私は迷っていた。困っていた。やり切れなくなっていた。

きょうは大学で論文についての合評があった。いろいろダメだしをされると、すうーっと論文が自分から離れていくようなかんじになる。ということに気づいた。すうーっと離れる、という言葉はかなしいけどきもちいい。すうーっと離れる、という言葉でわたしはふわ〜っとなって、離れたまま、かえってこない。

ただ、きょうは少しだけ悪い言葉を云ってやりたくなった。悪い言葉を云って傷つけたくなった。もっと苛つかせてやろうとおもった。怒らせたくなった。がっかりさせたくなった。私は目だけが開いていた。

帰りのバスの中で、きょうの合評について考えていた。そのことばかり考えていた。バスの窓枠。ゴム。窓のむこう。停まっている車。車の窓。車の窓のむこう。運転席に座る男のメガネ。メガネに映る景色。また戻る。バスの中に戻るひとつの思考。私は目だけが開いていた。

そういえば高校生の頃、同じようにバスに揺られていたとき、ふと隣を走る車の中が見えてしまったことを思い出した。おじさんが自分で自分を慰めていた。おお。私はその時友だちと一緒だった。いつまでも笑っていた。つまらぬものをみてしまった。おじさん、わかります。

くそみたいな天気。くそみたいなきょう。ねむい。なんも言わずに頑張っている人はえらいけど、なんも言わずに生きてるだけの人もえろい。そんなことどうでもいい。みんな性欲すたれろ。人類滅びろ。ぽこぽこ子供産んどらんと、すくすく育児とか言うとらんと、サンバで肩こり解消とか言うとらんと、家帰って飯食って寝な。家帰って飯食ってすぐさま寝な。毎日毎日いろいろ喋ってるの、どうせちょっとそれも嘘じゃん、こういうの抵抗ないんだーあー山芋食べたあああい。