Nicotto Town



佳世と正太の結婚(忍者物語)その20

何とか、遺体を寺に納めた。

燃え残った中からそれぞれの大工の名前の掘られた蓑や鋸を見つけて
金槌を見つけて一緒に埋めてやった。

墓板に名前が書かれただけでもましである。

男か女か、幾つぐらいか、どこに在ったのかを書かれた紙が貼り付けて在って
其の多さに驚いた。

一家皆殺しと言う所が多かったのだろう。
何々通りどこの何々家と一つに墓板に複数の名前が書かれていて、
5歳だの3歳だのと書かれていると空しさと悔しさで胸が詰まった。

生き残った大工達は燃え残った中から必要な大工道具を持たせて
暇を出した。

棟梁が近隣の国の知り合いの昔の大工仲間に紹介状を書いて渡した。

生き残った二人の女中も路賃代わりにと佳世の振袖を
困った時は古着屋に売る様にと長い袖を折って隠して下に着させて
僅かなではあるが路賃を渡して暇を取らせた。

こういう時に佳世が我儘で買った着物が役に立った。

聞けば彼ら大工と一緒に行くと言う。
何とか次の勤め先が見つかって欲しいと思うばかりだ。

棟梁は最初の内は足を引きづり歩いていたが、
燃えた木材のショックが大きかったのだろう。

数日もしない内に佳世付の女中の部屋に布団を引かすと
寝込んでしまった。

三つ在った部屋の一つは納戸だったが
お涼夫婦が布団を運んできて其処に寝泊まりして
当面の間いる事にした。

佳世の住んでいた離れ屋が棟梁の大工店の裏手にあったにも
関わらず、前が燃えて無くなっているので街道から丸見えである。

お涼はふと街道に出て驚いた。

街道の脇の家が燃やされて、
元の街道の倍以上の広い通りが
まっすぐ城に向かって出来ている。

此れだと大きな騎馬軍の大群が横に何列も並んで城へ向える。
目的は此れだったのだ。

それで街道沿いの様わきの家を燃やして、
其の辺りの家は皆殺しにしたのだ。
皆殺しにしないと戻ってきて其処に家を建てるからである。

更に残して居れば身内の敵として今度来た時に他所なりとも
仕掛けてくる可能性がある。

武家屋敷は入り組んでいても入り込んで
襲って居る。

次の為に力をそぐのが目的なのだ。

次が来る。

勿論そう考えたのはお涼だけでない。

「どけ!どけぃー!」と馬の大群と共に沢山の兵が城から
来て、広くなった街道を関所の方へ向かって行った。

最速で今日か明日か!隊列を立て直して来るかも知れない。
だが、まだ家の燃えカスが残って炎も残って煙がずっと城へ
白い雲の川の様に連なっている。
馬が其処を通るだろうか?

燃え尽きないと通らない。無理して明後日か。
お涼は動きやすいモンペに変えると籠を背負って仕込み刀を
灰の中を転がして古く見える様にして
関所のある山に向かった。

両方の山に囲まれた谷の所に関所が在り

其処から両方国へ向かって下り坂の谷道が其々の国の街道に繋がっている。

一つ通称男山、或いは屏風山、
向こう側から見れば屏風の様な切り立った岩で出来ていて、
馬で其処を向こうの国へ上り下りする事は難しい。

一つは通称女山で手で引くと馬れない事は無い。

馬に荷物を載せた商人が荷物に関所が通れない物を
乗せて居る時は其の山を抜けたりする。

お涼の旅の一団も煩わしい関所を通らず其処を抜けた。

佳世達の家は街道から男山の方に在ったので男山へ向かった。

川が在り水車小屋が在る。
丸木橋を渡ると急斜面の山である。

其の辺りに在ったキノコを入れるとどんどんを山を
関所の方へ登って行きました。

「なにしてる!」と足軽の侍に見つかった。
「アケビの・・・、アケビをとりに・・」

「どうした!」と少し位の高い侍が来た。

「家が燃えてしまって食べる物が何もないのです。
孫が腹を空かせているので、
・・・アケビが取れる所が
この先に在るので・・・」

「これ以上先は通れん、帰れ!」と言われている途中に
「まだ、あったぞ!また使えるぞ」と土を掘り起こして居る侍達が見える。

少し下がって、キノコを探して居るふりをしてみていると
夢中になって岩の塊を掘り起こして居る。

二日後に大きな合戦が谷で在った様で、
埋めて在った幾つもの丸い岩を谷へ転がる形状の場所に用意して置いて、
其れをどうしても細くなる関所近くの道と
女山にも埋めて在って其処を上ってくる兵に向かって落としたそうだ。

目的は馬を傷つける事で足一本罅が入っても其の馬は使えない。

明け方馬が峠を登ってくるのをぎりぎりまで待っての
作戦で、女山には兵だけでなく全ての忍者と兵の総動員で
其処を防いで、

峠を登って来ざる得ない騎馬の大群へ向かって岩を転がしたのである。

馬達が傷つけば一気に騎馬で隊列を組んで城へ向かう事が出来ない。

敵はかなりの深手を負わされて諦めざる得なり
隣国を出城として直して立てこもる事に変えた様だと
後で聞いた。

今年は来ないとお涼達は安心をした。

棟梁の頼みも在って佳世と正太は祝言をあげた。

佳世が白い布で俄仕込みで作った白無垢と角隠し、
棟梁とお涼夫婦だけの立会いだったが晴れて二人は夫婦になった。
正太18歳、佳世22歳の秋だった。

アバター
2012/04/19 08:27
敵も考えたのでしょう。

万が一それで落ちたとしたらよし、

落ちなかったとしても次の為の用意をして行ったのです。

大勢の騎馬と足軽で攻め入って、城を取り囲んで矢で動きを止めながら
橋を作って堀を通り、それで更に城を一気に落とすつもりなのでしょう。

どれだけ相手に準備する暇を与えず城に付く可が勝負の城のつくりでした。

隣の小さな国は単なる通り道だったのでしょう。

其れほど、この近辺の領土の中では大きな国でした。

この国の領主がもっと意欲的だったら、近隣の国々を統括していたらと

お涼が雇われていた国は一溜りも無かったと其の辺りを回っていた時代に
思った物でした。

唯、お涼が回っていた時代も2代目ボンボンお殿様で、3代目になったら、

其の息子達に近隣の国から姫を貰い、和議の誓いをかわしました。

それで安心しきっていたのです。

勿論、それぞれの国にそれぞれ政略結婚か、

例えばお涼の雇っていた国を統括した大きな国へは孫を人質として預けました。

お涼の雇っていた国も姫をお涼が諸国を回っている間に長男が小さいうちに人質として
行く事によって和議が結ばれて、

其の大きな国の意向でお涼達との契約が破棄されました。

元々、其の左隣の国の神社の紹介でお涼達が其の国へ入ってました。

更に殿の正妻も左隣の国から嫁いでいました。

其の姫たちの部屋の庭はお涼が順番でお庭番をする部屋でした。

アバター
2012/04/19 03:51
家を焼き払ったのは道幅を広げるためだったとは・・

また襲ってくるのかとドキドキでしたが

来ない様で

佳世と正太の結婚式がささやかながら挙げることが出来てよかったです^^



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