大概の不気味系生物が平気なわたくしでありますが、ナメクジとカタツムリはニガテであります。まあ、ぎゃ～～～ってほどではないですが、見かけるとうは～～と思う生き物の一つ。
ところでこの生き物たちですが、今はあまり触らないこと推奨です。
というのも、広東住血線虫という寄生虫の中間宿主（最終的に寄生したい宿主までの間のつなぎになる宿主)になっている可能性があるからです。
中間宿主はナメクジ、カタツムリの他に、現在国内で帰化が問題になっているスクミリンゴガイ、プラナリア、淡水産テナガエビ類、陸棲のカニ、ヒキガエル等にも潜んでいるようですので注意が必要です。

まあ、日本国内の発生数はさほど多くは無いのですが、全国で広東住血線虫の寄生を受けた中間宿主が確認されていますから、用心にこした事はありません。沖縄では感染率が国内で最も高いので、中間宿主のアフリカマイマイ(熱帯域に属するエリア以外の本土にはいません)に触れないよう指導がされています。
海外でも特に発生の多い地域は台湾、タイ、ポナペ、ニューカレドニア、タヒチ等だそうですので、生ものを食す際にはご注意。ナメクジなどの潜んでいた生野菜経由で感染という例もありますよ。畑の野菜を洗わずそのまま・・・は、最近はキケンです。まあ、あまり神経質になりすぎもよくないのですけれどね。

広東住血線虫は虫とつきますが、昆虫ではなく線虫という糸状の体を持つ生物です。広東住血線虫も、もともとは熱帯性の生き物でネズミが最終宿主、その糞に排泄された虫卵をナメクジやカタツムリが接取して、そのナメクジやカタツムリをネズミが食べて・・・・というサイクルを持つ生き物です。
成体は雄が長さ20～25mm、雌が22～34mmになります。雌は吸血するので、茶赤色と白のねじれた縞模様が縦に走ります。本来はネズミに戻って消化管から血管経由でくも膜下に入り幼若成虫となり、そのあと肺動脈に移動して成虫になります。ネズミには寄生しても一切害は与えません。進化した寄生虫は宿主には害を与えないで、ライフサイクルを全うするようです。

人の体内に入った場合、ネズミに入ったときと同様に消化管を食い破って血管から速やかにくも膜下に進入して、幼若成虫にまで発育します。しかし成虫にはなれず幼若成虫のままやがて脳内で死滅します。
キケンなのはヒトに寄生したケースではこのときに、好酸球性髄膜脳炎を発症するからです。虫が死滅すれば症状は改善しますが、問題は寄生箇所が脳内という点。殺虫することもできませんので、対症療法を施しつつ半月から一ヶ月入院して、幼虫が死滅するのを待つしかないのが現状です。まあ、予後は大抵悪くは無いようですが、多数の幼虫が寄生した場合ショック死する例もあります。
まれに網膜に幼若成虫が寄生するケースもありますしね。家庭菜園の野菜は無農薬だから安心、洗わないで食べちゃえ・・・・なんてのは気をつけましょう。