Nicotto Town



【自作小説】とある恋人の日常

家に帰る途中に俺の尻ポケットに入っている携帯電話が震えだした。

from 麻美
死にそうDEAHT。お助けプリーズ。

おそらく俺の彼女であろう麻美からのメールだ。
なぜおそらくなのかと言うと、アイツからの連絡が約二週間ぶりだからだ。
バイト先で知り合って、付き合いだして1年ほどたっている俺たちの共通項は同じ大学生同士といったことぐらいであろうか。
俺は三流大学の経済学部だが、麻美は理系で化学系を専攻しており最近は実験だなんだで自分の家にすら戻っていない。
麻美が忙しいのは解っているつもりなので、そこをとやかく言うつもりはない。つもりはないが、俺からはそれなりに連絡はしている。
電話をしても出ないので、メールを打っている。
とりとめもない事をちょろっとメールするだけだが、そういう繋がりって必要だろ?
まあ、送ったメールの3回に1度程度しか返信は来ないし、返信が来たとしても1日遅れだったりするけど。
麻美はそれだけ実験を頑張っているんだ、と自分に言い聞かせている。

ちなみに麻美はバイトをとっくに辞めてるので、バイト先で会うという事も出来ない。
なんだろうね。これって付き合ってるって言えるのかな。
というような疑問は持たないようにしている。俺は平和主義なのだ。
うん、俺自身も何を言ってるのか解らない。久々の彼女からのメールだから舞い上がってるって?
こういうアホみたいなメールをしてくる時は、大抵、調子悪くてぶっ倒れているか風邪をひいてぶっ倒れている時だけだ。
ぎりぎりまで実験等で無理をして、数日寝込むというサイクルを繰り返している。
で、調子悪くなると俺を呼び出すのだ。調子が悪いのに調子の良いヤツだ。いや、実際には調子悪いんだろうけど。

車で30分かかる麻美の家を目指すためにエンジンのキーを回す。行く途中でスーパーに寄って買い物をして行こう。どうせアイツの家の冷蔵庫にはロクなモノは入っていない。
買い物袋二つを車に入れ込んで、スーパーから麻美の家に向かう為に車に乗り込む前にタバコに火をつけた。
こんなことまでしてる俺ってなんだろうな。考えたら、先に麻美に電話して調子を聞いてから必要なものを買えば良かった。何も考えずに食材を買い込むなんて料理の出来ない新婚の嫁かっつーの。
まぁ、後10分も走れば麻美の家だ。
タバコの火をけして、アクセルを踏み込んだ。
近くの駐車場に車を入れて、麻美の住むアパートの鍵を探した。

初めて、麻美の家に泊まった時に
『とりあえずー、鍵渡しておくねー。私が死んでないか時々チェックして頂戴』
と言われて鍵を受け取った。その時は変なことを言うなと思ったが、最近はなるほどと思っている。

チャイムも鳴らさずに鍵を開けて部屋に入り込んだ。
おーい、麻美?生きてるか。
部屋は真っ暗であったが、キッチンの近くの電気をつけて、買い物袋を冷蔵庫の前に置き先に買ったものを冷蔵庫にしまう事にする。
扉をを開けると案の定、ビール以外何もない状況だ。コイツ、料理してんのか?
うぉい!この冷凍後の肉って俺が前に買ってきたまんまじゃねぇか。いくら冷凍でも肉って2か月もつのか?
すると、電気のついていない奥の部屋から、えらい弱った鼻声が聞こえてきた。

『あ゛~、ケ゛ン゛ち゛ゃ゛ん゛。い゛ら゛っ゛し゛ゃ゛い゛』
ダラダラの寝巻で鼻を真っ赤にした麻美が涙目で四つん這いで寝室から出てきた。上目使いの豹のポーズなのに、全く色気がねぇ。
いらっしゃいじゃねぇよ。寝てろよ。食欲あるならおかゆ作るけど、どうする?
『ありがとぅ~、たべゆぅ~~』
調子はどうなんだ?熱あるのか?それともだるいだけか?
『ん~良くわかんないー。ちょっと寒いかも』
ほれ、気休めかもしれないが持ってきたぞ。

そういって、おでこに貼るとひんやりするシートをほおりなげた。麻美は『あうぅ~』と言いながらソファーの上でポテっと横になった。
兎に角、実験の事以外はほぼ無頓着な奴だから、ろくにメシも食べてないであろう。すぐさま、鍋に火をかけておかゆを作り始めた。
出来上がるまでちょっと時間かかるから、寝室でねてろ。
『いや~、ここにいるぅー。ケンちゃんの近くにいるぅ~』
何を言ってるんだ。寝室は隣じゃねえか。どっちも近いぞ。
『じゃぁ、ちょっとでも近くにいるぅ~』
わかったわかった。俺はソファーで横になってる麻美の上に毛布をかけてやった。

『抱っこしてぇ~』
あ~、はいはい。俺は麻美を軽くハグしてやった。
『むへへへぇ~』
麻美は変な声をあげてニタニタした。何をしてるんだコイツは。
『どう?ちんち○、硬くなったぁ?』
アホか。病人相手にそんな気になるか。アホ言ってる暇あったら治る努力しろ。
『えー、前に私が熱でたときは、汗かくとイイんだぞなんて訳わからない事いって襲ってきたじゃん』
襲うなんて失礼な。合意の上だろうが。
『今日はそうならないってことは、どっかで浮気したのかぁ~~』
バカたれ。この前の事があるから、ちょっとだけ反省したんだよ。

軽くデコピンをして、おかゆの状況を見るために台所に向かった。さて、そろそろ卵を溶いておくか。
すると麻美がブビーと鼻をかんでいた。うーん、やっぱりちょっと辛そうだ。
おかゆができたのでテーブルに持っていく。
俺は、ビールとつまみで作った蒸し鳥ときんぴらごぼう。
『ケンちゃんだけずるいー』
いいんだよ。俺は風邪をひいてないんだ。こら、きんぴら食うな、消化にわるいんだぞ。
軽めの食事が終わった。良かった食欲が無いという訳ではなさそうだ。

俺が片づけをしていたら麻美が声をあげた。
『あ~お風呂入りたいなあー』
今日はやめておけ、1日入らなくても死なないぞ。
『調子悪くなる前は学校に泊ってたから丸2日入ってないんだもん』
オマエは本当に女子か。タオルで身体を拭くとかでガマンしろ。
『ん~、じゃあケンちゃん拭いてぇ』
自分でやれ。背中だけはやってやる。これでも俺だって耐えてるんだからな。
『ガマンは身体に悪いよ?』
うるせぇよ。とにかく今日はオマエの看病だけするんだ。そう決めたんだ。俺の決心が揺らぐような事を言うな。
『アハハハ~』
麻美は本当に面白そうに笑った。男の一大決心を笑うんじゃ~ない。
『ケンちゃん…』
ん?なんだ?
『大好き』
あぁ、知ってるよ。
俺もオマエが大好きだよ。なんでか良く解らないけどな。

とりあえず、外で一服してくる

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2012/11/23 22:28
こんないい小説書く人が何を言われるかw
いい雰囲気ですよね^^
関係性の裏(他の部分)が想像できる書き方で^^

こんな短編で余韻と想像の余地があるのはとても構成とかうまいからできる文章だと思いますよ^^
なので、これからも楽しみにしておりますw(いつも感想かいてないけど読ませていただいてるよんw)
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2012/11/22 21:04
なんというか……
私には、逆立ちしても書けない二人だと思いましたw

考えないで、こんだけ書けるなら
それはそれで良いんじゃないでしょうか?w
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2012/11/22 20:19
ああ、こういう関係性もいいね^^
結局、当人同士が納得というか、満足すればそれで良いんだよねぇ^^
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2012/11/22 18:00
ブログ寝たで
瞬時に書き起こせる
いつも拝見してヽ〔゚Д゚〕丿スゴイとおもってます
いよいよ一服して戻れば合体のはず
続きは読者の中かなー
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2012/11/22 17:15
ブログネタが小説だっていうんで
千文字程度のなんか書こうっておもったら
あっという間に制限近い文字数になってました。

なんかの罠か?

なんていうか、もっと違う感じのある恋人達を書きたかったのに
こんな訳わからん二人になってしまいました。

考えないで書くとダメね・・・。
反省です。




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