石鹸皿の上の世界
- カテゴリ:日記
- 2012/08/26 23:40:57
実家に帰省した折、洗顔料を忘れていて、貸してくれと母に頼んだ。
最近使っているのは、と母が出したのは石鹸。
「良かったって、○○さんに戴いて……」
○○さんは、昔のご近所さん。リビングのベルベットドレスの人形を『すかさは(仮名)ちゃんと似てるわね』とのたまった(……え~?)という、わたしも面識のある人。
おやアレッポの石鹸だ、と気付き、
「これ、そこそこいい値段するんだよ~、お礼した~?」
なんぞと言っていてハッとした。
アレッポの石鹸。アレッポ、シリアの。
アナンさんが特使辞任するっていっていた、シリア内戦の激戦地。あのアレッポが、このアレッポだ……
平和に、呑気にくらしているわたしたちの日常も世界に繋がっている。
色々ある(あのあたりは難しい……)にせよ「ちょっと贅沢な石鹸」の産地として記憶されるくらいには他所と交流がある=経済や生活にもそこそこ安定した基盤があっただろう場所で、激しい市街戦がおこなわれている。
朝に紅顔ありて夕べには白骨となる。なら、街は、国はどうだ? 世界は、世の中は、たやすく移りかわりどう変わるかわからない。自分が立っている「ここ」、世界の中ではとても恵まれ安定しているこの場所もまた。
胃の腑が冷える心地がした。
死にたくないし、できれば安楽に暮らしたい。身近な人が幸せでいて欲しいし、不幸なんてないほうがいい。たいていの人がそう思っているだろう。
それでも(いや、実はだからこそかもしれないが)血で血を洗う争いはあるし、恩讐を越えるのは難しい。
彼の地の状況がどうなのかは、利害や国の立場のフィルターもあるだろう、本当のところは外からはよく見えないし、現場にいたって立ち位置で違って見えるのだろう。
それでも、戦闘だのそれで死ぬ人だの、貧困や苦痛は無くなってほしい、極力減らしたい、できないものか、できることはないのか、と思ってしまう。
意識することもなく、きっと収奪側にいるだろうことを、知ってはいるのだが。
わたしが実家で使った石鹸を、作った人は今無事だろうか……?
なんていうか、別方面で知ってる名詞をニュースで聞くと虚を突かれたような気分になりますね。
山鳥さん
自国の政治について表立って突っ込みを入れられるこの国は、とてもとても恵まれているのだろう、とご近所の国とのもめ事では思います。
外交以外の国内の政情見ていても、理由をつけて人に物を言わせない方向に行きたがっているようでヒンヤリしている今日この頃です。
ながつきさん。
はい。奥歯に物が挟まったあげく口が閉まらず困ったみたいな文章になったのは、その辺も知らないわけではないからで。
某他国に主権を奪われた国について、でも上層階級は好き放題していたので「地方」扱い以後一般市民が「上層部ざまをみ」くらいに思ってる、という話を聞いたり、でも主権をとった側の民族が利益を吸い上げているようだったり。外からでは単純にわからないのかも、と思うようになりました。
とにもかくにも、死傷者がすくなく、平穏になるようにと祈るしかないです。
corraさん
百均などのお値打ち品は、倒産した会社の処分品だったりするそうですしね……
安物買いをしていて、時々
作っている人の処まで利益がきちんと還元しているのか
考えてしまうことはあります。。
一党独裁と非常事態宣言のもとに厳しい人権弾圧が、長く続いてきたことは事実です。
外から見た「安定した基盤」は、そうではなかったかもしれません・・・。
このアレッポは、ユネスコの世界遺産でもある「古代都市アレッポ」です。
繰り返された争いの歴史でもある遺跡が、新たな争いの砲撃で損壊。悲しいですね><
アレッポの地名を聞くたびに石鹸を連想します
かの地での闘争
身近な島での領地争い
などなど
今の平穏は、仮の姿と認識すると
本当に胃の腑が冷えますよね