうですね!
アバター
2012/12/15 17:59
はい。楽しんできます!!



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