小説です。チビとオオカミ。続くかもしれません。
- カテゴリ:小説/詩
- 2012/09/08 00:07:28
闇夜の中をボクは歩いて行く。
自分の存在を知るために。
今から向かう先には無数の鬼がいる。
トカゲの顔をした鬼は徒党を組んで、組織的に動き、片手剣と、円形の盾で攻撃を繰り出して来る。
その鬼たちを苦も無く、倒す女性がいる。
長い黒髪で赤い目をした彼女の獲物は「闇の杖、ニュクス」
その武器は「物理世界」の武器では無く、突然現れた古代兵器の一つだ。
そしてボクも・・・「光の杖、ガイア」を持っている。
さあ、彼女の杖が本物なら・・・。
そして「彼女」がもしも「世界の滅び」を願うなら・・・。
ボクは「彼女」を滅ぼさなくてはならない。
それが「光の杖、ガイア」を持つボクの役目だから。
「ちょっとリルル?何ぼさっとしてるのよ。あなたも討伐に来たんでしょ?手伝いなさいよ」と、後ろを向きながら「闇の杖、ニュクス」を使用して魔法攻撃をトカゲ顔の鬼へ繰り出す。
「わかってるって・・・ちょっと考え事をしていたのさ」
「その背丈と小さな脳みそで何を考えていたのよ」
「な、なな。それはボクをチビと馬鹿にしているな」
「ええ、そうよ。ほらほら、話しているうちにも鬼は迫っているのよ」
ボクはその声を聞き、「光の杖、ガイア」に戦うことを告げる。
ボクの背丈はほんの少し間だけ、本来の身長へ戻る。
今が50センチだから、その三倍とプラス20センチ。
風の呪(しゅ)を唱えて、「光の杖、ガイア」を振る。
真空の刃が発生し、トカゲ顔の鬼を切り裂く。
後ろのトカゲの鬼たちはその真空の刃を交わし、隊列を縦列に整えて突進してくる。
ボクは風の呪と炎の呪を唱えて、合成魔法を発動させる。
「旋風(つむじ)」と、勝手に名づけた呼び名を呼び、杖の先から真空の刃は円を描きながらトカゲ顔の鬼を見事に切り刻んで行く。
鬼を殲滅した。
「さすがね」と、彼女はボクを見る。
「サラはまだ自分の力に気づけていないだけさ。本来、ボクと対等の力があるんだから」
「・・・怖いのよ。私の持っている武器は「古代兵器」の中でも特別なモノ。リミッターを全部外せば世界が滅びるんじゃないかって思うと怖くて」と、サラは下を向く。
「そっか。そうだね。怖いね・・・記憶は戻ったかい?」
「ううん。戻らない・・・きっと戻らない方がいいような気がするの。戻るととんでも無いことが起きそうで」
夜の街道の先に「白玉団子」の幟り(のぼり)が見える。
「なあ、サラ。明日はあそこに幟りが見えるだろ?あそこで団子でも食べよう。な」と、ボクはサラの赤い目を見る。
「・・・」と、サラが答える変わりに首を縦に頷いてみせた。
ただ姿はどこからどう見てもオオカミだ。
闇の杖はどういう訳かオオカミの背中にくっついている。
いつもはオオカミ・・・ボクは50センチのチビ・・・。それがボクたちが古代兵器を扱うために支払っている代償という奴だ。
サラは戦闘をしている間だけ「人間」の姿に戻れる。
ボクも戦闘をしている時だけ本来の身長に戻れる・・・。
ボクもサラと同じようにチビへと、戻った。また身の丈の二倍はある杖を持ち歩く。
サラの杖には赤い宝石が埋め込まれ、ボクの杖には淡い緑の宝石が埋め込まれている。
だが、それはこの世界のモノでは無いのだ。
何をやっても壊れない。そして持ち主を選ぶ。
古代兵器と呼ばれているのは・・・ボクたちが生まれる前からずっと存在しているからなのか実はよく知らない。
サラがほっぺを舐めてくる。
ボクはオオカミとなったサラの頭を撫でて、夜の街道を歩いた。サラは言葉を発しないが、きっとこう言っている。
「考えてもわからないことよりも今日の宿でしょ?」
オオカミを泊めてくれる宿など存在しないが・・・。ましてや、どう見ても五歳にしか見えないガキを泊めてくれる宿も存在しない。
ボクの足は自然と嫁いで行った姉の家へ向かった。
姉、エリスのところへ。
その旦那であるクライン伯爵のことは好きではない。
いや、とてもいい人なのだが・・・「王家たるもの」と、いつも説教されるのがどうも苦手なのだ。
そう、ボクは仮にも王家の人間なのだ。
そしてこの街は大和国と名づけられ、ボクは知らないが東洋のある国を真似て、建国されたと聞く。大工が言っていた。「幕末使用だ。どうだ?粋だろ?」って。
まったくよく分からない。
「ウオォーーーン」と、サラは遠吠えする。
「はいはい・・・「小難しいこと考えずに早く歩け」って言いたいんだろ?歩きますよ」と、ボクは歩く速度を早めた。
今宵は満月・・・いい夜だ。
カッコいい女の子って好きです^^
オオカミっていう設定がすてきです
また読みに来ます
早く続きを読みたい^^
今夜は満月なのね
また 読みに来ます(*´∇`*)