自作小説 『旅路、森の中にて』
- カテゴリ:自作小説
- 2012/04/01 14:15:39
少女は一人、森の中にいた。
あたりは林に覆われていたが、太陽の光が木立の合間から差し込んでいたので
それほど深い森の奥ではないことが予測できた。
だが、少女は分かっていた。この森をもっと先に進まなければならない事を。
そこは静かな空間であった。少女以外だれも居ない。
しかし、耳をすませば鳥のさえずり、木々のせせらぎが聞こえてくる。
少女は森の音の一つ一つを確かめながら歩いていった。
少女の前には真っ直ぐ森の奥へと続く道が一本あるだけ。
この森は何処まで続くのか、という考えは彼女の頭を一度も過ぎらなかった。
少女はただ目の前を真っ直ぐと見据え、ただ一つの思いだけを頼りにしていた。
その時、少女は道の先に誰かが居るのに気がついた。
近づくにつれ、人の姿がはっきりとしてきた。少女よりも少し年上の女性であった。
少女と同じく大きな荷物を持っている。おそらく自分と同じように旅路の最中なのだろう。
どうやらここで一息ついているらしい。
女性は少女に気付き、笑顔で声をかけてきた。
「こんにちは」
少女も返事をした。
「こんにちは」
「あなたは・・・旅の方ですか?」
少女は頷いた。少女は気になっていた。
まさかこんな森の中で人に会うとは思っていなかった。
「そう・・・。私も旅の途中でね。でも、ちょっと疲れちゃってね。ここで休憩しているの」
確かに女性の顔には疲労の色が見られた。
少女は久々に人に出会ったのでいろいろと話をしたかった。そこで彼女は聞いた。
「どちらまで行くんですか?」
女性が答えるまでに少し時間があいた。
その間、ちょっとだけ女性の表情が曇った気がした。
「うーん。何処なんだろうね・・・。強いて言うならば自分自身が満足するまで・・・かな?
止めようと思えばいつだって止めれるし、だったら行けるところまで行こうかなっていう感じ」
少女は疑問に思った。
満足するところとは何処なんだろうか。途中で止めてしまっても悔いは残らないのか。
少女はその疑問を女性に投げかけた。
「そうね。悔いが残るのは嫌だから行けるだけ行くの。行けるところまで行ったらそれで十分だもの。だからこうやって、休憩しながらゆっくり自分のペースで進むの」
少女は更に問いかけた。
「目的地は無いんですか?ただ歩くだけ?目的があった方が行きやすいんじゃないんですか?」
女性は少女に微笑み、答えた。
「もちろん目標は立てるよ。でも、そこにたどり着いたら終わりじゃない。そして、たとえたどり着かなくても自分の精一杯まで行けたらそこがきっとゴールなんだと思う」
少女は納得がいかなかった。目的地こそゴールではないのか?少女はそこがゴールだと思うからこそ今まで頑張ってこれたのだ。ゴールに着いた先の事は少女の頭の中には無かった。
「あなたは若いわね。きっととても高い目標を立ててるのね。でもね、そこにたどり着けなかったらどうするの?たどり着けるまで頑張る?」
少女は迷いなく頷いた。もとより彼女には他に選択肢はない。
女性の表情が更に曇った。
「あなたはとても険しい道を歩いているのね。でもね。一つだけアドバイスさせて」
女性が森の奥を指差した。相変わらずの一本道だ。
「一本道。今のあなたには一本道に見えるでしょうけど、他に道はいくらでもあるの。ただあなたが見ようとしていないだけ。選択肢は一つじゃないの」
それから少女は礼を言って、女性を見送った。女性は去り際に呟いた。
“あなたの先ゆく道筋の光が影を見ませんように”
その言葉は少女にはおまじないのようにも聞こえたし、少女への忠告のようにも聞こえた。
そして、少女は気が付いていた。
その女性がかつての、もしくは未来の自分自身だという事を。
この森に他の人間がいるわけが無かった。
ここは彼女が迷い込んだ彼女自身の心の中の森なのだから。
女性の言葉は少女の心をチクリと刺した。目的地に着くことが出来なかったら・・・。
答えを見つけることが出来なかったら・・・、と考えると急に不安が心を侵食してくる。
それでも少女は歩みを止めることが出来なかった。この道を真っ直ぐ見つめることしか出来なかった。
ここが出口の無い迷路であっても必ず答えにたどり着けると信じていた。
そう考えることでしか少女は心に湧いた不安を払拭出来なかった。
そして、少女は森の中へと消えいった。
いろんな見方してくれてホント感謝です。
いや~。はじめは一解釈だけで少女の真っ直ぐな気持ちを表現したかったんですが、
大人の女性が現れ、助言やらで心が揺らいだりとか、解釈が増えたりとか。
書いてて変わっていく様は面白いもんですw
いや、でもスキだなこの詩というか小説
大人の女性が出てきて、昔の少女の思念?とも読み取れるというか
今の自分に昔の自分が警告を出してるとも見えるし
色々な見方がある小説はステキですナw(´ω`)
なにやらまとまりのない文章になってしまったw
真面目さんでしたw
リアルはもっと真面目さんw
やっぱ、アゲハ蝶人気だなー。
>讓さん
皆、歌うんだ。良かった。
ループものですね。
未来の自分からしたら、自身にああしろこうしろって言いたいよねー。
一人の人間の 心の物語
未来の彼女が 歩んできた道と同じ道をまた彼女は行くのだろうか・・
真面目さんだったのか・・・
そうなのか・・・
アゲハ蝶歌いますwww
おおー。ありがとですっ!
FFもね。初期のはストーリー面白かったのにな。
最近のはあんまりやってないから分からんけど、13-Ⅰはなんだかなあって感じだったw
>inさん
inさんが書いたのも見てみたいなー。
期待してますw
>まゆさん
そうですねー。年上の女性ってところで未来の自分と捉えるのが普通ですが、
過去の自分とも言い換えてもいいし、現在葛藤している自分とも捉えるって事もありかなと。
じゃあ年上って表現がいみふですねwwハハハ。
>あきさん
何を言ってるんですか。まゆほんはいつも真面目です<(`^´)>
まあ、人生が終わる時がゴールですよね。それまで必死で頑張る。
僕自身の考えとしても、この小説の中で年上の女性の考え方です。
自分自身が満足する地点ってのも実は難しいんですよね・・。
アゲハ蝶。カラオケで一番最初に歌いますw
ゴールってなんだろうね。
一つのゴールに辿りついたとき、新しいスタートにもなるだろうし・・・
一番大きなゴールってなんだろう・・・。
人生が終わるまでゴールなんてないのかな^^
「アゲハ蝶」いいよね^^好きな曲の1つだよ♪
いつかは割り切らなければならないことを無意識に感じ取っているけど、まだ認めたくない頃。
おー・ω・
書いてみようかな,inさんも^∀^
素晴らしいww
FF顔負けの筋書きww
というのも、この主人公の女性はシャラだから(別に誰だって良いけどねw)。
自作小説です。あれギャグ要素はないのか?真面目か?と問われると、はい、真面目に書きましたと言いますよw
実は壮大な(笑)本編があって、その中の一節を取ってきました。もちろん未完ですがww
挫折ではなく、未完ね!
シャラは大切な人を探している途中という設定です。これは前に書いたクーニャの大冒険でも触れましたね(←誰も覚えてねーよww)。
森の中でさまよって、自分自身の別の選択肢と出会うという彼女の心象風景を現してみました。
“あなたの先ゆく道筋の光が影を見ませんように”というのは完全に浮いたフレーズですがww、
僕の好きな歌手の歌詞の中からちょっと表現を変えて引用してます。
ちなみに旅路で自分自身と出会うっていう設定はポルノグラフィティの『アゲハ蝶』から参考にしましたw
以上、まゆほんの厨二病的な自作小説でしたー。最後まで読んでくれた方、本当に感謝です!!