Nicotto Town



お涼の活躍21贖罪(忍者物語)41

其の忍者が私の前で覆面を取って、
「父上、お久しゅうございます」と行った。

まぎれもない自分の息子の面影が
苦悩した大人の男の顔の中に残っていた。

あの時闘いのさなか助かったのは
たまたま厠に行っていたからだった。

戻ろうとしたが、別の領主の様子を見に来ていた
忍者に助け出された。

そして、仲間が殺されて行く所を
自分は其の忍者に身動きできない状態にされて見ていた。

其の後、せめてお父上、妹の無事だけでもと屋敷を見に行ったが
其処も生きている物は誰も居ないと其の忍者の仲間に言われたそうだ。

其の忍者に連れられて、そこで忍者の修行を受けたが、
仲間うちの争いの中、その内の一人に雇われた別の忍者集団に
襲われてちりじりになった。

後で残った数人と落人の侍と盗賊集団を作ったが、
其処もどこかに雇われた忍者集団との戦いになって

生き残ったのは自分だけになった。

その後、幾つもの国を流れて行って、
その間にはぐれ忍者を引き連れて一つの集団を作って

此処の領主の警護に付いた。

此処の地を訪れてすぐに父上が此処の住職になっている事に
気が付いたが、今の自分との違いに名乗る事が出来なかったそうだ。

此処を離れる時に二度と此処に戻らぬつもりで、
最後に別れの挨拶に来たと言った。

だが、父上の危機には必ず、戻って来って、
人の道に外れた鬼の仕事を引き受けます。

其れを持って地獄に行く覚悟です
と言って連絡方法を教えて帰って行った。


私は自分の娘が手籠めにされて、
その上たった13歳の孫娘も手籠めにされて其の孫娘が

鉄火箸で喉を刺して自害した事を知った時は
心の鬼を止める事が出来なかった。

私は多くの元正室側の家臣と共に
字源の申し出を受ける方に賛成をしていた。

また多くの人の命が落とされる
と言うよりも復讐の鬼となっていた。

地獄へ落ちるなら、息子と一緒に落ち様と
私は源蔵に連絡を取った。

寺が2年前の無縁仏を引き受けた事で
「立原憎し」の説法をしているとして

立原に目をつけられていると言う理由で
忍者を警護に雇った事にした。

女山の警護に駆り出されても、
源蔵だけは、私の寺を守っていた。

其の源蔵がお涼が自分の妹だと知ったのは、

お前があの着物を持って来た日だった。

あの着物は幼い娘を逃がす時に来ていた
着物だったのだ。

もういいと寛太は思った。
源蔵が憎いと言う心より、
源蔵の心の中を思うと
悲しさと哀れさの方が勝った。

だが、和尚は話続けた。

私があの夜、一晩だけと預かった着物を源蔵は手に
取ると声を上げて泣いた。

お涼が此の国に入って来て居るのは
源蔵は、とっくに知っていた。

そして常にお涼は源蔵に見張られていた。

そして地獄の業火に焼かれても消えない罪を
自分は犯したと打ち明けた。

和尚の握った手が震えていたが、
まるで自分を納得させる様に話続けた。

何と実の妹を犯した上に殺そうとしたと言う。

そして、お涼の足を切ったのは自分だと言った。

何を言ってもお前から見れば、
言い訳に聞こえるかも知れないが

あの夜、お涼を見つけたが、
本来なら直ぐに殺す所が

何故か顔を見ると胸を突く物があって殺せなかった。

それで、塒にしていた、古屋に連れて来てしまった。

殺すのが掟、だが顔を見るとどうしても殺せなかった。

敵の忍者が取り戻しに来ているのは知っていた。

犯して時間稼ぎをして、逃げる隙を与えようとした。

胸を突くと為に半立ちなった時に
逃げて欲しかった。

だが逃げないのでわき腹を
刺そうと刀を下げた時に

お涼の転げた足が引っかかった。

何て鈍い奴だと思った。

敵から逃げながら、
あれが忍者かと思った。

長生き出来ないだろうとも思った。

いっそ、自分の所に置いて連れまわろうかとも考えた。


仲間がお涼を追っているのは知って居た。

追った仲間はかえって来なかったが、

何処かで最初に殺されたと思った。


其のお涼が生きて居た事を知って
安心した自分が居たと言う。



畜生以下の自分を知り、
生きて居たくないと言う源蔵を

私も一緒に地獄に落ちるからと

仏門に入る事を進めた。

お涼への罪を贖罪し、
仏とあの子が生きる為に
犯した罪も含めて向き合って欲しい。

其処まで言うと、和尚は頭を下げた。

「寛太、どうか、源蔵を許してやって欲しい。」

あの子に贖罪の時間をやって欲しい。

頭を畳にこすり付ける様にして
手を合わせている和尚を前に

寛太はとっくに源蔵を殺す気はなくなっていた。

「もう、いいです。和尚様、どうか頭を上げて下さい。」

自分も理由も無く金で人を殺してきた。

女であれ、子供であれ、指名された殺す中に
入って居れば、理由と言えば、それだけだった。


何故自分が庭師として生きる事が許されて、
源蔵が仏門に入る事を許されないのか。

源蔵を殺す資格は俺には無い。

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2012/05/06 23:33
鎌倉時代、室町時代にあれ程在った荘園と守護制、そして其の領土争いの中で武装して行く領土。

それらが、室町幕府の崩壊で一気に土地争いの中に入って行く。

沢山の領主を失った侍と狙い撃ちされた領主が居る訳です。

その中で多くの人達が逃げ延びて生きる手段を探った。

侍は其の剣の腕を職にして生きようとするし、盗賊集団に成るか、

どこかの山奥に住み着いて出稼ぎの侍で村を食べさせるか。

と、するといかに高く自分達が雇われるかと言う事と、

既に使えていた主はいないのですから、

金でとなって行ったと推測しました。

昔見た古い忍者番組で、其の秘伝の巻物が地図だった事に驚きました。

そして印が色々つけて在る。

もう一つの巻物を合わせるとどこの地図で印は何かが解る。

この二つで秘伝となって居た事に社会の地図記号を習っていた私は

其れを欲しがって盗まれたと騒ぐ程の物かと思いましたが、

誰かが其の領土に危険を冒して入り込んで書かなければならない。

其の秘伝の二つセットの巻物を5つも持って居た其の忍者の家に

忍びこんで盗めば、数年の苦労も無く、欲しい領土のどこに何が在るのかが解る訳ですし、

欲しい大名に高く売れるわけです。

当時は呆れて見て居ましたけど、お涼達旅芸人は歩いてどこに寺があり、どこに城があり、

どこの出城があり、どこに旅籠が在ると此処は農家で、此処は何屋とか、武家屋敷は此処と

調べたのを送ったのでしょう。


戦国時代の其の後で幸せに生きるのはどうだったのか、

政略結婚の和議の材料にされていたか、

其の国が最後の戦国大名として歴史になお残さない限りは

子供も含めて打ち首にされて居たかも。


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2012/05/06 22:45
源蔵にお涼ちゃん・・寛太

和尚も・・・

お涼ちゃん・・・お嬢様だったんだ

忍者・・どうりで鈍かった?

でもどうだったろう・・・平和にお嬢様として生きていたら・・・

偶然のいたずらというには・・酷すぎる運命

3話・・一気に読ませていただきました



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