「ちくしょーーー！あんとき、右のを選んでれば！！！」

「お・・・オレだって、オレだってえええええ！！！」

酔っぱらいかと一瞬見間違えるほど、フラフラ歩いている
人が沢山いるのにドキドキしながら、菊丸天使はゲーム広場を
彷徨っていた。

「どこにも・・・ないなあ、カフェなんて。」

きょろきょろと見回すけれど、コインを使い切ってグッタリしている人、
逆に３倍タイムで大もうけして、ニコニコ歩いている人・・・。
タウンの住人が連れ歩いているくまぬいはいても、
はぐれくまぬいは見当たらない。

「なんだか・・・お腹すいたなあ・・・。」

yukinko天使長は、仕事がまだ残っていたため、占い魔術師
撫子の部屋を出てから、別れて、一人でアンジェ捜しに出ているのだ。

ぐうう・・・きゅるるる・・・お腹がつぶやきに応えるように鳴った。

「あら、ステプの音にしては、ヘンだと思った！」

可愛らしい声に振り向くと、白いバラの花束を抱えて、
愛らしく微笑む、マリンボーダードレスの美少女。

「お腹がすいているの？」

菊丸天使は、どぎまぎしながら・・・。

「実は、お昼を食べ損なってしまって。」

本当は一応食べてはいるのだが、天国のお昼ご飯は、
「重量が軽いモノ」に限られているので、地上でたくさん
動くには、カロリー的には全然足りなかったりするのだ。
（注：決して菊丸天使が食いしんぼだからというわけでは・・・
ない・・・かも・・・多分・・・きっとｗｗｗ！）

恥ずかしそうにうつむく菊丸天使に、美少女はニッコリと微笑んだ。

「私も、実はお昼まだなの。良かったらご一緒にどうかしら？」

「はい・・・でも、あの・・・。」

まさか、天国在住なので、コインがないとは言えない。

「もし失礼でなければ、ご馳走させて？
　私、今、カードゲームで大勝ちしたばかりで、
　誰かに幸運のお裾分けをしたい気分なの♪」

そう言いながら、美少女は、菊丸の肩を優しく抱いて、
歩き出す。

「私の名前は、ヌマっちというの♪お友達になってくださると嬉しいわ。」

ほのかにドレスから香る、フレグランスの香りにウットリしつつ、
菊丸は、なんだかとっても幸せな気分に・・・。

「何なのよお！この店はっっっっ！！！」

ガタン！ガタガタンッッッ！！！

「いえ、ですから、お客様、落ち着いて・・・。」

「ケーキがとっても美味しかったから、おかわりって言って
あげたのにっっっ！！！」

ガタガタガタンッッッッッッッッ！！！

二人がおしゃべりタウンに足を踏み入れた途端、菊丸の目に
飛び込んできたのは・・・。

テラスカフェのテーブルを両手で思いっきりガタガタ揺らし、
テーブルの向かい側の空いた椅子を蹴って倒し、
店員を困らせている・・・。

「ア・・・アンジェ！？」

菊丸が急いで駆け寄ると、花嫁ぐまは、口の周りにクリームを
いっぱいに付けて、ニッコリと笑った。

「あら、新米天使！遅かったじゃないの！！」

「お・・・お客様のお連れ様ですか！？」

困り果てていた店員が、ホッとしたようにため息をついた。

「ケーキをご注文いただくには、コインが必要だと申し上げたの
ですが、どうにもご理解いただけないようで。」

美少女ヌマっちが、店員に告げる。

「こちらは、私の大事な大事なお友達ですの。
私がご馳走させていただくから、このくまぬいちゃんの
注文どおりにしてあげて下さらないかしら！？」

「ヌ・・・ヌマっちさん、そんなっっっ(^^;)！！」

慌てて止めようとする菊丸天使に、ヌマっちは微笑んでいった。

「私、毎日が退屈だったの！こんな刺激的な出来事、楽しくって♪」

・・・かくして、アンジェは店員をお伴に、ケーキの並んだガラスケースに
意気揚々と向かい、菊丸天使は、テラス席で顔を真っ赤にしながら、
ヌマッチと、ほとんど夕食と言っても過言ではない、ランチタイムに
突入することとなったのであった・・・。

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えーっと・・・(^^;)！段々、アンジェ、親の顔が見たい的な
性格がバレてきてしまいました・・・。