Nicotto Town



お鈴がお涼に引き取られた。(忍者物語)其の16



コーデはお鈴15歳


佳世の祖父の家は此の城下町では一番大きな大工の棟梁の家でした。

お涼が昔雇われていた隣の領地です。
城も大きく武器を買い集めて居る為に他の領主が手が出しにくく
かと言ってこちら側から手も出さず、
周りの国から目の上のたんこぶの様な国だが、
それだけに領地は安定していた。

その分領民もある程度は豊になってきて安心してましたので
一個建の家を建てる町民も出て来ていました。

祖父の家は住込みの若い大工も飯炊き女中も居て
お佳世はそれらと店から廊下で離れた離れに一部屋貰って
随分と甘やかされて、後にお涼達が呆れるほど我儘になってました。

佳世が21歳、正太が17歳の時にお棲が一人で育てていた寛太との娘の鈴を
お涼が引き取る事になりました。

お隅が急な患いで鈴が半年ばかし看病していたのですが、
冬を越せなかった様です。鈴が15歳の時でした。

葬儀をお涼が中心に出してやり、家具や着物は必要で無い物は売り
佳世の部屋が空いてましたので、鈴を住まわせました。

気が気で無いのは佳世でした。
正太が鈴と惹かれあうのではないかと何度もお涼の家に帰ってきました。

挙句の果てにお涼の家に泊まり込んで祖父の家に帰らなくなりました。

佳世を強引に連れ戻し、祖父の買い与えた着物やかんざしを庭に投げ捨てて
家に帰りたいと泣き伏す佳世に佳世の面倒を見ていた年取った女中の一人が
佳世から正太への思いを聞き出して棟梁に伝えます。

正太の腕はちょっとした評判になってました。
お涼を時々訪ねて来ていた忍者達が世間話で城内の様子を
聞くついでに正太に忍者歩きのコツを教えたり、
バランス感覚を教えたり、忍者道具の扱い方や命綱の縄の色々な結び方を
正太に面白がって教えて居ました。

お蔭でずいぶんと色々な危険な高い個所も直せる修繕屋に
なってました。

与一はそれで何となくお涼の本当の職業を察知しましたが
お涼には一言も其れを問いませんでした。

正太が年が小さいにもかかわらず、体格も大きいしそれで、身軽だったのが
近隣の子供で正太にかなう子がいなかったのは其の為でもありました。

顔も盛観で正太は近隣の女の子の憧れも的でもあったのです。

寺で剣道を教えた元侍が城に志願をして行ったらと薦めた程でした。

そんな正太に鈴が惚れない訳が無い。
しかも鈴も評判の美人で三味もうまく、
お隅の所に三味線を習いに来る旦那衆や女郎屋の主人が
お鈴を譲ってくれと言って値が高くついているのは町でも評判でした。

そんな鈴を正太が惚れない訳が無い。
佳世の頭は狂いそうでした。
このままだと正太を殺して自分も死ぬとまで言って
泣き伏す佳世に棟梁は正太を佳世と夫婦にして
正太に此の家と店を譲るとお涼夫婦に言わざる得なかったのです。

しかし幾ら何でも正太は体格が良くても17歳。
大工の棟梁の家には与一こそ、訳が在ってのれん分けをしましたが
その時でさえ、もっと腕の立つ大工達がたくさん居ました。

与一とお涼は棟梁は何度も話し合いました。
与一達にとって佳世を此処まで育てて 育て上げると取り上げる。
独立させたと言っても、弟子一人つけてくれた訳で無く、
更に自分の娘が死んだ後は小さな修繕しか回して来ず、
お涼との生活は苦しい物でした。

その中で与一が真面目に仕事をして得意先を増やし、
お涼が正太の乳が外れると子供の佳世に正太の面倒を見させて
近所の手伝いをしたり、二人の手が必要な所はお涼が与一について行って
大工の仕事をして、乗り越えたのでした。

更に縫い子として手に職までつけさせて、
佳世の夫に何かあっても食べて行けるまでにさせました。

正太にしても、職人には必要ない「読み書きそろばん礼儀」を
身に付けさせて、腕や足を失って大工の仕事が出来なくても
何処かの商店で仕事ができるまでにさせました。

剣道は其れを教えていた元侍が体格も機敏さも見抜いて
自分で暇な時に呼んで教えて居ました。

此処まで育てて、一人前になる所でまたと言う気持ちもありました。

しかし、正太の将来を考えると何よりもこれ以上の話はありませんでした。

飄々と佳世が引き取られて行くのを送った正太ですが、
山へ行くと泣きながら、木刀で木の枝を切り折っている姿を
お涼は知ってました。

佳世の将来の為に佳世を諦めたのです。
自分が少しでも佳世に言葉をかければ佳世は
頑として行かないのを知ってました。

だから、まるで佳世が行くのが当たり前の様な態度を取りました。
其の態度で佳世は行く事を承知したのでした。

其れが鈴が一つ正太と一つ屋根の下に居る。
押入れどうしの中の板が外れて、
正太のへやからお涼達の部屋を通らないで佳世の部屋に行ける事を
佳世が行き来をして知ってました。

佳世は祖父が大事にしている花瓶を叩き割り、
絵巻ふすまを破いて、掛け軸を引きちぎって
家に帰ると泣き叫びました。

お涼は佳世を此処まで甘やかして機嫌を取って
家にとどめて居たのだなぁと強面の棟梁のお爺ぶりに
吹き出しそうでした。

アバター
2012/05/19 22:30
みみやん 様

与一がたぶん良い男だったのでしょう。
生まれ落ちた所で一生の身分が決まる世界でしたので、

と、言うか、与一をそう設定しました。

正太もそうさせました。

二人とも歴史に名もなき、理想の男です。

しかも、現実的な理想の男です。

肉体を使って働く真面目な男です。

裕福ではありません。

馬鹿でも無能でも、武士に成れば威張って暮らせたでしょう。

其れを選びません。

お涼はエリートと接してきました。

其れでも、与一もお涼も正太も武士に志願はしませんでした。

何処から来たのか得体の知れないのが足軽になって、

口八丁、手八丁で胡麻を擦って、小汚く出世して、

其れをかさに来て、横暴な恥知らずな行動を取る中を

くノ一達は身を持って知ってました。

腐った醜い男達でした。

本当の武士の、本当の侍の自覚が子供の時から躾けられてないのです。

そんな人間になって欲しくなかったのでしょう。

そして、そんな人間の犠牲になるのが庶民です。

今の民主党を見ていると福島の原発事故で、

私達はそう言った者に与えてしまった為の内部被ばく者まで出した

現実を思います。

あの、復興委員のテレビの画面を着る様な動作を思い出します。

そうやって、作った映像を私達は奴らに刷り込まれている哀しさを感じます。
アバター
2012/05/19 21:59
この設定でしたら正太が主人公でもお話しができそうですね^^
でも、ここまで優秀だとやっぱり脇役でしょうか?
アバター
2012/04/15 01:29
佳世は実際はかなり頑張って正太の面倒を小さい時に見て居ました。
3,4歳の正太には、しては良い事と悪い事が解りません。
しかも体格が良く力が強い。
駄々をこねる乱暴者の正太を根気強く面倒を見て居ました。

其れに7.8歳の佳世が自分がとても正太を愛していると自分で自分をマインドコントロールを
して、面倒を見た結果かも知れません。

自分も遊びに行きたい盛りをお涼が近所の家に家計の為に
働きに行く為にお涼に正太の面倒を見させたのですから。

怪我もさせられないし、しかりつけて泣かせる事はいじめていると誤解されるかも知れません。
この時代の子供にとっては小さい弟、妹の面倒を見る事は普通の事でした。

保育園もありませんでしたから。

同じ様な境遇の子が居ればその子と静かに正太をおぶりながらおしゃべりができたでしょうが、
あいにく、小さい子を負ぶっているのは佳世だけでした。

お鈴は子供ながらに独特の色気のある女の子でした。
お隅が時々、情報を得たり、金を得るのに体を売る事も見て居ました。
更にお隅に仕込み三味線の扱い方も、多少の技も5歳位から習っていました。

お鈴に値がついている意味も佳世はお鈴の噂でそう言う世界を知った位です。
お隅が三味線を旦那衆に教えているだけでなく、
其の旦那衆の目的も唯三味線を習うのは
表向きの名目にすぎません。

お涼の所に来る、口さがない女達の噂で佳世は大人の世界の耳年増になって行きます。

其れにお涼を訪ねてくる顔見知りの忍者は与一の手前「くノ一」も
連れてきます。

主に夫婦を装った女がお涼と世間話をしています。
人の目が在りますから。

其の間に男の方は正太や佳世に忍者ごっこのような感じで
色々と遊びの様に教えて暇をつぶしてました。

佳世の気持ちが解るだけに大人は頭を抱えます。

いくらなんでも、年季の入った熟練の大工のいる所に連れてきて
棟梁の後を取らせるには正太は若すぎます。

大人達の困ったと悩む状態と何も言わず黙々と働いて
大人の出す結果を待つ正太の姿があります。

佳世とお涼と与一に愛情いっぱいに育てられた利発な子でした。

更にお寺に来ていた元侍の指導も良かったのでしょう。
アバター
2012/04/15 00:32
忍者の技術も身に着けた大工

高いところの修繕はお手の物!剣道もお墨付き

顔立ちも良いとくれば・・・・

お鈴も美人で三味線も上手い

押入れは秘密の抜け穴が・・・

これは佳世ちゃんたまらなかっただろうなぁ・・

複雑な三角関係でしょうか。



月別アーカイブ

2024

2023

2022

2021

2020

2019

2018

2017

2016

2015

2014

2013

2012

2011


Copyright © 2024 SMILE-LAB Co., Ltd. All Rights Reserved.