Nicotto Town


うみきょんの どこにもあってここにいない


どこにもあってここにいない


今日は真昼から4時まで、外にいた。
暑かった。日射しがのったりと、
隠していても、くいこむようだった。
歩いているうち、
思考回路がだんだん、にぶくなってくるのがわかった。
街を現実として歩いていた、もうろうとしながら。
知った筈の道のほんの裏側を歩いただけで、
未知の空間にまぎれてしまったような、リアリティのなさが
歩いているわたしに混在しはじめていた。
道端で猫が現れる。枯れかけたホタルブクロの鉢植えが出現する。
知らない道を歩いていたはずなのに、突如として現れる見知った大通り。
なんども行き止まりに遭遇し、ようやく通じたと思ったら、
ずいぶん前に歩いた道だった…。
突然、猫が二階から鳴く。
暑さでしおれた鉢植え。
無言でいたのに、しゃべりすぎた後のように
喉がひりつく。
これらすべてが、リアリティがなかった。
幻想のなかをあるいているようだった。
猫を追おうとする。
その私をべつの私がみているような。
夢のなかのわたしをみるわたしのような。
でも、暑さをかんじているわたしも
たしかにいるのだった。
わたしはどこにいたのだろうか。
喉がひりついたのは、だれかと
夢のなかでしゃべったからではなかったか。

今日はほんとうに暑かった。




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