Nicotto Town


ぺんぎんうどん


トナカイ一家

サンタクロースの休日

パートナーのトナカイをご紹介♪
  • 名前:aki

    性別:おとこのこ

    称号:スターの
    トナカイくん

    レベル:17

    配達数:7,833個

  • 名前:megu

    性別:おんなのこ

    称号:国で一番の
    おてんば

    レベル:23

    配達数:14,298個

  • 名前:haji

    性別:おとこのこ

    称号:トナカイ界の
    秀才

    レベル:19

    配達数:9,680個

続きにゃ

☆★



haji が家に帰ったのは、街の遠くにかぎろいのゆらめく頃でした。
台所ではお母さんがご飯の準備をしています。
haji くんは自分が居ないのがばれてしまったかもしれないと、
少しだけ焦って窓から自分の部屋に転がり込みました。
すると aki がもっそりと布団から顔を出し、

「お兄ちゃん、こっち、こっち」

と手招きします。

「もう起きてたのか?」

「ううん、さっきお母さんが帰ってきた足音で目が覚めたんだ。
 お兄ちゃんがまだ帰っていなかったから、
 ボク、ばれないようにお兄ちゃんの布団に毛布を丸めて入れておいたよ。
 あれならお兄ちゃん、寝てるみたいに見えるでしょう?」

自分の思いつきを誇らしげに報告する aki くんの頭に手を置いて

「うん。本当に僕が寝ているみたいだ。
 ありがとう、助かったよ」

haji はにっこり笑って言いました。

「それにしてもお兄ちゃん遅かったんだね。
 サンタさんと何を話していたんだい?」

「うん……」

聞かれても、haji には答えることができません。
自分でも難しかったサンタさんのお話です。
それを幼い弟に、解るように話して聞かせることは途方もなく難しく、
はたして話しても良いことなのか、どうしても解らないのでした。
haji はちょっとだけ小首をかしげて、

「それより、aki にお話しがあるんだ。
 眠くはないかい? ちゃんと聞けそうかい?」

「大丈夫だよ。ボク起きてお話を聞けるよ」

aki は、自分もいっぱしの仕事人なんだからと胸を張って言いました。
サンタさんのお話を聞く前だったら、その姿はとても嬉しく見ることが出来たのに
今の haji の目にはその頼もしさが潤んでうつります。

「実はね、貰ったお給料の使い道なんだけど……」

「うん」

「僕のお給料も合わせて、思い切って新しいランドセルと
 入学用の服を買わないか?
 学校のお道具を全部そろえても、
 お母さんへのクリスマスプレゼントに
 暖かなマフラーを買うくらいは残るから」

「それはダメだよ!」

aki は台所のお母さんにバレないように、小さな声で叫びました。

「だってこれはクリスマスのごちそうに、お鍋を食べるためのお金だもの。
 今やっとお豆腐と椎茸と春菊を買えるくらい集まったよ。
 あともうちょっと頑張ったら、お肉屋さんの特上肉だって買えるんだよ。
 そんな上等なお肉、食べたことがないんだもん。
 きっとこの先だっていつ食べられるかわからないのだもの」

aki が、「お母さんへのプレゼント」と言いながら
実は自分もごちそうを食べてみたくて言っているのだと、
haji は知っていました。
けれど今まで何も言わないでいてあげたのです。
だけど今朝の haji は、ちょっとだけいつもと違うお兄ちゃんになってしまっているのです。

「そんなごちそうは食べない方がいいんだよ
 いつもの塩と小麦のパン、暖かい牛乳、そして一切れだけ余分にチーズを食べるんだよ」

「嫌だよ。
 ボク、お母さんにもごちそうを食べてほしいよ。
 ボクだってごちそうを食べてみたいよ」

「でもね、よく考えてごらん。
 僕たちのおうちには、本当ならそんなお金なんてないんだよ。
 それなのにそんなごちそうの味を知ってしまったら、
 これからまだ長く続く冬の寒さを辛がって、aki はきっと、
 またあのごちそうが食べたいねぇ、って言っちゃうだろう?
 そうしたら、そんなごちそうを用意してあげられないお母さんが、
 きっとすごく困ってしまうよ」

「嫌だよ、僕、絶対言わないよ。
 お兄ちゃんのばかぁ!」

とうとう aki が泣き出してしまいました。

その声で二人が起きた事に気付いたお母さんが、兄弟の部屋のドアを開けました。

「どうしたの? 朝っぱらから喧嘩なの?
 haji くん、弟を泣かせてたらダメでしょう?
 さぁ二人とも起きたのなら顔を洗っていらっしゃい」

haji は泣きそうになってしまいました。

けれど弟に先に泣かれてしまっては、自分も泣くわけにはいきません。

「いじめてたんじゃないよ!
 お母さんのばか!」

haji は朝ごはんも食べずにランドセルを背負いました。

「僕、今日は学校の帰りに委員会があるから遅くなるよ!」

そう言って、お母さんが

「だめよ、ご飯はちゃんと食べていきなさい!」

と叫ぶのも聞かずに、まだ薄暗い道路に飛び出してしまいました。



★☆



「あのおとなしい子があんなに声を荒げるなんて……」

haji の走り去っていった方向を眺めながら、
お母さんは溜息をひとつ吐きました。
そして aki の頭を胸に埋めて

「おまえがお兄ちゃんを怒らせるような事を言ったのかい?
 正直に話してごらん」

と頭を撫でてあげます。

けれど aki はそれに答えることができません。
泣いているからではなく、自分たちの話していたことが

『お母さんには内緒のプレゼント』

の事だからです。

ただ黙ってなきじゃくる aki の顔をエプロンで拭きながら、

「さぁ涙を拭いて。
 あんたももう幼稚園に行かなきゃいけない時間になっちまう」

お母さんは、眉間に皺を寄せながら困ったように微笑むのでした。



☆★



冬の夕暮れはとても早く、haji が学校を終えて帰る頃にはもう真っ暗です。
今日一日、haji は全然授業が頭の中に入ってきませんでした。
自分のランドセルや、道具箱、ピアニカなどをひとつひとつ見ていました。

それらの名前の欄には、とても小さな文字で haji の名前が書かれています。

貧しい家のお母さんたちは、みんなそうやって、小さく名前を書くのです。
次に生まれる兄弟姉妹たちのために、その仔の名前も書き足せるように。

自分の名前の下に、もう二つくらいは名前がかけそうにぽっかりと空いたところを
haji は指でなぞりながら、今日一日、《あの約束》 の事ばかり考えていました。

先輩と、学校が終わった時間に合うことになっています。

夕方の忙しい時間が一番、その仕事をするのにちょうどいいのだと言われた、
その仕事がどんな事をするのか、まだ教えてもらってはいなくて、

「サンタさんの仕事に間に合わないようだと困るなぁ」

と心配していたのだけど。

「でも、サンタさんの仕事は真夜中だから、それまでには終わるだろう」

そう思って、暗くなり始めた道を繁華街に向かって歩き出しました。




続く?

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2012/12/13 00:33
あびちゃま

設定が産業革命の頃のイギリス的な雰囲気なので
お下がりとか気にしてる余裕はないと思ってくださると嬉しい…w
でも確かに「長男」は大事にされ方が違いますよね。
長女だといい働き手扱いが多かったのに、男の子だと違うんですね。
でもそれもきちんと躾たり教育していれば、良い方向に向かうと思うんですよ…
長男で跡取りだからって甘やかしさえしなければww
アバター
2012/12/12 11:25
なんか怪しげな仕事に走っていくhajiくん・・・。
弟はクリスマスのご馳走を楽しみにしている。
けど、彼はお下がりは気にしていないのかなぁ??
私は上が兄だったから、あまりお下がりをもらったことはないですね。
でも、やはり「長男」は特別で、いつでも私と差をつけられました。
ご飯を出す順番さえも、祖父>父>兄>祖母>私>母でした。
兄妹平等を教えることはなく、世の中はこういう仕組みになっているんだと、常に差をつけられましたね。
お小遣い、外食での金額、プレゼントの数や額、進学先の選定に至るまで。
だから私なら絶対に新しいランドセルの方が欲しいなぁー!
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2012/12/11 23:14
トナカイですから成長がちょっと早いんですよww
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2012/12/11 22:48
幼稚園の子にはちょっと厳しいかもしれないですね・・・
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2012/12/11 01:50
確かに現代なら「大切に引き継がれてきた証」なのですよね^^
それ、うちの坊に言ってやってくださいww
ランドセルなんて、あと一年あるのにどうするのこのボロ…www

まぁ世界設定が産業革命時代のイギリスな感覚なので、
価値ある骨董品以外で、古いものを使うというのは
貧民の証、みたいな…? そんな感覚で(^_^;)
アバター
2012/12/10 23:59
うぅぅ、リアルでため息をつきました...
>貧しい家のお母さんたちは、みんなそうやって、小さく名前を書く

でも名前欄に子供の名前がいっぱいはいったランドセルやピアニカさんは、
名前が一個の仲間たちよりも、誇らしいし、きっと幸福でしょうね♪
まだ使えるのに、いつの間にか棄てられてしまったりするよりは...



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