Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


ディートリッヒ、アンゲロプロス、首飾り事件…


実は中学生位の時から、かなり映画好きでした。
亡くなった父親が、古い映画が好きだったこともあって。
その影響もあると思う。
父親と、中学の時から、二人暮らしになって
(つまり両親が離婚したのです)、
二人分の食費その他生活費等として、
一日千円もらってた。その分から少しずつ貯めて
たまると名画座的なところへ。
映画館でアルバイトしたこともあります。
今はどうかわからないけれど、
当時は、勤めている映画館だったら、映画が無料でみれて、
あと、その界隈の映画館なら、かなり割引でみられたり
招待券もしょっちゅう手にはいって。

テレビ放映や、レンタルでも。
1930年代~1970年代位のハリウッド、ヨーロッパ映画が
特に好きでした。

そんなことを書いて、なにが主張したいんだか
わかりませんが(笑)
ちなみに、リアルタイムで映画館でかかっていた、というものではありません。
それよりも前の時代のものをおもにみてました。

マレーネ・ディートリッヒ、ヴィヴィアン・リー、アラン・ドロン、
ボギー、イングリット・バーグマン、ジェラール・フィリップ、
ゲイリー・クーパー、ケイリー・グラント、フェイ・ダナウェイ、
ポール・ニューマン、ジャン・ポール・ベルモント、マリリン・モンロー、
カトリーヌ・ドヌーヴ、マルチェロ・マストロヤンニ、アル・パチーノ…。

ディートリッヒが今でも一番好きな女優です。
語り出すと長くなるので、簡単に…。
1930年代に活躍した女優です。
「モロッコ」「嘆きの天使」が有名かな。
細い眉、こけた頬。百万ドルの美脚。
「情婦」(1958年)も美しい。こちらは長年の友人である
ビリー・ワイルダー監督が撮ってるので。
そして、『ジャスト・ア・ジゴロ』(1979年)では娼館の女主人を。
74歳ぐらい(生年に諸説あるので…)でしたが、
黒いヴェールをかぶって、振り向く時の横顔、
1930年代そのままの表情で。
1930年代のハリウッド、トーキー幕開けの
華やかな時代そのものを一身にまとって具現したような
美しさで輝いていました。
そのシーンだけで泣けました。

後年は歌手として活躍。日本でも1970年の万博の時に
きているそうです。
当時、日本にドン・ペリニヨンというお酒はなかったし、
存在もしられていなかったのですが、
彼女、ドンペリを用意させたんだとか。
わがままというより、
飲まないと舞台にでる勇気がない、ドキドキするらしく。

彼女の映画や古い洋画は、
なんというか、わたしをやさしくつつんでくれる。
かなしい映画でも、温かい部屋で、猫が安心してまるまっているような
そんな気分にさせてくれる。

それとは別に、すきなのが
小津安二郎、
テオ・アンゲロプロス、
ヴィム・ヴェンダース監督のもの。

この三人のものをみるときは、いつも心をしゃきっとさせてくれる。
あるいは恩師的な。こうでなければいけないんだ、といったような。

ところでアンゲロプロス監督の〈第三の翼〉、
今年の一月に亡くなったとき、ようやく日本でも公開されることが決定
といっていたのだけど、まだだ。多分…。いまネットでチェックしたけど
やっぱり、まだだ。いつだ?

「なぜ私は一生よそ者なのか。ここが我が家だと思えるのは、まれに自分の言葉が話せた時だけ。自分の言葉…失われた言葉を再発見し、忘れられた言葉を沈黙から取りもどす…そんなまれな時にしか自分の足音が聞こえない…。なぜです?」
(テオ・アンゲロプロス『永遠と一日』)

この言葉がとても…好きというより、私もどこか、そんな風に感じているので。

映画好き…と冒頭で書いたけれど、
この頃は、そんなに見ていません。
もともと、昔のものばかり観ている傾向があったので、
新作にどうも、うとくて。

家の近所のツタヤ、明日で閉店なので(ちょっと面倒になる…)
おわびになのか? DVDレンタル無料券とCDレンタル無料券をくれてて。
DVDの方で、
「マリー・アントワネットの首飾り」というのを借りた。
18世紀末、フランスでおこった首飾り事件を題材にしたもの。

アレクサンドル・デュマの「王妃の首飾り」が原作だと思ったら
全然ちがった。
(ちなみに彼、好きな小説家なのです。『モンテ・クリスト伯』『三銃士』…
彼の作品が映画化されるたびに、観てるのです。最近もありましたよね。
『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』、初3Dデビュー
 これで果たしました)

また、『ベルサイユのばら』とも全然違った^^
あの悪女っぷりも、なかなか良かったけれど。

『マリー・アントワネットの首飾り』でも、けっこう、よかったです。

首飾り事件の首謀者であるジャンヌが、こういってはなんだけど
共感するべきところがある人物として描かれていて。
彼女なりの名分がある。
失った名家ヴァロア家再興を夢見て、王妃に近づこうとするのだけど、
それもかなわず、そのため、首飾り事件(詐欺)を起こす…。
ジャンヌ9歳の時、父は民衆運動のため、逮捕・殺害、
そのすぐ後に母は病死、家名断絶財産没収にあうのだけれど、
家名というよりも、失われた父母との幸せな時代への想い
が伝わってくる。
だまし取った首飾りで、
昔住んでいた家を買い戻す…。
最後の方で、
守るべきものは、家名ではなく、心の中の名誉でした。
といったりする。
共犯のレトーもジゴロ的な軽佻浮薄な中に孤独な影をもった
人物として魅力的に描かれていた。

首飾り事件は、フランス革命のひとつのきっかけとなったと
語られる事件なのだけれど
たしかにフランス革命(1789年)の3年前、1786年の話だったのだなと
びっくりもした。
後(1793年)に断頭台の露となるマリー・アントワネットは
フランス革命のたった3年前に、優雅に暮らしている…。

実際は王妃の評判を落としただけで、フランス革命自体は
首飾り事件とは関係なく、おこりうるべくしておこったらしいが、
映画の中では、
ヴァロア家という、王を輩出した家がブルボン王朝によって、なくなり、
ブルボン王朝もまた、ヴァロア家が関係したことで、なくなってゆく
という線もみえて、それも興味深かった。

ジャンヌに共感したのは、ああそうか。
私が古い映画が好きなのと同じ理由なのだと今気付いた。
ジャンヌがヴァロア家に、失った家族への想いを馳せているように
私も古い映画に、亡くなった父や、離れ離れになる前の、
みんないた家、その温もりの光景に重ねている、
だから、古い映画をみると、温かくなるのだ…。


秋の夜長。
さて、ツタヤもちかくになくなっちゃうしなあ。
でも、まだゲオがある。
けれど、こちら、旧作があまり種類なくって。
新作も一本とかしか置いてないし(通常、何本かある)
なんだけど、まあいいか。

ほんとは、わたしの恩師的な人が、
「映画は映画館で観るべきです」って、いってたんだけど。
それもすごくわかるのだけれど。
あの独特の緊張感というか。みおわったあとの憑依したような感覚とか。

まあ、いいか。ひといきついたら、なんか借りよう。

アバター
2012/10/14 23:21
シーさん、すてきなコメントありがとうございます…。
『永遠と一日』大好きで、実は、台詞を全部、一時停止をくりかえしながら、メモしたことも。
「「クセニティス」「どこにいてもよそもの」」とか。

なぜか、中学生の頃からなのですが、疎外感のようなものを感じていました。
当時は肌で、なんというか、磁石の同極同士の反発みたいなものを、まわりと自分の間に
感じていたのです。それが、おそらくわたしだけでなく、人間すべてがそうであるということに
気づいたのはずいぶん後でしたが…つまり孤独であるということ。
「自分の言葉が話せた時だけ…」
これは、たしかにわたしにとってそうでした。それまでも、わたしは人と触れるために
言葉を書いてきた、と漠然と思っていました。
いいかたは違いますが、それがアンゲロプロスのいう我が家と同じだったのだと、
はじめてこの台詞にあたったとき、驚いたものでした。

もっとも、なかなか、そうした言葉は、書いていてもでてきませんが、
そうですね、あまり意識していなかったのですが、
出てくるということ、幸せなことだと思います。
他者と接するというより、冒険しているような、どこかここにいない、という感覚も。

マルセル・カルネ、『外人部隊』『天井桟敷の人々』しか見ていませんが、この二つ
好きでした。

今、せっせと「メトロポリタン美術館展」について、書いてます。
色々な作品が来ていて、いけてよかったです。
たぶん、いけば、何点かはお気に入りがみつかるかと。
自然と芸術の関わり方について、考えさせられること大で。
あと、意外にすいてましたし。
またくわしく、書きますね。

絵はすすみましたか。
わたしは、めっきり、絵を描くということから、離れてしまったので
(18歳までなのです。)
今は、もう、木のいっぽんも描けない…
あこがれます。
ぜひ、みせてくださいね。
アバター
2012/10/14 18:09
『永遠と一日』の言葉は彼の人生観でもあるのでしょうが、
私は人間が基本的に孤独であることと、一時的にそこから救われる方法が述べられているのだと思いました。
ただ、自分の足音を聞ける人は非常に稀だとも思います。
足音の元になる何かを探すことは大変だとしても、その術を持っている人は幸せです。

私も古い映画は好きです。
紹介されている監督、作品にも好きなものが多いです。
私は他にはマルセル・カルネの作品が好きです。
台詞は多くないのですが、一言に考えさせられる力があります。
アバター
2012/10/13 09:33
♪秋のマサ吉♪さん、おはようございます、さっそくありがとうw
昔の名画は、しっかりつくってあって、そういった意味でも安心感が。
あと、版権きれたのが、安くうってますし。

そう、映画館だと、映画に集中せざるをえない環境という事もあって。
暗がりで、一時停止も巻き戻しもできないので、
見逃したり聞きのがしたら、いけないなと。
画面に集中して。

あと、寺山修司がこんなことをいっていました。
映画館の中では、ひとは、しょっちゅうまばたきをする。
映画を見ながら、まばたき、まぶたのつくった暗がりによって、
自分の想いを映画に挿入しながら観ている、
映画と自分と、半分づつ、映画館では観ているのだと。
それはどうなのか、わからないけど、

やっぱり映画館はいいですねえ。


アバター
2012/10/13 08:44
秋は昔の名画もイイかもねw

ヤッパリ映画館で見るとw

感動とかが違うような気がするw



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