■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味(41)
- カテゴリ:その他
- 2009/06/11 10:09:38
■近代文藝之研究|研究|美學と生の興味|下 生の増進と美|二 (2)
吾人はリボー氏の此の三段に更に最後の一段を加へて、第四、美感が再び實用に歸らんとする時代といはんとする。すなはち第一、美と功利の密着時代、第二、其の半分離時代、第三、其の全分離時代、第四、其の再合時代、といふが如き順序を茲に認める。
しかしながら、此の三段乃至四段の發展を進化の原則に藉りて説明せんとするには、今一つ忘るべからざる根本の問題がある。即ちダーウヰンが所謂生存競爭律の結果として、自己若しくは同種族の保存といふ實用目的に伴はぬ機能は衰滅して行く。美感は如何にして實用から離れたもの、即ち進化の原則に逆行したものとして發展して來たか。リボー氏は之れに二つの理由を與へんと試みた。
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*註1:吾人はリボー氏の
原本ではこの文頭は前ページの文末より改行なしでつづいている。
*註2:更に
「更」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/sara.jpg
*註3:半分離・全分離
「半」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/han.jpg
「分」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/hun_wakeru.jpg
「全」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/zen.jpg
*註4:茲に
「茲」の俗字体か(?)。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/koko.jpg
*註5:認める
「認」の正字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/mitomeru.jpg
*註6:進化
「進」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
*註7:説明
「説」の旧字体。「言」+「兌」。
*註8:所謂
「所」の旧字体。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/tokoro.jpg
*註9:伴はぬ
「伴」の旧字体。旁の「半」が「拌」と同じ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/moji/ban.jpg
*註10:逆行
「逆」の旧字体。「シンニョウ」は「二点シンニョウ」。
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■抱月『近代文藝之研究』を註記なしに通しで読みたいかたは、こちらをどうぞ。
http://www5e.biglobe.ne.jp/%7Ehanadada/tougetsu/kbk_tobira.html
■このテキストの原本は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」収録の「近代文芸之研究 / 島村抱月(滝太郎)著 早稲田大学出版部, 明42.6」の画像データに依っています。
http://kindai.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/871630/1
(2014/08/14/初校)