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お涼の活躍エピローグ②(忍者物語)48

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佳世と坪庭のある家



あの時、寛太が与一の所に訪ねてきたのは
佳世に綿入れ袢纏の注文だった。

此れは人々の評価を得て、
冬に外で仕事をする者や
年寄りには重宝がられた。


与一も寛太の紹介で修繕屋が順調に注文が来ていた。
城の修復にも駆り出される腕と言うのと、
逃げて来たのではなく、
息子の宮大工になりたいと言う夢を実行する為に
2件ある家を置いて広い畑も置いて来たと言う言葉が
京の人の自尊心をくすぐって、
快く受け入れられた。


始めは正太が手伝っていたが、
正太が忙しく手伝えなくなると、
他領から流れ着いた大工の中から、
此れはと言う腕の立つ大工を助手に雇うと
仕事は更にスムーズになった。



次の年にはかなりの金が貯まったので
与一のたっての願いでお涼の観音像のある寺の近くに
坪庭のある広い家に引っ越した。


其れから2年、与一達が京に来て6年の月日が経っていた。

めっきり歳をとって修繕の仕事も腕の立つ弟子に任せて


与一は町内の神社の祭の山車の上に乗せる七福神の船作りを
坪庭の縁側を仕事場にしてやって居た。


与一の日課は毎日源蔵の掘った観音像のあるお寺にお参りから始まる。
弁当を持って修繕の仕事場へ行くと昼過ぎには帰ってくる。


家に帰ると縁側を仕事場にして、山車に乗せる宝船作りをする。
夕方に修繕の仕事を見に行く。
そんな日が続いていた。


そんなある日、与一が人の気配にふと顔を見上げると
見覚えのある顔が在った。

自称大工の身内の忍者だった。


お涼の観音像の寺に来たついでに
近くだから寄ったと言った。


佳世の出した茶をすすりながら、
今もあのまま仕事を続けていると言った。


あの時天守閣が燃えた真相が解ってなと彼は言った。


天守閣は燃やす計画に無かった。


お涼は自分が道を間違えたせいだと
可哀そうな位に悩んで居てなと彼は言った。


だが、実際は伊井川と言う領主が自分で火をつけて

更に足軽と衣類を変えて
侍達に紛れて一番に逃げ出したと言う。


伊井川が足軽の格好で逃げる途中に元正室側の家臣に見つかり、


「伊井川殿、其の様な格好でどうしたのか」と大きな声で言われて
字源兵に見つかって首を取られたのが真相だった。


流れ者の足軽だったが、側室側に機嫌を取って出世していったらしい。

未だにどこの出身かも解らないそうだ。


お涼がもっと早く其れを知ったら、
あのような姿にならなかったのにと与一は
あの時の事を思い憐れんだ。


実はと彼は言った。
「あの家をまだそのまま使わせてもらっている。」

あの3つの部屋にそれぞれ押し入れがある長屋の家だ。

」家を出る時に挨拶されると

顔はばれているし仕事もばれているし、

こんな忍者が居るのかなぁと奇妙な気持ちになる」と
人懐っこい顔をで笑った。


この顔で人々はどれだけ安心をしたかと与一は思った。



彼が帰って与一がその後仕事場に戻って行った。



佳代は毎日の日課の仏壇に手を合わせて、

其の後にふと何気に横の箪笥を見た。

紙切れが挟まっていた。

お涼の着物がしまってある引出である。

引出しを開けて其の紙を出して広げてみた。

何度も読んだのか、出してはしまったのか、

くしゃくしゃのぼろぼろで、しかも黒いしみだらけである。

其処にはお涼の書いた、

鬢付け油の顔や髪の落とし方が書いてあった。

お涼が正太に書いて一人で落とせる様に渡したのだろう。

其れをこんな所に仕舞い込んで、

使う時に出しては見て

其の通りに今でもやっているのだろう。

京には良い、鬢付け油落としの油が

とっくに売りだされていた。

「あの人ったら、まだ、

こんなまどろっこしいやり方で・・」と

佳代は苦笑した。

次の日、佳代はいつもよりきつめに

鬢付け油で縫って髪を結った。

正太の居る所で、

「こんなに匂いがきついんじゃ、

外に出れやしないと言って

鬢付け油専用の油が

角の店に売っているだろう。

今時、炭の灰で何か、落せやしない」と

正太に言って買いに行かせた。

正太のいる前で

其の油とちり紙でこすり取ると、

お湯ですすいで、「あ~、すっきりした」と言って、

髪を結いなおした。


数日後にその油の入った瀬戸の小鉢がなくなっていた。

佳代がお涼の着物を入れている引出しを開けると

其の小鉢が大事そうに仕舞い込んであった。

佳代はため息をついて言った。

「いくつになっても、おっかさんかぇえ」


      おわり

アバター
2012/07/20 23:12
みみやん様
ではお涼は何故苛められっぱなしだったのでしょう。

理不尽を其の儘受け入れて我慢をしたのでしょう。

其れは彼女は自分が武士の娘として、公家の血が入った娘としての自覚が無く育てられたからです。

日本の子供達には日本人としての誇りの教育が大切です。

其れが言いたかったのです。

其れを良くもねつ造歴史で、子供の大切な時期にとんでもない事をしてくれたと思っています。

日本国民は此の事は決して許してはいけない事なのです。

其れは所謂GHQが決めた第3国の人達が其れを知って居るから、

其れを日教組にさせたし、日教組も其れを知って居るからそうしたのです。

この人達を許す事は絶対に在ってはなりません。

観音様は全ての人にやさしいわけではありません。

救わなければ成らない人の為に敵には厳しい裁きをします。

お涼が立川軍を殺す目的の中に2年前の騎馬隊を通る道を作る為に

其の場所の家を破壊し、戻って来ない様に家の持ち主を先に殺してから

家に火をつけて虐殺をしたと言う事が在ります。

其れをお涼は許してません。

日本を敵とみているから、日本の子供達に捏造した歴史を教え込んだのです。

敵をこの国に入れて置く事を最初に無くさなければなりません。

此れは基本中の基本、国家としての基礎中の基礎です。
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2012/07/20 22:41
みみやん 様
レールに横わって近づいてくる振動を小学校6年生の女の子はどんな思いで聞いていたのでしょうか?
マスコミがさらっとスルーした虐めです。

学校の虐めは無かったと言うので終わらせています。

子供は前の日に親に相談しようとしていましたができませんでした。

その子の事はそれっきりです。

女子高校生が渡り廊下の上から飛び降り自殺をしました。

其れもそれっきりです。

大阪市長の浮気会見の後ろの背景の違いをあれだけ解説するマスコミのコメンテーターが

何故福島の8時間の年間許容量を超える高濃度汚染地区の事を

外務省が官邸に知らせなかった事はそれっきりなのでしょうか?

虐めで生きていて欲しいと言う思いで此れを書きました。

此の設定は忍者です。

彼女の虐めは其の村の人は全て知って居ます。

何故なら、此処に載せてませんが、訓練の一つで彩夜の行動を見張って報告すると言うのが

寛太に課せられます。其の内容に誰もがうんざりします。

彼女と組む事は誰もがしたくありません。

信頼が無ければ死を意味する仕事の中では、組めません。

だが、彼女には権力が付いて居た。父親です。

色々な物を混ぜましたが、夕奈が誇りを持って毅然と立ち向かいます。

死を覚悟して抗議もしています。

彼女の埃は武士の娘だと言う事です。

押し込まれたどんな境遇でも言わねばならない時は命を張っても

理不尽な納得でき無い事に対しては立ち向かいます。

私は微力な婆です。

でも、日本の歴史を捻じ曲げて日本の子供に教えて傷をつけた事は

許せません。

彼らが日本に居る事に納得が出来ません。

父親が死んで、彩夜が其の村を引き継いで、

ある意味バラバラに現実はなって行きます。

最後に村は偶然に解体させる事態になって

自分の言う事をきく、年下の娘を連れて貯めこんだお金を持って

女郎屋を開きます。

しかし、借金がある訳でもなく、それなりに子供時から訓練された娘達です。

その辺の男が用心棒で務まる訳でなく、元の村の誰の協力も得らないので

彼女達は自分の体で稼いだお金でそれぞれ男を見つけて出て行きます。

後ろ盾は潰す。
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2012/07/20 21:47
長いお話、お疲れ様でした。
ブログ広場で「忍者物語」というタイトルを見てのたもたさんのところに訪問させてもらうようになってから
ずいぶんたったように感じます。
実際には2~3か月ほどなのですがもっと長いように感じます。
主人公のお涼は、忍者ではありますが既成の小説やマンガなどとは違って、決してスーパーマン(ウーマン)ではありません。
むしろ生き延びているのが不思議なぐらいドンクサイ。
そんな女性が動乱の時代に他人のことを思いながら行動する。
その事によって回りに人たちから慕われていく。

 お涼なきあとお涼の観音像が作られ信仰の対象となりますが
素晴らしい女性に抱くイメージの一つとして
観音様をあげる人は多いと思います。
そしてお涼は、紛れもなく菩薩様として慕われたのでしょう。

 最後のエピソードは ほっとさせるものですけども
これもやっぱり
 母親=観音菩薩 というイメージがあるからかも知れません。


アバター
2012/05/14 08:39
レイダ様
還暦過ぎの婆に勿体ないお言葉。

長い事かかって載せた買いがありました。

本当は今辛い思いをしている多くの若者に読んで欲しかったのですが、

肝心の若者向けの所は削除しました。

人物紹介で後で解らなくならない程度に載せました。

お涼の生き方も、若い時から大人になって行く変化を載せたかったです。

そして、今だけが全てじゃないと60すぎのおばあさんが現実に思う事を

多くの人に知らせたかったです。

死ぬなんて考えないで、生きて居る事が奇跡の様な中で生き抜く事が

日本人です。

あの時代も、此の時代も、沢山の物を背負って、急な坂道を登って

風雨の中、粗末な小屋で大勢が固まって助け合って生き抜こうとするのが日本人です。

闘える物が専門家の指示に従って、一緒に協力して行き抜こうとするのが日本人です。

あの時男山で忍者に協力した多くの人達の様に忍者だけでは勝てなかった事を出しました。

城の領主が何の手も差し伸べなかったときに、

危機(情報を知った人達が)一日、二日で逃げて、事前にそれなりの準備をして

闘える者が手を下して、守るべき人達を守ったから、助かった。

日本人の姿です。

其れを書けた事も、常にレイダ様も励ましが在ったからだと思います。

何時もありがとうございました。
アバター
2012/05/14 01:52
いえいえ・・・もったいないお言葉です

ココにきて読むのが、いつか楽しみになりました^^

文章から景色や人物の顔、声・・・

それらを想像できましたよ

なので頭の中はアニメーション状態で楽しかったです

銀魂の何かは出てこないか?・・ちょっと思ったことも・・・でも

もっとシビアなバガボンドでしたか?武蔵・小次郎の漫画あれに似た厳しさ

人は簡単に死ぬし、斬りあいは時代劇のようなものではないということ。

知らぬ間に引き込まれる世界でした

アバターコーデなど細かく設定してもらえたのもイメージがわき易く、楽しみでもありました

仕舞いには「お涼ちゃん」のファンになってしまいました

一生忘れたくない物語ですから、本として存在すればコレクションしたいくらいです^^

長い間楽しませて頂き、感謝するのは私のほうです(;^ω^)

有り難うございました

そしてお疲れ様でした
アバター
2012/05/13 22:21
レイダ様
舞台は業と日本で一番生きにくい時代を選びました。

生まれた時も戦争で死ぬ時も戦争の中の時代です。

その中で生きようとした人を出しました。

虐めも経験したし、死の覚悟もしました。

でも、其の環境の中で生きる道を探っては生きて行きました。

悲惨な戦争は川の氾濫にも例えられます。

無慈悲で有無も言わせません。

そして当時の人には怒りがぶつけられる場所が無かった。

其の被害から何とか人々を救おうとする人を描きました。

何もしない城の人間は今の政府への精一杯の皮肉です。

失敗もしたし、多くの人が思う、ああすれば良かった、こうすれば良かったと言う思いを入れました。

そして、最後は生きて居れば、心の余裕ができるし、

自分を助けてくれる人を何も言わないけど、

人々は知って居ると言う事をちょっと出してみました。

こんな色々な思いを言いたい事を出す為に解りにくい文章を

読んで下さった、レイダ様の優しさに感謝します。
アバター
2012/05/13 21:44
・・こんな忍者がいるのかなあという話や

鬢付け油のはなし・・・

思わずニッコリしてしまいましたよ^^



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