自作小説 『遺跡にて、前世』
- カテゴリ:自作小説
- 2012/04/18 01:26:18
私は今、太古の風を全身に浴びている。大げさかもしれないが、この絶景は言葉では表現出来ないと思う。
私は谷に架けられた大昔の橋の上から古代の遺跡を眺めている。そこには太古の風景が広がっていた。
石造りの建造物はもはや原形を留めてなく、風雨によって侵食され、植物の苗床と化していた。しかし、微かに面影を残している。かつての国家であり、街であり、城塞であったのだ。それは人間が作り出した人工物であったのだろうが、最早、自然の一部であった。そこには人の営みは全く感じられない。ずっと見ていると、寂しさや空虚さが心を満たしていく。何か一つでも人の営みを見つけようと、私は遺跡に向かった。
近くで見ると石造りの建造物の壮大さが際立ってくる。これは門だろうか。風化してしまって見る影も無いが、所々に精密な彫刻が刻まれていたようだ。
私は石に触れた。ひんやりとした硬さが皮膚を通して伝わってくる。その時、私は不思議な感じを抱いた。目の前の景色が一斉に色彩を帯びてきた。そこには居るはずもない人々や朽ち果てたはずの街並みが蘇っていた。ここには確かに人々の営みがあり、幸せがあったのだ。
私は確信した。ああ。やはりここは私が前世で生きていた世界なのだと。
私は自分の過去を求めてここにやって来た。この遺跡の中には自分の過去、言い換えれば前世の記憶が残っているはずだった。
かつて、この辺は一国が支配していた。しかし、その国の王女がある男と恋に落ちてしまった事が原因で、この国の滅んだと聞かされた。私は自分の前世がその王女だと知った時からなぜこの国が滅ぶに至ったか知りたいと思った。詩人は語っていた。この国は蘇った邪神によって滅んでしまったのだと。
迷信だろうがなんだろうが、私は真実を求めていた。この国で何が起きたのか。私はここでそれを突き止めるつもりでいた。
蘇った太古の景色は、再び静寂を求め眠りについてしまったようだ。吹き抜ける冷たい風が、自分が今一人であることを思い出させてくれる。ここには私一人で来た。仲間に相談すれば一緒に来てくれたかもしれない。しかし、これは自分の問題。他人を巻き込むような事ではないと思ったから一人で来たのだ。だが、今となっては一人この閑散とした寂しい遺跡に居るのは少々堪えた。
その時、一際強い風が私の身体を突き抜けた。次の瞬間に私の心は不安にかき乱された。私は理解した。失われた国の王女の心が私の中に流れ込んできたのだ。どうすることも出来ない寂しさ。世界中に自分一人しかいないという絶望感。不安が心を締め付けてくる。
必死に孤独に耐えていたその時、不意に背後から自分の名を呼ぶ声がした。それは今、一番聞きたい声だった。
ああ。やっぱり。
彼の顔は思った通り、真剣でちょっと怒っていて、そして私を心配していた顔だった。心に占めていた不安は何処かへ飛んでいった。私の顔はきっと精一杯、乾いた笑顔を浮かべていたであろう。私は一言、ごめんとだけ言って、彼に身を任せた。
一筋の涙が私の頬を伝わるのを感じた。これはきっと王女の涙だったのだろう、私はそんな気がした。
ほうほう。今度のブックオフ廻りでチェックしておこうw
いろいろ教えてくれてありがとー!
>まゆさん
だね。僕もそんな気がする。
というか、もし生物(動物に限っても)からの転生を考えると、
統計的に人間だった可能性もかなり低いww
女兄弟がいると読めるのにねーw
うちの弟はよく私の漫画を読んでたよ!
ちょっと古いけど「フルーツバスケット」もお勧め!弟もはまってたw
あれは恋愛要素もちょっとあるけど、メインは精神的なものというか、優しい気持ちになれる漫画かな^^
あぁリアの友達なら貸して(押し付けて)あげれるのに~><
うーん、漫画から入って欲しいけど・・・手にとるの勇気がいるから映画からでもオッケー!!
あの水彩画タッチな絵がいいよねえ。
少女マンガか。手にするにはちょっと勇気がいるわw
「君に届け」か。映画から入ったほうがいいかな。
中二的な内容・・・私も結構好きかもw
というか、少女マンガちっくな感じだから、二人とも少女マンガ読めば胸キュン間違いなし!!
お勧めは「君に届け」です^^
中二的なお話は書いてて楽しいです♪
史劇は知識が必要だからな~。難しいですよー。
胸キュンも書いてて楽しいです♪
うはぁ!史劇スぺクタルになりそうな予感ん!!!
女王の今世での、胸キュンな展開に期待!!w
思いっきり中二病で書きましたw
所々文章がおかしいかもしれませんが、気にしないことですw
古代遺跡なんて見たこともない僕にこの情景を連想させてくれたのは、スクエアのサガシリーズです。特にサガフロ2の水彩画のような景色とか。雰囲気が素晴らしいです。音楽も良いよね。CDまで買ってしまう始末ですw
今、この小説の中に出てきた王女編を執筆中です。きっと胸キュンな展開ですw
乞うご期待♪