Nicotto Town



【小説】紫翼のジーナ~24~

『紫翼のジーナ』10-③話
原案:はじめあき
作者:しゅーひ


早々と学院長室を出た俺は、廊下を歩きながら先ほどのモルトラの話を頭の中で反芻していた。
オヤジは金糸に関わって捕まった。最後は話が違うと叫んでいた。
ド貧乏で何の才能もなく、仕事もしないで酒ばかり飲んでいたオヤジ。
いきなり金回りが良くなり胡散臭い奴らと付き合うようになったオヤジ。
そして、その時唐突に理解した。

オヤジは騙されて利用されたんだと。そしてオヤジが捨てられたのは俺をモルトラの手元に置くためだと。俺の特殊な能力に目をつけていたに違いない。
俺が今まで自分の為に、がむしゃらに力を蓄えていたのは、結果としてモルトラの為にしていた行為だったようなものだった。
だからと言って、憤怒や焦燥といった感情は無かった。
金に目がくらみ、騙されたオヤジが悪いのだ。今まで気がつかなかった俺が悪いのだ。

結局は利用される方が泣きをみるということだ。
モルトラがなんの為にこんな回りくどい事をしたのかは解らないが、俺自身が利用されないようにするためにはどうすればいいのか?
それは利用する側になればいい。
その為には権力が必要だ。権力があれば、利用する側になれる。
つまり、神官になればいい。この国で権力を持つものは神官だからだ。

そして、俺は今まで以上に力と知識を向上するための努力をした。
そして、他人を自分の周りから排除するように努めた。
そして、モルトラに今まで以上に俺自身を認めさせるようにした。
モルトラの持つ大神官という立場を利用させてもらうためだ。
だから、俺には力が必要なんだ。
愛だの、友情だの、仲間だのなんて、俺の視野に入って来れない奴等の戯言(ざれごと)だ。


それなのに。


アイツはいきなり俺の視野の中に入ってきやがった。
力はもちろん、知識も、格式も、種族さえ簡単に超えてきた。
しかも、アイツがいないと俺の力も発動しないときている。
面倒くさいにも程がある。しかし。

アイツと…リンと融合している時は本当に心地いい。
今まで感じたことない感覚だったので、初めはわからなかった。
ずっとこのままでもいいとさえ思ったほどだ。当然、口には出すつもりは無い。
それにしても、どうしてリンの事が頭にでてきたのだろう。
ああ、多分横でリンが寝てるんだな。リンが横にいると、何故だか気持ちというか心というか、自分の中の何かが暖かくなる。

うん絶対に今、俺は夢をみてる。
こんなこっ恥ずかしい事を考えてるってのが自分で信じられないからだ。
でも、もう少しこのままでいい。この暖かさは手放せなくなってきているだから。

だから、もう少しだけ眠るとしよう。

アバター
2012/04/04 13:08
【自作小説倶楽部からのお知らせです】
(お読みになられましたらご消去くださいませ)

 そよそよさんが入会なされました。
 宜しくお願い致します。
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2012/04/04 08:36
して、11話はいつ?w
アバター
2012/04/02 21:46
ちょ…
PCの前で、人様には見せられないような顔で
「うっはー!」と悶えてしまったじゃないですか!

じわじわ明かされるジーナの過去…
じわじわ温まっていくジーナの心…
続きが気になるーーーーー><

11話はもうしばらくお待ち下さいの、「もうしばらく」が年内であることを祈るばかりです。
むしろ今すぐ、文末でもう少しだけ眠ってしまったジーナを揺さぶり起こしたいくらいです。
しかし、そこはグッとこらえて続きを楽しみにしています!
アバター
2012/04/02 13:40
ジーナの本当の心の中を 一番に理解してあげられる存在が リンだったらいいな。
ジーナのリンに対する 気持ちの展開も気になるところですw
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2012/04/01 23:47
ちょっと巡回さぼっていたらジーナ更新!!
後日読みにきますぜ!!
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2012/04/01 20:12
恋ですね
アバター
2012/04/01 19:57
ジーナの10話が終了です。
ジーナの夢の中での語りでした。

11話は、また少しお待ちくださいw




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