自作小説 「呪縛の家」その5
- カテゴリ:自作小説
- 2012/05/15 15:27:04
夢は現実。現実は夢。
浩介がこの家から舞子を救出しなかったあの日から、舞子の意識は夢と現実の中で迷子のようにさまよっていた。たまに加奈子の声がきこえることがある。
「ねぇ、どうしていきなり結婚して、私を置き去りにできたの?」
「おねえちゃんは、この家からどうやって逃れたの?あの人は死んでからだって、一時も私たちをここから離さなかったのに?」
「ねぇ、ひとりぼっちで、この家に束縛されていた時間がどんなに苦しかったか、お姉ちゃんには理解できないの?」
わかってる、ごめんね、ごめんね…朦朧とした意識の中で繰り返される。時間の観念はすでになくなっていた。
ある時。ふっと目が覚めた舞子は、自分の意識がはっきりしているのに気付いた。
「加奈子?加奈子?」
返事がない。気配がない。ふらふらと上半身を起こすとベッドサイドのテーブルに強いブランデーの瓶が空き瓶が数本と封を切った飲みかけが一本置いてあった。ズキズキと痛む頭を押さえ、舞子は悟った。アルコールが全く飲めない私に加奈子が飲ませていたのだろう。意識がさめかけると耳元でささやきながら、このブランデーを私に飲ませていたのだ。
そんなことしなくてもー舞子は、よろよろとベッドから立ち上がり、部屋を出たー加奈子、私はもうここから逃げないわよ?舞子はふらつきながら壁づたいに居間に向かって進んでいった。
加奈子、おねえちゃんね、わかったことがあるの。。。私が結婚という名目でここをいとも簡単に脱出できた理由。脱出したんじゃなかった。姉妹の仲を引き裂き、憎しみを生むのが祖母の意思だったのよ、あの人は私たちの母を憎んでいた。あげくに、母は、母の運転していた車で、祖母の一人息子を永遠に奪ったのだ。憎悪の対象は、母から母の娘である私たちに向けられたのだ。二人が支え合う姿を祖母は壊したかったのだ。死んでなお祖母は、私たちを破壊し続けているのだー舞子はふと足をとめた。
私の部屋。赤い部屋。加奈子の気配がないのは?私が今こうしてお酒がきれて、歩き回ってる、それは何故!?
「か、加奈子!」
ドアを開け放つと、加奈子が赤いペンキの海の中で真っ赤に染まって倒れていた。
「か、かなこっ!かなこーーっ!!」
呪いの連鎖、怖いです。
でも、やみつきになる^^;
血の海?
ペンキの海?
真っ赤に染まるのは、本当はどうなのかな。
加奈子さんの感情がキーワードでしょうか?
まさか(>_<)
そんなこと・・・・
やめて・・・・・・(>_<)