自作小説 呪縛の家その7
- カテゴリ:自作小説
- 2012/05/17 19:50:12
目が覚めた時、舞子は病室にいた。室内は暗く、個室のようだったが、ドアは開いてるようで、別室の寝息がいくつも聞こえてきた。
天井から視線を動かすと点滴が見えた。それをたどって視線を動かしていく。針がささった腕に視線を移した時、舞子は自分のうでが赤いのにはっとした。ペンキだ。
「か、加奈子…」
声にならぬ声だった。ナースコールをさぐる。からだを動かすとシーツが赤く汚れているのがわかった。
ほどなく看護師がやってきた。
「木戸さん、気付かれたようですね」
小さな声でやってきた女性が優しく言う。木戸?舞子は小さく顔をしかめた。婚家の苗字になっている?離婚したのに?
「あの、私の妹は?高橋加奈子は?」
「別の病室にいます。詳しくは明日」
優しいがこれ以上は答えられないという意思が言葉にこもっていた。そして点滴をチェックすると、
「眠れないようなら睡眠薬用意しますよ」
状況がわからぬのなら眠りたかった。
「お願いします」
睡眠薬を飲むのに上半身を起こしてもらった時、再び寝具の赤いペンキが目に飛び込んできた。見たくない。看護師に補助されながら、からだを横たえて舞子は目を固く閉じた。現実の事態を見たくなかった。やがて彼女は再び眠りについた。
それが健康的な余生…
元夫さんの活躍(笑)が、まだでした^^;
どんな展開になっていくのか。
目が離せません><