夏休み。実家。

夏は、なんかぎらぎらとした太陽光線が皮膚を焼くし、強い白い光が頭の中まで突き刺さって頭痛がするし団地には虫取り網を持った少年たちがうずくまって虫を見ている、その姿を想像してしまうし他になにもない、と思いたくなる。

先週の日曜日、私がスーパーで氷かき器を見てたのを母が見て「かき氷たべたいん？」と氷かき器を買ってくれた。私はなぜだかひどく安心な気持ちだった。お気に入りになった。しかし暑い。

光が強いと、影が濃くなる。コントラストの強い写真や映像が好きなように、そういう日に目に映る光景が好き。

 昨日は昼前に車に乗った。海まで行きたい、と思いながら公園に行った。

そこでバドミントンをしたり、噴水のある芝生に寝転がったりした。くっきりとした影。映画の気分になった。帰ってから学校に行くという現実の私。夏の夕方は、体じゅうにぬるぬるした不安がへばりついていたのに、太陽がなかなか沈まないため帰れなかった。

「夏休みの間こっち、遊びにおいでよ」と一足さきに社会人になった友達に言われる。「そうだねー」と返事を返しながら、私は黙って下を向き自分のつま先ばかり見ていた。剥げた赤いマニキュア。ああ、夜行バスね。いい料金を払って、若干挙動不審になりながら遠くの知らない街まで行くのか。そして最終的には過去のことを思い出して妙に感傷的になったりするのか？それは避けたい。阿呆みたいだ。

そのときには、もう家に帰りたいと思うようになっていた。太陽も、森の中も、人との交渉も、遠慮しようと思った。テレビをつけて、眠りたかった。

でも本当は人といることが嫌いなんじゃなくて、人といるときの自分が嫌いなんだということを、私はもう知っていた。でもずっと一人ではいられなくて、同じ言葉で話をしたいとか、できたもの見てほしいとか、今日はいつもより髪がきれいだから触ってほしいとか。そんなふうに思うこともあるから、自分を叱るしかないのね。

「生きてたらいろんなことあるわ。くよくよしない。」と祖母が言って、うん、と言ってどうしたこともない。

ふむ。