「あ。この本まえに気になってたやつや。文庫本になってる。」と思ってぱらぱら頁をめくっていたら、たくさんの文字の中にハンカチのブラジャーという文字が見えた。

ハンカチのブラジャー。

ハンカチのブラジャーだって。

ずっとむかしにハンカチのブラジャーを見たときのことを思い出した。

子どものわたしはハンカチのブラジャーを見て、あははって笑った。

ばかげてると思った。そんなハンカチで出来たブラジャーもだし、ブラジャーというもの自体ばかげたものだと思っていた。そんなばかげたものは自分には全然関係ないと思って、あははって笑ってた。

全然関係なくなんてなかったのに。ブラジャーつけると苦しくて気持ちわるくていやだからってずっとそれとなく抗ってたけど、そういうわけにはいかないんだってこともわかってきていたし。年をとっていったら、もうそんなのも我慢できるようになったよ。

こわかったものも、こわくなくなって、

できなかったことも、できるようになって、

わたしはもうブラジャーにもあえて抵抗しないんです。

でも時々、「あ。ブラジャー忘れた。」ってなる。

大学の友だちは、本気で心配してくれて、なんか、申し訳ない。

わたしにとって、ブラジャーってそんなたいそうなものじゃないんですよ。

って、言いたかったけど、本気で引かれそうだったから、やめた。

だって冬は服を重ねて着るもんで、まあいいかノーブラジャーでもさ外に出ちゃえば、なんだろうね心なしか童心にかえる人、はーい。

春がきたので、もうそんなことはしないけど。

大人になったので。大人になるってこういうことか。私はもういろんなこと我慢できるようになりました。立派な大人じゃないですか。あははっ

春がきました。