自作小説 呪縛の家その8
- カテゴリ:自作小説
- 2012/05/18 16:14:56
病院の朝は早い。夜が永遠に続くと思われる雰囲気から一変、目覚めの早い患者が洗面所に行く気配から始まって、看護師が歩き回る音、そして朝食の用意の匂い。舞子は浅い眠りの中で『日常の音』を久しぶりに聞いていた。あの家にはない音だ。音までを呑み込むどすぐろい渦があの家だ。私はそんな所に加奈子をひとりぼっちにしたのだー目から涙があふれ落ち、舞子は目覚めたのを自覚した。目をそっと開けて再び病院のあさの音にからだをゆだねる。なんて『まとも』なんだろう…。気付くといつの間にか点滴がなくなっていた。
「木戸さん、おはようございます」
カーテンが開き、舞子ははっと目が覚めた。どうやらまた少しウトウトしていたらしい。
「朝食後、先生の診察があります。はい、終わりました。正常ですね」
看護師はキビキビと血圧測定と検温を行いながら、それだけ言うと舞子に質問する時間を与えずせわしなく部屋を出て行った。正常?この状態で?肌のあちこちに赤いペンキが付いたままだ。ぬぐいきれるはずがないものね、舞子は心の中で皮肉に笑った。個室についてる洗面台の鏡に気付いた舞子は、よろよろと立ちあがると洗面台の前に立った。鏡に映る自分の顔を見る。赤いペンキがしっかり顔に付着していた。拭いきれないのはわかっていたが、石鹸で顔をゴシゴシこする。赤く泡立った水が流れるが、やはり拭いとれる状態ではなかった。あきらめてベッドに戻る。
ほどなく朝食が運ばれてきた。軽く事情を知らされているのか、だれも舞子に付着しているペンキを見ても動揺する様子もない。
舞子は味噌汁を飲んだ。病院の薄い味付けなのに、からだに染みわたるような気がした。あの家の食事は全部、砂を噛んでるようだったから…味噌汁を一口飲んだだけで再びあの家と比較してしまう自分に舞子は苛立った。
食事を終えた頃、浩介が病室に入ってきた。
「あ…」
思わず俯く。小さな声で
「ごめんなさい、パニックであなたに電話しちゃったのね」
そう言うと涙がぼとぼと落ちてきた。
「謝ることはない」
ぼそりと浩介が答えた。そこに医者が入って来た。
病室を出ようとする浩介を医者がとめた。
「旦那さんでしょ?」
「はい」
舞子が反論する前に浩介が言う。手早く聴診器を当て、うなづくと
「もう退院していいですよ」
「あの…高橋加奈…」
「あとは旦那さんにきいてくださいね」
看護婦が舞子を遮った。医者はせわしなく部屋を出て行き、看護婦もそれだけ言うと、医者の後を追って出て行ってしまった。
浩介が口火をきった。
「まずは、ここを出る。家にあった洋服、適当につっこんできたから。用意して。加奈子ちゃんの所へいきたいんだろ」
「加奈子の所…」
舞子はうなづいた。浩介が続ける。
「彼女は精神科に入院した。自らの意思だ」
「精神科に?自分から?」
ショックを隠し切れなかった。
「会えるかどうか、わからないが、とにかく行ってみるしかないだろう」
浩介の冷静な言葉に、舞子は機械的に反応して用意を始めた。ジーンズをはき、帽子付きのパーカーで顔を隠すした。舞子が言葉を発する前に
「じゃ、行くぞ」
そういうと、浩介は、彼女の手を強く握って舞子を抱き寄せ、病室を出た。守ってもらってるー舞子は浩介の温もりに包まれたのを感じた。このまま、時間がとまったらいいのに…舞子は浩介の手を強く握り返した。
現実的には義理両親は反対して、元夫にアドバイスしていると思います。
そこらへんの描写まではたして書けるか?ちょっとわからないです。
主要三人がどう動くのか、ほんとに私にもわからない状態です^^;
どうなるのかは分からないけど・・・・・
義理両親に受け入れてもらえるのかしら?
想像裏切る展開でしたか!それもまた書き手には嬉しいコメだったりw
想像裏切ってがっかりならすまんです(^^;;;
携帯持ってませんが、携帯で読めるサイトに登録してみました
反応があるのか、ないのか?
購読層がどの年代なのか?わからないだけに反応のあるなしにかかわらず
楽しみです^^v←無謀チャレンジャーwww
読んでくださtって感謝です;;。
るうさんの予想どおりの展開でしょうか?^^;
ぼうぼうさんの結末どうなるのかな~
お医者さん、患者に冷たい(^_^;)